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リリース時の告知、販売、情報戦略

今回はゲームリリースをいきなりしては失敗する可能性が極めて高いので避けた方がいいという話題に触れる。ゲームをリリースをする際、基本的には事前情報というものが結構長い時間をかけて出されることになる。

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1|事前告知をする理由にはワケがある

少しだけ解説をすると、

たとえば家庭用ゲーム(パッケージ販売時)の場合、最低3ヶ月前には情報解禁してから販売され、長いものでは、告知期間を1年以上かけて露出していくものもある。家庭用ゲームの場合は店頭受注があるため、店頭に並ぶまでの受注期間を設けるために、情報解禁は遅くても発売から3ヶ月前〜半年前ぐらいを目処にして公開される。

一方、オンラインゲームやアプリの場合は、事前登録というものを行う。これはシンプルにクローズドβテストをやるための集客期間だったり、販売キャンペーンを最大化するための事前情報の露出となる。

家庭用ゲームとアプリサービスの事前情報の意図は少し異なる部分はあるが、発売時(リリース時)に販売活動を最大化するための事前期間というのは共通して一緒である。


2|売れなかった!を回避する

では事前情報公開をしない場合にどういうことが起こるのか? 事例を挙げてお伝えもしていくが、基本的にはいい作品であっても爆死、または売れるタイミングを逃すことが度々発生するケースが非常に多い。

売れたらラッキーだし、売れても加速度は低いままであることが多い。

その理由とは?

3|ユーザーへ訴求する情報量を調整する

結論はこれだ。

たとえば新しい商品を購入する時、その意思決定はいろいろな情報からおもしろそうなのか、買っても大丈夫なのか、損はしないか?評判はどうか?といったことを見て購入決定することが多いだろう。

しかしながらこの事前情報がない状態ではユーザーは購入決定がしづらい。というよりも、その前にまずは情報収集をした上で、自分の中で情報を咀嚼する必要がある。

これは販売側の視点から見てみると、ユーザーに対して、認知、興味喚起、体験をすっ飛ばして、購入するための情報を一度に与えていることになる。販売活動期間を、あまりにも短い期間で一気にユーザーに対して行っているということだ。

はっきりいって、これがセールスマンのプロセスで判断すると、即座に購入を決められるには相当優秀な商品と提供内容や、卓越した話術なりコピーライティングなどがないと到底無理なお話である。

例えるならばTVショッピングで話をしているイメージぐらい、営業の大ベテランが商品を片手にPRしているようなイメージだ。

しかしながらゲームというジャンルは、見た目だけではなかなか面白さが伝えられないだけでなく、ユーザーが持つ感情を刺激できるのか?はまったくの未知数だし、時間がかかる。そしてその商品や設計者が無名であればあるほどにそのハードルも上がる。

そういう観点からも、事前情報を出して、ユーザーの反応をみることはすごく大事だということだし、反応が悪い場合は即座に調整をかけなくてはならない。

少し整理したのが下記のスライド資料となる。

4|事前情報は製品を売るためのテスト

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情報を通して、認知してもらい、興味をもってもらう。その後に体験をしてもらって購入の決定をしてもらう。少なくとも商品販売前にはこの工程をすっ飛ばすのは大変危険で、商品が売れる売れないが完全に博打になりかねない。

できれば認知、興味、体験のフローで不都合な部分や反応が悪い部分を調整した上で、リリースにつなげて行きたい。情報戦略とは、この販売を最大化するためのテスト行動だと見てもいいぐらいである。

5|情報戦略のポイント

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6|まとめ

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P.S

家庭用ゲーム、アプリで発表からリリースまでのタイミングがあまりにも近いゲームはほぼ爆死していることがお分かりいただけると思う。その理由は準備不足であることが一番多い。シンプルにゲームが不完全なまま、リリース体裁までを整えて販売したというケースだ。

過去の経験則や共通する項目としては、「クソゲーになったがどうしても大人の事情でリリースせざるをえない。だけどクソゲーを大々的に告知してコストをかけるまでもないので、ひっそりと出してひっそりと運用しよう」という理由が1つ。

それ以外ではノウハウがただないという事例もある。これは非常にもったいないが、海外タイトルが日本に参入するときにあり得る事例。あとは経験不足のメーカーが自社パブリッシュをしたが、ノウハウがなくていきなりリリースして集客できずにサービス終了になる事例もよく目にする。

逆に事前告知を一切せずに、バリバリに関係各所に露出を仕込みまくってリリースして大ヒットするケースもごく稀に存在する。かなり古いがSUPER CELLのクラッシュロワイヤルや最近だと原神がリリースされたときはそんな感じに近い。

Google、Apple全面協力のもとでストアをジャックし、TV CMもジャックしたといったケースだ。しかしこの両者に共通することがあるとすれば、一部の地域でごく小さなクローズドテストを綿密に行なっていたことと、過去の実績がありメーカーとしてのブランドがあったことだ。

こういう、すでにテストが完了しており、かつ過去の実績とネームバリューがあると、そういうった逆張りパターンでサプライズ展開をすることもたまにある。しかしそれができるのはほんの一部のメーカーと開発力ありきのメーカーなので、参考までに知っておく程度でいいとは思うが、他のメーカーが簡単に真似できることではない。

ゆえに、地道に情報戦略を行なって反応テストを行い、調整して販売を最大化。販売後もキャンペーンやコミュニケーションで伸ばしていく手法が比較的手堅く健全な商スタイルだと言える。

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