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許さねば生きていけない

「ケモブレイン」て言葉があります。

一言で言うと「クスリによるボケの加速」です。化学療法が原因で生じる認知障害 。主な症状は、記憶力・集中力・作業能力の低下です。聖路加国際病院の丁寧な説明による諸症状は以下の通り。

 ☑ 通常、問題なく思いだせることを忘れてしまう
 ☑ 今やっていることに集中できない、注意持続時間が短い、「ぼんやりする」ことがある
 ☑ 名前、日付のように細かいことや、時には大きな出来事まで思い出せない
 ☑ 料理をしながら電話に応答するというように、一度に複数のことをやるのがむずかしい
 ☑ 何かを終わらせるのに時間がかかる
 ☑ 日常的な言葉を思い出すのに時間がかかる

読んだ瞬間に「これだよ」と思いました。再発予防のためにホルモン療法を続けている自分にまるっと当てはまってる。もう、本当に、どうしよう。

若い時は天然ボケと呼ばれていたし、クスリを飲む前だって割とまぬけなところあったし、気のせいとか加齢のせいってことにしてたほうが気楽かなと思ってたんだけど、しかし、看過するには、ちょっと度が過ぎててですね、しばらくは、やらかすたびにイライラして、悲しくて。

でも、最近ようやく、そんな自分を許せるようになってきた、というか、開き直りました。もしこれが心因性だというならコントロールする術を探したくなるけど、ここは「脳幹に働きかけるクスリなんか使ってんだから、それが原因に違いない」と割り切って、対症療法でチェック体制を二重三重にしていくほうがストレスないなと。

オンラインと紙とのカレンダーのダブルログを基本動作にするとか、朝起きたらやることを手帳に書き出して優先順位付けるとか、まあ自分でやれそうなことを前向きに工夫し始めています。

親子丼作ろうとしてオムライスが出来上がるとか、子供に呼ばれた瞬間にししゃもを忘れて黒焦げにしちゃうとかで、料理にはタイマーを使うのを基本動作にしていますが、それでもやらかすので、見かねたパッパが、冷蔵庫に貼る小さいホワイトボードを買ってきてくれました。(ありがとう!)

それを使い始めて気付いたんだけど、以前の自分(つまり普通の人)って、すごいマルチタスクを、メモなしでなんなくこなしていたんですね。

短期記憶装置がぶっ壊れている今の私は、メモ無しではフワフワとあっちこっちで小さな事故を起こしながら進むしかない。まあそれでも生きられはするんでしょうけど。いや、メモのおかげでめっちゃ助かるわ。

昔の映画で、事故でちょっと前のことをすぐに忘れてしまう障害を負った男性が、大事なことを掴んだら自分の体にそれを刻み、タトゥーだらけになって謎解きする話がありました。「メメント」っていうの。そんな感じ。

人類は文字の発明によって論理的思考を深めることが可能になったので、文字を知る・知らないで、人の世界の捉え方というか、頭の使い方は全く違うという研究があるらしいですけど。ほんとに文字って偉大です。

幸いなのは、私が自分でタイムマネジメントできる「書く」仕事をしているということ。書くことは思考の棚卸をする作業なので、校正の時間をしっかりとれば品質を落とさずに納品できます。

対面長時間が前提のヒプノセラピーは、このご時世なので原則できなくて、条件付きの既存の方とご紹介のみになってます。申し訳ありません。

更には、今の時代、インターネットが外部記憶装置として使えるので、パッと出てこない言葉や定義はググればいいわけ。これぞサイバネティック。

まあ、日常生活ではあれこれあるわけですが、何か思いついたらすぐアウトプットする癖のついた私、昨日「おむつ」ってホワイトボードに書きながら(そんなクリティカルなものさえ買い忘れるんです)、思いました...

…結構、アタマがぼんやりしてても生きて行けるもんだんな、と。

ちょっとあほになっちまった自分を許そうと。

許さねば生きていけん、というのもありますが、ぼんやりしてるくらいが丁寧になってちょうどいいのかもと思うの、半分冗談で半分本気です。

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