アイドルオタクを知ろう~認知から検索・検討フェーズ編~

こんにちは、東海林(しょうじ)健(けん)です。

前回、アイドル業界改革宣言(https://note.com/ukuostrip2021/n/n9810bdbb0faa)を執筆してから約1週間近く経ちました。無事デビューライブが成功したと思ったつかの間、周囲でだんだんとオミクロン株の感染者が増え、結果的に私たちグループにも陽性者が発生し、活動の一時休止を余儀なくされました…。

しかしながら、デビューライブ自体はギリギリのタイミングで開催でき、70人近いお客様にもご来場頂けました。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。

さて、本日の執筆テーマは、簡単にいうなれば「アイドルオタクを知ろう」です。前回のアイドル業界改革宣言でも記した通り、コロナウイルスとコンカフェをはじめとした強力な競合の出現という2つの外部環境変化が、アイドル業界をジリ貧状態にさせています。この変化に伴うアイドル業界の構造変化を捉えなければ、with コロナはいわんや、Afterコロナにも対応できなくなり、2020年代のどこかで我々に馴染み深い(地下)アイドル文化は消え去ってしまうでしょう。まさに"時代の敗北者"になってしまうのです。

では、その構造変化とは何であり、具体的にどう対処すればいいのか?という一歩進んだお話を本日はさせて頂ければと思います。

構造変化の捉え方は、表面的ではあってはなりません。

例えば、オフライン→オンラインへの移行。これは表面的な変化であり、大事なのはそれに伴い、消費者(オタク)のニーズ変容があったのか?、あるいは、供給者(運営・アイドル)のサービスの在り方に変容があったのか?です。例えば、オンライン特典会は、「接触」というバリューを、コロナという仕方のない事情でオンラインに移行したものにすぎず、それが故に消費者にとって不人気なコンテンツです。実際、先日#でぃんぷるっでオンライン特典会をやってみましたが、まさかの予約0…様々な要因もあっての結果だとは思いますが、そもそもオンライン特典会に肯定的な声をアイドルオタクから一切聞かないので、仕方のないことかなとも思いました。
まとめると、オンラインへの移行は、接触を中心価値にする以上消費者(オタク)のニーズ変容があるわけでもなく、また、その内実が"お話会"である以上供給者(運営・アイドル)のサービスの在り方にも変容があったわけではないです。であるがゆえに、表面的な変化にすぎず、構造的な変化ではありません。

では、その構造的変化を知るためにどうすればいいか?
簡単にいえば、「オタクを知る」、つまりアイドルオタク(見込み客も含む)がどんな理由でアイドルオタクをやっているかの理由とその経緯を探ることです。調査内容を以下に簡単にまとめてみました。

■構造変化とは?(Why?)
・・・過去5年~10年のアイドルオタクのニーズ・課題の変化

■構造変化を示すために知るべきこと(What?)
・・・過去と現在のアイドルオタクのニーズ・課題

■知るべきことを知るために取り組むべきこと(How?)
・・・アイドルオタクへのヒアリング調査とそれを通じたカスタマージャーニーマップの作成

■取り組むべきことを実施する対象(Who?)
・・・アイドルオタクを5つのセグメント(集団/まとまり)に分類
①ティーンセグメント(16歳~20歳)
②女性オタクセグメント(社会人の女性)
③ピンチケセグメント(20歳前後の男性)
④おじさまセグメント(30代後半~社会人の男性)

■取り組むべきことを実施する場所とタイミング(When/Where?)
・・・1/23~1/28にオンラインにて、合計6人にインタビュー

以上が簡単な調査の枠組みです。いくつか補足を。

まず、カスタマージャーニーマップの作成についてです。
カスタマージャーニーマップとは何か?ですが、これはある消費者がある商材を購入するプロセスを明らかにするとともに、そのプロセスの中で、どの段階にどのようなニーズと課題を持ち合わせているかを段階的に整理することが可能な便利なフレームになります。
マーケターの世界では、新商品開発や既存商品の改善で最初に取り組む基本動作(とされているはず)であり、消費者のニーズと課題を、網羅的に理解するのに最適なフレーム(だと信じています)です。
※自信なさげに書いているのは、私自身がマーケティングを専門とするコンサルタントではないからです
※気になる方は「カスタマージャーニーマップとは?作成手順7ステップや作成ツールを紹介」(https://semlabo.com/seo/blog/customer-journey-map/)あたりでもお読み頂ければと思います

