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偏差値40台の高校から、1年間で東大に合格/記憶術「場所法」を受験勉強用にカスタマイズして使う方法とは?

煽り気味のタイトルで申し訳ない。

自分が通っていた高校は偏差値低くて40ちょいだった。高校卒業後に1年頑張って勉強したら、自分でも驚いたことに東大に合格した。

そのなかであまり周りの人がやってなかった(と思う)記憶法がある。

こないだたまたま友達にその話をしたら、面白がってもらえたので、書いておこうと思う。

(自分は二次試験で世界史はやらなかった。なので(旧)センター試験で世界史正答率95%超をとれた記憶術ということ。)


勉強と暗記

一般論では、「暗記」ってすぐぼろぼろこぼれて消えてなくなっていく。試験の前に一夜漬けしても、しばらくしたら忘れちゃう。

自分は高校卒業した後に受験勉強はじめたので、そもそも一夜漬けの経験すら怪しくて、勉強と言えば30分くらいの浅漬けキュウリくらいのものか、下手したら耳から聞いた音をそのまま素通しさせただけの勉強とも言えない何かくらいしかしたことなかった。

が、小さいころに図書館で読んだ記憶法にすがって、いろいろ工夫してみたら、これが特に世界史のような教科に恐ろしいほどに効果的だった。

基になった記憶法「場所法」

「記憶の宮殿」とか「場所法」といわれるものがそれだ。

記憶術の世界では王道の手法らしい。

もちろん語呂合わせとかも手っ取り早いのでよく使っていたのだけれど、語呂合わせだけだとあんまり複雑な関係とか膨大なものは覚えきれない。前後関係とか因果関係とかは特に難しい。

最初にオリエント覚えて次にギリシャにいったら、もうオリエントのことはおぼつかなかった。

そのあたりで「これはヤバい」と思って、どうやるか必死で考えていて思い出したのがこの方法だ。

そこには、次のようなことが書かれてたと思う。

  • まず、自分の家とかよく通る道とか、目を閉じても光景が具体的にイメージできるような「場所」を思い浮かべる。

  • 次に、覚えるべき事柄を、なるべく事柄を連想しやすい(語呂的にでもいい)ビジュアルをイメージできる「モノ」に変える。確か、円周率の「3.14159」だったら「産医師(314)」「異国(159)」とかって書いてあった気がする。

  • 最後に、覚えるべき「モノ」を思い浮かべた「場所」に置いて、そのイメージを覚えていく。

小さい頃、雑誌の裏表紙とかに「記憶法」みたいな怪しげな広告がのってて、それで興味を持って図書館で探したのを覚えている。その時の成果は円周率を何桁か覚えただけだったが、18歳になってこの記憶が役に立つとは。

とにかく、「場所」に「モノ」を置いていく。

これを世界史の記憶に応用できないかとやってみた。

「通学路」を記憶の「場所」として使って、歴史の記憶に応用する

まず場所として、小学校のときの通学路を使うことにした。世界史は流れがあるので、順番に道に置いていけばいいし、通学路なら目をつぶっても細かに思い出せる。

これが結果的に非常によかった。

ここには十字路があって好きな子の家があったとか、ここには自分がふざけて木から落ちて骨折した柿の木とか、記憶の粒度が細かい。

置いていくモノのイメージの具体例

場所が決まったら次はモノだ。

山川の世界史が確か18章くらいあったので、家から学校までの18箇所に「各章を代表するイメージ」を置いていった。

  1. ピラミッド(オリエントからローマ)

  2. ターバン巻いたインド人(古代インド)

  3. チャイナ服のおねーさん(古代中国)

  4. 馬に乗った怖い人(騎馬民族)

  5. アッラーって言いながら祈る白い服の人(イスラム)

  6. 十字軍ぽい騎士(西欧中世)

  7. 羅針盤(ルネサンス・宗教改革・大航海時代)

  8. 王様(絶対主義)

  9. ナポレオン(フランス革命)

  10. ミンミンゼミ(中国の明清)

  11. 星条旗(市民社会とアメリカ)

  12. 教科書に乗ってたトルコ人の絵(オスマントルコと19世紀)

  13. 戦争①

  14. 戦争②

  15. テレビ(戦後)

いま覚えてるの15だったけれどもまぁよい・・。

効果はマジで今すぐ実感できる。最初にやるべきこと。

まあ、とにかくまずはこの15人/個を頭の中で、自分の通学路に順番に立たせてみてほしい。

あの角にはインド人、あそこの郵便ポストにチャイナ服のおねーさん・・という感じで。とにかく鮮明にイメージしておいていくのが大事。

置くべき人/モノが学校までに置ききれなかったら、例えば学校の校門のところにトルコ人置いて、下駄箱で戦争①して、階段で戦争②して、教室にテレビ置くとか、道のりをイメージしながら、好きなところに置いてけばよい。

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どう? 頭の中で15人/個、道に置けた?

