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小さく始めて、大きく育ったeスポーツ、Rush Gamingへの情熱

今私は、自身が経営してるeスポーツチーム、Rush Gamingの世界大会遠征の帰路の途中、2時間待ちの乗り継ぎでアムステルダム空港にいます。少し時間があるので、この遠征中に読んでとても共感した記事を、私の実体験と共にご紹介出来たらと思います。
※画像は弊チームのアパレルの宣伝写真です()

この記事は、
進路の選択や就職活動で自分がやりたいことがなんなのか分からず悩んでいる人や、あるいは、受験・就職、あらゆる面において今の環境に不満がある人、好きなことや夢中になれることが無くて、漠然とした不安がある人に、とてもオススメな記事です。

端的に主張を共有すると、
これまではスティーブ・ジョブズを代表に

「好きなこと、情熱を傾けられることを”探そう”。好きなことを仕事にしよう。それが無いなら、探し続けよう」

というのが、世界の成功者達からの若者へのアドバイスの主流でした。
ですが、あれもこれも試しながら、好きじゃないなら次へ次へと、好きかどうかチェックをしながら情熱を燃やせるようなモノ、コト、場所を見つけよう、というアドバイスよりも、「情熱を育む」という選択肢を提供し、その技術を共有していこう。というのがこの記事の大枠です。

YouTubeを代表とし、世間は「好きなことで食べていく」ということを声高に語ることが多く、ご多分に漏れず弊社のキャッチコピーも、
「熱狂をチカラに」
という、夢中になれるそのチカラが活かせるシゴトをしよう、シゴトを作ろう、というのが弊社の創業時から変わらぬ(というかやや放置の)テーマです。

創業時から掲げてきたこの言葉ですが、実は猛烈に苦心した結果、自分に嘘の無いギリギリのラインで納得できるコピーという、妥協の産物です。

起業すると、最初の1年はとにかく質問攻めにあいます。
なんで起業したの?
Wekidsでは何をするの?
ビジョンは?ミッションは?
至極当たり前の質問なのですが、当時は答えるのがとても億劫でした。
何故なら、そんなに声を大にして人に語れるような情熱も、まして原体験も私には無かったのです。
自分には、それしか見えないくらい夢中になれること、想定できるあらゆる困難や努力を惜しまず、昼夜問わずに没頭出来るような情熱の矛先は無く、ましてその実現方法が起業、といういわゆるスタートアップストーリーは無い。
だけど、そんなコトがある人達と一緒に仕事をさせて頂いたり、自分が少しでも役に立てる事があるのが幸せでした。

なので、「熱狂をチカラに」というのは、自分の熱狂や情熱をチカラにしたいという意味ではなく、そんな人や想い、チカラが活躍出来るようなビジネスや会社、社会をつくりたいぞ、という、
言い換えてしまえば
「私以外の凄い人たちと仕事をしたい、できればすごく面白い感じで(私は役立てるようにむっちゃ頑張るので・・)」というのを、
ちょっとそれっぽく書き直したが「熱狂をチカラに」という言葉だったのです。

そしてそれを引け目に感じなかったかといえば嘘になります。

同年代で活躍してるような起業家達と比べれるとなんと貧弱なのだろうか。今だから言えますが、無駄な比較と劣等感と、迷いと不安で眠れない夜や、ある日唐突に原体験づくりの為にアフリカに行ってみようかと言い始めることもありました。(思い留まりました)
でもこれって、結構共感してくれる人も少なくないような気がいたします。
嘘の原体験、動機を作らないといけないプレッシャーは、人生の節目節目でよくあることだなぁ、と。

私の情熱

さて起業して5年目、eスポーツに関わり始めて2年半、まさか自分が、起きてる時間の大半をRush Gamingというチームでの事業について考えてるようになるとは、前述の通り起業当時はまるで思っていませんでした。

しかも、eスポーツですよ。
世界では大注目のマーケットかもしれませんが、話す人によっては完全に日本では超絶苦戦必須の市場です。
市場としてはやらない理由の方がやる理由の100倍くらい出てきます。

ですが、Rush Gamingでならやりたい。
今私は、人生初めて人生全部かけてもやりきりたいのがこのeスポーツ事業です。
あらゆる苦難を超えたいと初めて思えたのがこれで、だからこそ、つまらないことでも嫌な事でもなんでも出来るなと感じます。(Rush Gamingについては、記事の最後に参考リンクをまとめておきます)

そしてもっというと、リアルタイムでこの情熱は育ってきており、ゆるやかなグラーデーションを描きながら、本当にこの半年程で本当の意味での「情熱」に変わってきたと思います。
情熱やモチベーションは、「ある」「ない」では語りきれないんですよね。
少し興味があるほどなのか、
ちょっとお金を使いたいと思うなのか、
機会損失があるけど時間を使いたいと思うなのか、
やや金銭的なリスクをとりたいと思うほどなのか、
仮にとてもつらく苦しい事があって自分の自尊心が傷ついてボロボロになるかもしれないリスクをとりたいほどなのか、
それすらも見えない程の情熱なのか・・・