続いて、セグメント分けについてです。当たり前ですが、こうした取り組みの最上級の目的が「グループを人気にしたい、つまりお客さん(オタク)を増やしたい」だとしても、オタクによってその推す理由はそれぞれなので、タイプ別にいくつか施策を分けなければなりません。
もっと単刀直入に言えば、JKとおじさんでアイドルを推す理由が一緒なわけがありません。従って、私の7年間ぐらいのアイドル業界の経験を頼りに、大きく消費志向が異なるであろうこの4つのセグメント分けを採用しています。この4つのセグメントは、それぞれがアイドルを推す理由が異なるのであり、自分たちが行おうとしている企画やコンテンツ(楽曲など)が誰のことを向いてなされているのかを常に意識しなければならないと考えています。

最後に、実施場所とタイミングについてです。
今回は私のツテをたどり、6人の方にインタビューすることが出来ました。その方も真摯にインタビューにお答えいただき、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。
インタビュー中も「あくまで私の意見ですが…」とおっしゃる方が多くいらっしゃいましたが、これは全く問題がございません。なぜなら、現段階は仮説の作りこみの段階であり、この仮説の正しさを証明する段階ではないからです。
この辺りアンケート調査の設計に関わる部分のため詳細は避けますが(詳しくはアンケート調査のメソッド本でもお読みください)、本記事でお伝えする内容も、100%正しいという前提では語っておりません。そもそも、アイドルオタク自体何百万人もいる世の中で、ニーズや課題を100%網羅することは不可能です。
しかし、調査する側に出来ることは、この網羅度合い(%)を高めることです。今回のインタビューを足掛かりに、現場での施策実施を行いながら、アジャイル的に仮説精度を高めていく、あるいは大規模な定量アンケートを実施する等の手段で、この度合を各段に高めることは可能です。ただし、私たちは大規模な定量アンケート調査を実施するほどリソースがないので、自然と前者(アジャイル推進)で仮説を検証する形になると思います。
※本記事をお読みの方で「アイドルオタクの推し活に関するニーズ・課題動向把握アンケート調査」と銘打ってご協力頂ける調査会社の方がいらしたら、ぜひご連絡下さい泣

さて、前置きが長くなりましたが、以上の調査前提を基に、実際にインタビューした結果を、これから記載いたします。アイドルの方、アイドル運営の方など、現場に携わるすべての方のご参考になれば幸いです。

※時間の都合上、以下カスタマージャーニーマップは清書前の段階のものを掲載しています。中身詳細を確認されたい際は、画像を拡大してお読み頂けますと幸いです。

まずは、本記事では、認知~検索・検討フェーズから考えていきます。ご存知の通り、認知~検索・検討フェーズにて最適な施策を打たなければ、そもそも購入(お金を使う)までに至りません。

認知~検索・検討フェーズ ~ティーン層の鍵はリコメンドと動画コンテンツ~

最初に、ティーン層セグメントの認知~検索・検討フェーズまでのカスタマージャーニーマップを追ってみましょう。

ティーン層(18歳、女性、高校生):Nさん
カスタマージャーニーマップ

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 1 (1)