そしたら、頭の中で通学路をたどりながら、順番に思い出してみてほしい。

どうだろうか、世界史の流れの全体像が、もう頭のなかで再現できたのではないだろうか。(中高ちゃんと勉強した人はいまさらかもしれないけれど)

自分はこれをやってみたら、もう翌日以降、世界史の大きな流れがわからなくなるということが全くなくなって驚愕した。

仮におぼつかなくなっても、ああ王様の後にナポレオンだったか、とか知識に触れるたびに光景の記憶が強化されていくから、絶対に忘れなくなる。

次に授業(や教科書)でやるべきこと

初日の効果を体験してからは、自分にとって予備校の世界史の授業は、知識をいかにモノに変換して道に置いていくかというパズルみたいなものに変わった。

やるべきことは、道に細かく覚えるべきモノを追加していくだけだ。

大事なのは、ビジュアルをイメージできる人/モノを置くこと不思議なことに、「宗教」とか抽象度が高かったり、「シパーヒー」とか見知らぬ概念の単語のままだったりすると、覚えられない

例えば、あのガードレールのとこで、「老人の足にカメが噛みついた(前612[老人の・に]年、アッシ[足]リアを[カ]ルデア・[メ]ディア連合軍が倒した)な、とか。

図書館で地元の地図をコピーしたものを予備校に持ち込んで、授業のノートの代わりに覚えるべきイメージの絵を描いていた。はたから見たらなにしてるのかわかんなかっただろう。

もし今タブレット持って授業受けられるなら、Googleマップをキャプチャしてそこに書き込んだり、ググった画像貼り付けてけばいいと思う。

試しに、駒場東大のあたりに、キリスト教からビザンツのあたりの流れをおいてみた。

駒場東大の付近に、キリスト教史を置いてみた

ニケーア公会議のところにおばあちゃんがいるのは「ミツコ(325)にケア」って覚えたから。

アプリはiOSの「フリーボード」が使いよかった。そしていらすとやは神。

弱点領域の強化

強化したい知識については、上に例を出した「キリスト教史」のように、別の道を用意して細かく覚えることもできる。

例えば自分の場合は中国史が苦手だったので、メインの流れの「通学路」では、チャイナ服とミンミンゼミのあたりはそれ以上細かくせず、新たに家から駅までの道に中国史を置いていった。

中学、高校、部活。自分がよく通った道は全部使える

関連事項を覚えるコツ

うまいこと交差点とかに重要人物をおけたら、道の東西南北と信号とかに、東征・南征や内政の特徴をおける。

これは例えば自分は、国道をわたるところがちょうど隋の建国だったので、その信号のところに「リッツと金とそよ風」(律令制と均田制と租庸調性)とかを置いた気がする。

復習の方法

覚えたい道を実際に散歩すれば復習が完了するし、頭の中でそれをなぞるだけでもおさらいできる。

例えば、頭の中でターバン男のところから、古代インド史をぶつぶつ順番に呟いてみる、とかできる。

教科書をそのまま暗記できたら超人だけれど、普通は無理だ。でもこの方法なら、各領域の流れを自分で言語化するトレーニングにもなる。

この方法のよい点

この「場所法」は、「身体感覚」として覚えられるので、前後関係の間違いとかが感覚ですぐわかる。

例えば、身体の向きの前と後ろって間違えようがない。道を歩いているときに後ろに見えるべき風景がもし正面に見えたら、頭がおかしくなる。

「隋」のあたりに出現するモノは、「明」のエリアに出てこない。

そんな感じで違和感に気がつけるので、正誤文問題とか、即答していける。

この方法の悪い点

難点もいくつかある。

まず、ビジュアルまで記憶している場所というのが人によってまったく違うため、どこに何を置くか共通の記憶法というのが作りづらく、教えづらそうという点。場所とモノの関連づけは、人ごとにやってもらうほかない。

次に、事柄をモノのイメージに変換するのに手こずると時間がかかってしまう点。

全部やろうとしたら他教科の時間がなくなり破綻する。章や授業のなるべく大きな項目からやっていくのがコツだと思う。

最後に、地図感覚がないと苦労するかもしれないという点。

自分は、地図とか道を覚えるとか強かったので主に道を使ったけれど、地図に弱い人は地図をノートにしようとすると大変かもしれない。

その場合、大きい建物(例えば学校の校舎)や公園のなかとかも使えると思う。体育館とか図書室とか、いろいろある。

まとめと振り返り

自分はこの方法の習得前後で、勉強の仕方が全然変わった。項目の暗記に終始するのでなく、その関係に目を向ける余裕ができた。また、その後の人生で暗記に悩まされることが、だいぶ減った。

読んだ本がなんだったかは覚えていない。

が、記憶術に書かれた書籍は多数あり、例えば下記はKindle Unlimitedで読める。通読したところ、他にもいろいろな方法や考え方が書かれていておもしろかった。

また、いまググってみたところ、下記サイトの「ラテン語で書かれた記憶術の三大古典」という記事が、古代のこの知識について解説しており、興味深かった。

挙げられている古典はどれも不勉強ながら読んだことがないが、読むなら下記がおもしろそうだ。

当時、記憶術は弁論術などの一部に組み込まれ、学問の基礎のひとつとして教えられていたという。

現代では、大学での教養人文知が近しい役割を果たしているように思うが、実際には10代の時に勉強=暗記に苦しめられた人が多そうなことを考えると、中学校のはじめとか若い時にこういう「記憶のコツや仕組み」について教えてみてもよいんでは、くらいには思ってる。

地図法とでもいうべき自分の方法は向き不向きあるかもしれないけれど、「場所法」の考え方自体は人それぞれいろいろ工夫できそうだ。

ただ残念ながら、英単語のように脈絡あまりないものとか、数学のように鍛錬が必要なものについては、あまりこの方法を使う余地は見つけられなかった。そのへんは、反復をたくさんこなすことが一番だったように思う。

誰かの何かの参考になれば。また、自分はこんな覚え方したよとかあれば、教えてください。


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