それって、やってみないと分からないんですよ。
私もeスポーツは、本当に小さく小さく始めてみました。

私の情熱の育み方

起業から約2年後、前職の経験とコネクションを活用して、10,数え方次第では20名くらいの小さな会社になり、まぁ人並みにご飯が食べられて少し心にも余裕が出てきた頃に、ちょっとした転機が訪れます。
現Rush Gaming共同創業者のGreedZzとの出会いです。
eスポーツ自体は知っていましたが到底ビジネスにはなりえないだとうと思っていた矢先に、当時大学3年生だった彼が知り合いに紹介され会社のドアを叩いてきます。
不思議な魅力を感じた私は、うちではスタッフとしてはあんまり雇わないタイプの彼だったものの、まずはインターン生として時給1000円で雇用してみました。
正直いってスタッフとしては雇いたくないタイプで、本人もよく自覚しています。
高学歴コミュニケーションお化けと意識高い勢が多い弊社からしてみればとても異質な存在でした。
しかし彼を採用したその数日後に大会があり、彼の試合を観戦。
筆舌に尽くし難い感動でした。
強烈な感動体験を味わい、それまで未知だったeスポーツシーンにとても興味がわいたのをきっかけに、
インターン契約を変更しまず月約10万円からの個人スポンサー契約を結んでみたのが、私の情熱のきっかけです。
彼個人だけを支援することに、そこから1年弱の時間を使いました。

その頃からおそらく桁違いのパッションで取り組んできたとは思うのですが、GreedZz以外の3人と、チームとして、などは全然考えていなかった時期も長くあります。

情熱って簡単じゃない

こればっかりは性格によるかと思うのですが、私にとっての情熱や熱狂は、結構時間がかかります。

私はなにか興味がわいたり、好きかもなと思う事は趣味であれ仕事であれ、少しお金か時間を使ってみるようにしています。
この程度の金額のお金は、時間を使うよりも圧倒的に手っ取り早くかけられるので、興味関心レベルとしてはエントリーレベルだと思っています。

でもそれは、1ファンと同じです。
ファンとして消費するか、ともに作り上げるか、は大きな差です。
中小企業の社長としてファン消費に徹するのか、それとも、ともに投資し生産するパートナーになるのか・・・
ファンとして好きでいれるかと、ビジネスパートナーとして友好的であれるのかは全く別物です。
あまりに違うので、個人的には次元の違う情熱が必要だと感じます。

ただ愛でれば良い立場から、時に解雇をしたり、自分自身が嫌われてしまうリスク、うまくいってる既存事業を崩壊させてしまうかもしれないリスク、借金を負うリスク、心理的リスク、ビジネスにはリスクがつきもので
、いかにそれを最小限にしつつリターンの最大化を目指すか。
ファンとして好きなのか、そうでないなにかなのか、の大きな違いがここにあると感じています。
(そのリスクを感じながら愛でる効用も大きいですが、これは趣味趣向にだいぶよりますね・・・

愛せるのか、という疑問と向きあう

情熱が消えてなくなってしまうかもしれない恐怖もありました。
あまりに、GreedZzが、Rush CLAN eスポーツ部門が好きでした。
彼らと、誤解を恐れずにいえばGreedZz, WinRed, Ngt, Namiの4人で未来を作ろうとしていた自分がいました。
本当ですよ。
心の底からその4人で、憧れのゲームユニットであるMSSPさんのような、そんな30代になれたら良いなと思っていました。

そんな夢が、たちまち崩れてしまったのが去年です。

アメリカで実感した実力不足、うまくいってるときは表面化しなかったチームの関係性問題。
CoDというゲームの、eスポーツタイトルとしての構造的課題。
あまりにビジネスとして向き合い続けるには、情熱を燃やし続けるには、他人の人生に責任をとるには・・苦しすぎるハードルでした。

そして更に追い打ちをかけるように、
Rush Gamingが怒涛のメンバー変更を迫られたのがBO4シーズン(2018~2019年)です。

2018年夏のNami、Ngt脱退のあと、
2018年10月に突如つきつけられた、eスポーツの4人制から5人制への変更による新メンバー受け入れ。
2018年12月、ラスベガス大会後にGP選手のストリーマー転向による新メンバー探し。
2019年1月の、GreedZzドクターストップによるメンバー探し・・
半年で3名も新メンバーの受け入れを強いられました。

そして多くの初期Rushファンと同様、
私もその都度、大粒の涙を流しながら、その都度その都度、
まだ見ぬ「新メンバー」に、暗い悲壮感と、途方もない恐怖を感じていました。
全く見ず知らずの、素性の知れないゲーマー達。
プロゲーマーなんてなるのに、覚悟なんてもつ機会もチャンスも土壌もなかった人たち。
CoDは特に、私があまりに関わり慣れてないタイプの若い子が多いという印象があり、とにかく怖くて怖くて仕方がありませんでした。
恐怖の一番の対象は、
「この子達を、好きになれるかどうか。興味を持てるかどうか」
に尽きます。

