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家の隣の崖(2024年6月18日(水)の300字小説)

 家のすぐ横が坂というか、崖になっていて、草がぼうぼうに生えている。
 今の時期は何の花かは知らないが、白い花が群生していて、窓から見るには綺麗だ。
 昔、私が小学校の頃、妹の担任が家庭訪問に来ていたとき、その崖を登って学校に戻って行ったことは印象に残っている。子どもしか行かないようなところに、大人が通ったのが記憶に残っているのだ。
 小さい頃にはその崖で、私はぬいぐるみを失くしていた。うさぎのぬいぐるみだった。どう探しても出てこなかったので、泣いて諦めた。
 冬には滑り降りる遊びもした。しかし大人になると、その崖に踏み込むことはなくなったのである。
 おしまい

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