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現場で使える!RASICチャート【PMの道具箱 #1】

みなさん、こんにちは!

プロジェクトが複雑になるほど、「誰がボール持ってるんだっけ?」「誰がOKと言えば決まるんだっけ?」となって活動が混乱することはありませんか?
本日紹介するRASICチャートは、予め実行の責任者(ボールを持つ人)や、説明する責任者(チーム内で意思決定してステークホルダーに説明する人)などを決めておくことで、活動中の混乱を防ぐものです。

理解すれば簡単に使えて効果も抜群なツールなので(プロジェクト計画書に掲載を義務化する会社もあります)、ぜひ有効に活用してみてくださいね。


RASICチャートとは?

RASICチャートは、プロジェクト管理やプロセス改善などの活動において、特定タスクの実行に関与する人の役割と責任範囲を明確にするツールです。
RASIC は「レイシック」と読み、以下の頭文字を取ったものです。

  • R: Responsible(実行責任者)
    タスクの実行に責任を持ち、作業を進める人です。
    タスクの実行にあたり知識や経験が不足している場合は「Consulted」の役割を持つ人に相談します。

  • A: Accountable(説明責任者)
    経営層やお客様、利用者、取引先などのステークホルダーに対して説明する責任を負う人です。チーム内では、タスクの結果に責任を持ち、最終的な判断をする役割も担います。

  • S: Support(サポート)
    タスクの実行をサポートする人です。業務を行う上で必要なリソースの調達も行います。

  • I: Inform(報告先)
    説明責任者がタスクの進捗や結果の報告を受ける人です。

  • C: Consult(相談先)
    実行責任者が円滑に業務を進めていけるように、業務の実行支援、アドバイスを行う人です。

RASICの関係性
RASICチャート例

こんなシーンで使えるRASICチャート

RASICチャートはさまざまなシーンで役立ちますが、ここでは2つの例を挙げます。

  1. プロジェクト管理
    プロジェクト内でタスクの役割分担を明確にするためにRASICチャートを利用します。誰が何をすればよいのか明確に分かるようになり、コミュニケーションと調整が円滑になります。

  2. プロセス改善
    業務プロセスの改善を行う場合に、誰が何をやっているのか、役割を観える化するためにRASICチャートを作成します。実際に整理してみると、役割分担がグチャグチャなケースも多く、プロセス上の課題抽出や改善点の特定に役立ちます。


RASICチャートの作り方

RASICチャートの作成手順は以下の通りです。

  1. タスクの特定: プロジェクトや業務プロセス内で行われるタスクをリストアップし、表側に記述します。

  2. ステークホルダの特定:関係するステーホルダやプロジェクトメンバーを洗い出し、表頭に記述します。

  3. Accountable(説明責任者)の設定: 各タスクに対して、Accountable(説明責任者)を1人ずつ設定します。

  4. Responsible(実行責任者)の設定: 各タスクに対して、Responsible(実行責任者)を原則として1人ずつ設定します。

  5. 他の役割の設定: 必要に応じて各タスクにInform(報告先)、Consult(相談先)、Support(サポート)を設定します。

  6. チャートの共有: プロジェクトチームや関係者と作成したチャートを共有し、役割分担とコミュニケーション(情報共有の手段やタイミング)を確認します。このとき、実行責任者→説明責任者や説明責任者→報告先の報告ルールを5W1Hで決めておきましょう。

💡Tips!:抑えておきたいポイント
これからの役割設計(プロセス改善におけるAS-ISの可視化ではない)を行う際のポイントを4点ご紹介します。

事前に「そのタスクは誰の守備範囲なのか」を決めておく
どの程度のタスクは誰に報告が必要か、誰から誰に報告が必要か、タスクの大きさや種類によって責任範囲が変わってきます。プロジェクトの方針に関わるタスクはこの人、この業務領域に関するタスクはこの人、システムに関するタスクはこの人など、事前に大まかな責任範囲を決めておくと、RASICチャートの役割設定をスムーズに行えますし、タスク間での担当のバラつきも防げます。

nice to haveで役割を乱発しない
「あった方がよい」でInform(報告先)、Consult(相談先)、Support(サポート)を設定すると、誰が責任を持つのか不明瞭になり、RASICで整理する意味が薄れていしまいます。「必須」な人を設定するように意識しましょう。繰り返しになりますが、Responsible(実行責任者)とAccountable(説明責任者)は原則として1人にしましょう。

タスクの粒度に注意する
表側に挙げるタスクの粒度がバラバラにならないように注意しましょう。
タスクの粒度は細かすぎると膨大な表になるケースもありますし、粗すぎると結局誰が何をやるのか分からなくなるケースもります。また、プロジェクトの段階が進むにつれて適切なな粒度も変わってくるので、適宜見直しながら、タスクの粒度が現状に適しているか注意するようにしましょう。

Responsible(実行責任者)は複数設定する場合もあるが要注意
実行責任者は原則として1人ずつ設定するものだと説明しました。これはお見合い事故を防ぐためです。しかし、プロジェクトの初期段階では、表側に洗い出すタスクの粒度が粗くなりがち(細かくできない)で、実行責任者を一人に絞れないケースがあります。この場合は無理に一人に絞ったり、無理にタスクを分解したりせずに、複数人設定しておきます。ただし、プロジェクトが進むにつれてタスクの粒度を細かくして、実行責任者を一人にすることを忘れないでくださいね。


テンプレートとサンプルはこちら

📋テンプレートとサンプルの利用規約はこちらを参照してください。


いかがでしたでしょうか。
今回はRASICチャートの用途や作り方をご紹介しました。
RACIチャートを使うことで、誰が何をするべきかが明確になります。
是非あなたのチームや組織で試してみてください。

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