今まで好きだからがんばれた事は、新しい人達と一緒に頑張れるのかどうか・・・。
不安で仕方がありませんでした。
その不安を抱いたまま、半ば自分の情熱を確かめる為に行ったのが、
CWL Fort Worthです。
今の5人と行った、海外遠征です。

この時期をきっかけに私は、
自分が情熱を「育める」という自信と、自分が心の底から情熱を育める対象を理解しました。

情熱の本質

Rush Gamingの発足当初は、GreedZzという個人。
そして、WinRed、Ngt、Namiという個人の集合体が情熱の源泉でした。
今は違います。
私の情熱の源泉は、個人そのものよりも、人の成長のストーリーだと思います。
Rush Gamingメモリーズという動画シリーズを見てる方は、一見私の情熱の対象が、かわいらしい新メンバーにあるかと思うかも知れませんが、実際のところそこはとても表面的な部分です。
(それだけなら正直、ビジネスリスクが生まれたらすぐにやめてしまいます。私意外と男っぽい性格で、かわいくてもお金かかると飽きてしまうというか、途端に楽しめなくなるので・・・浪費で楽しめるならそれに徹します)

困難を乗り越えてでもと、心の奥底から湧き上がるような強い熱の源泉は、
年単位でその姿を見ているGreedZz・WinRedの背中、GPの成長、入る前はちょっと頼りないな・・?と思っていたHuntのリーダーとしての前進、
そして、これは贔屓目なしに、今一番注目してもらいたいのは
Luke選手で間違いないでしょう。
過去の未熟な言動で反感も多く、軽口も多い、いかにもCoD民!だと思われがちな彼ですが、仲間として、一人のアスリートとして、夢に向かって走り抜ける1人間として最も面白く、時に私にもズキッとするような意見をいってくる上に、一番「結果へコミットする」男に急激に様変わりしたのが彼です。

情熱があるのかどうかを図る為に、いくつか良い困難もありました。
圧倒的人気を誇ったGreedZzが前線を離れ、Rushとしては一時期ビジネス的にも大きく打撃を受けました。去年の中盤から、誇っていた戦績も大きく下がり、簡単には勝てなくなりました。
本社Wekidsでも、同時期に大きく売上を下げるタイミングもありました。
しかし、新しいメンバーとともに必死で歩んできた結果、順調に業績は回復傾向にあり、むしろこれまではGreedZz、あるいはハセシンのみに頼りきっていた興行が、全く違う様相を見せ始めています。

日本1位であるのが当たり前だと言われてきた昔の4人とは違い、新しいメンバーをくわえた今の彼らと、そして新しく入ってきたGorou、Vebraの2名が、本気で日本1位を、そして世界を目指す姿を数ヶ月見て、私はこのeスポーツチームという活動に、次のレベルの情熱を持てると初めて確信することができました。
チーム営業の他に、現在はアパレルやリアル店舗の展開などへも興味があったり、昔は全く興味がわきませんでしたが、CoD eスポーツシーンそのもの、eスポーツシーンそのものの発展に寄与したいなという気持ちが湧いてきました。
(程度でいけば、自費で50万くらいなら観戦にいきたいな、とか、2019年5月時点では4000万くらいまでなら借金して事業リスク背負ってチャレンジしたいな、とか、今まで頑なに断ってきた本書いてもいいな、とかくらいです。億単位投資とかはまた次のレベル)

終わりに

長くなりましたが、私から言いたい事は、

・人はやり方を学べば情熱を育むことができる
・情熱を育むには時間がかかる
・時間をかけるには、お金が必要だが、その量は必要十分なだけで良い
のほかに
・就職後どころか起業したあとも、等身大で情熱は育めばいい
・情熱が無いなら、少しでも興味あることに、貢献するところから始めよう

最後のはあんまり自分でいうのがおかしいので簡潔に。
とりあえず出来ること全部やって対象を成功させることだけに必死になったのが、良かったと思います。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
以下、もしよければご覧頂ければ幸いです。
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Rush Gamingについて**
世界でも大人気の家庭用ゲーム機FPSゲーム「 コール・オブ・デューティーシリーズ」を中心に活動するeスポーツチームです。2016 ESL Asia Community Cup大会での優勝を皮切り、アジア圏で実績を出し続け、コール・オブ・デューティーの世界大会であるCWL(Call of Duty World League)に日本代表として2年、4大会連続出場(2018年、2019年)。
https://www.rushgaming.co/

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Rush Gamingの経営について書いた、本が出ます。
よろしければ予約頂けたら嬉しいです!

ちなみに試合の翌日に、なんの脈絡もなく選手達にも共有しました。
何か凄く、私が彼らの年頃の時に感じていた違和感の解消になるような気がしたのです。
(読んでるか?!読んでるのか?!!!!!!読んでたらLINEください()

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、、、思いっきりスーパー行こうとしてますね。


よろしければサポート頂けたら嬉しいです! Rush GamingやWekidsでの活動費に充てさせて頂きます。