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パンダが天鳳位になる日⑬パンダが天鳳位になる日

『束縛があるからこそ 私は飛べるのだ
悲しみがあるからこそ 高く舞い上がれるのだ
逆境があるからこそ 私は走れるのだ
涙があるからこそ 私は前へ進めるのだ』


マハートマ・ガンディーの言葉である。
ガンディーが天鳳をしていたらマウスが1000回壊されていたであろう。「天鳳のテンはブリテンのテン!」バキッッ!!




「天鳳位」
十段のさらに高みに存在する規格外の存在。
当時の達成者 わずか9人。
天鳳位へ至る試練はあの死に物狂いで登り切った崖よりもさらに高く険しく挑戦する者を阻む。

正直言って、無理ゲーだ。

しかしこの十段に数千戦とどまる者、何度も十段に到達する者がいるのも又事実。

正直言って、変態だ。

尊敬すべき変態達である。



そして僕はその変態達に憧れる内の1人である。




2016年8月1日。
ついに十段に到達し全てをやりきった。
もう思い残すこともないな…。

十段は僕が運を味方につけてようやく到達できる最高の段位だろう。
そう考えていた。

しかし十段に到達できるまで僕を鍛えてくれたのは紛れもなく天鳳。そして天鳳民の同志達。

せめてこの感謝の気持ちを込めて、十段という舞台を舞って見せよう。

元より天運に導かれしこの十段の身。いと容易く散じようと悔いは無し。

妄執に駆られた十段への道のりとは違い、ただ感謝を込めて打ち始めた。



しかし…。

十数戦打ち終わったころに異変を察知した。

ラスらない。

通常ラスになってもいいような展開でも回避できてしまう。
まさに神風としか言いようがなかった。

30戦打った段階で13-13-10-4


これだけ見ても異常である。
狙って出せる数字ではない、何かの力を感じた。


この時点で天鳳位へと至る原点からの2000pt中1000ptを稼ぎ、折り返し地点まできていた。

そしてさらに11戦。

3回のラスを引き、何故か少し安堵する。

『このまま万が一自分が天鳳位になってしまうことなどあってはならない』

そんな気持ちをどこかに持っていた。
自分にとって天鳳位とはそれだけ畏敬の念を抱かせる存在だった。


僕はただ、この天鳳へ。

感謝を伝えられればそれでいい。

その気持ちだけが僕を十段たらしめた。

そして。

そこから24戦。



僕はラスを引かなかった。


25-23-20-7


2016年8月21日。


十段昇段から75戦。


第12765戦目。







夢見た頂の、さらにその先へ。僕は到達した。



十段昇段の時はうれしさに叫んだ。

しかし天鳳位へ至った僕はしばらくこの昇段画面を前に放心状態であった。

夢にも思わなかった。こんなことがあっていいのか。

そして寸刻の後。僕の口から出た言葉は今も記憶に残っている。









「マジか」







あかーーーーーーーーん!!!!!!!

もうちょいなんかあるやろ!


「マジか」は言ったらあかん言葉ランキングのワーストから数えたほうが早いやつや!!


やり直させてくれ~~~頼む~~~。




エピローグ


天鳳位へと昇段し本当に沢山のプレイヤー達から祝福の言葉をもらいました。こんなに大勢の方に祝福される事を成した自分を誇らしく感じます。


この場を借りて、お祝いの言葉を下さった全ての方にもう一度伝えさせて下さい。

ありがとうございます。 

僕が今も打ち続けられるのは貴方のおかげです。


打ち続けると言えば、天鳳位到達後よく聞かれることがあります。


「ウルトラ立直さんが天鳳位になってからも打ち続けているのは何故ですか?」


十段を目指し夢見た僕にとって天鳳位は天運によって与えられたものでしかありません。誰もが感じるように、天鳳位に憧れを持ち続けています。

自分自身の天鳳位に納得していないのです。
天鳳位は、もっともっとすごいプレイヤーだと。

未だ15アカウントしか到達していないこの称号。

与えられたこの称号に少しでも近づけるように。


僕にできるたった一つのことは「打ち続ける」ことだけです。



だから僕は、今日も天鳳を打ちます。


自分自身が納得できる


天鳳位になる日のために。




パンダが天鳳位になる日
-END-

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