ティーン層(18歳、女性、高校生):Aさん
カスタマージャーニーマップ

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 2

まず最初に皆様に問いかけたいのは、今のティーン層が特定のアイドルグループを知るきっかけ(認知のきっかけ)とは何か?ということです。

今回の二人のインタビュー結果では、tiktok、Youtubeといずれも動画サービスがあげられました。いずれのコンテンツも、

①強くリコメンドが効く
②コンテンツに対する滞在時間が画像と比べ比較的長い

という特徴があります。もっというなれば、自分のフォローしている世界に閉じこもりがちな(かつティーン層のユーザー数もそもそも少ない)Twitterや、リコメンド投稿が見えづらく滞在時間も短いInstagram経由で認知するという動きが見込みづらいということです。

世の中の多くの企業が使えるプロモーションのチャネルも、だいたいSNSが主流の現代です。
※当然、テレビやタクシー広告などもありますが、BtoB企業が大半です。
であるならば、この限られたSNSチャネルにおいて、動画コンテンツの拡充と適切なプロモーションの在り方が必要になることが、ここで示されています。

これは、後続の興味・関心、検索・検討フェーズでも同様のことが言えるでしょう。両名へのインタビューで分かったのは、興味・関心を高めるに至ったきっかけは、認知以降の動画コンテンツの継続的な視聴です。当たり前ですが、そのコンテンツと接する時間が長くなればなるほど、そのコンテンツへの愛情は高まります。
従って、大切なのは、認知したときに、その後興味関心を深めるまで持っていける動画コンテンツをどの程度準備できているか?ということです。知ったところで、ハマるきっかけになるような動画が少なければ、秒単位のスクロールによって一瞬にして過去の人となってしまうのです。SNS時代、当たり前ですが、継続的な接点確保というのは非常に大事となります。

また、もう1点非常に大切なことを記します。我々がアイドルというコンテンツを売っている以上、ライブ映像の役割が非常に高いことが伺えます。後述する全てのセグメントに共通して言えますが、これは、興味関心フェーズと購買フェーズの架け橋となるコンテンツです。
要するに、ライブ映像を良いものと思えなければ、その後実際にライブに足を運ぶ(=お金を使う)に至らないと言えます。ここがアイドルとインフルエンサーの分水嶺になるポイントになると私は分析しました。

以上をまとめます。ティーン層の認知~検索・検討フェーズにおける大きなあり方としては、

①リコメンドによって個人を知る(tiktok、Youtube)
ーーーここまで認知ー--
②個人の出ている動画コンテンツにたくさん触れる(Youtubeチャンネル、ミュージックビデオなど)
③興味関心が高まった結果として推しアカウントを作る
ー--ここまで興味・関心ー--
④ライブ映像を見て、グループを知る。グループを知ることで、楽曲や推し以外のメンバーへの興味も上昇する。
ー--ここまで検索・検討ー--

という流れが想定されます。これを踏まえながら、今度は女性オタクセグメントを見ていきましょう。

認知~検索・検討フェーズ ~女性オタク層の鍵は、"運ゲー"である認知と、共感を生み出すコンテンツの質~

女性オタク層(20代後半、女性、会社員)
カスタマージャーニーマップ

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 3

女性オタク層(30代前半、女性、公務員)
カスタマージャーニーマップ

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 4

まず、認知の点でいえば、リコメンドであることには変わりはないものの、TikTokやYoutubeではなく、直接的に他人からリコメンドされたケースだったということが特徴的です。恐らくですが、SNSに日常的に触れる機会がティーン層と比べれば少ないという事情もあり、必然的に他人からのリコメンドが認知機会の中心となっていると推測されます。

本セグメントに特徴的なのは、認知後の興味・関心の持ち方の理由です。3つのことが言えます。

①購買に至るまでのコンテンツに触れる量は、ティーン層と比べれば多くはない
②興味・関心のベクトルが、ティーン層が外見(可愛さ、雰囲気等)に向いている一方、女性オタク層は内面(考え方・価値観・言葉選び)に向いている
③認知の段階で、自らを主語とした興味を持つ理由(これを蓋然的理由と呼ぶ)があること

ということです。

まず①について。社会人であるがゆえに財布の余裕があるということも理由なのでしょうか。ティーン層が購入に至るまでに触れるコンテンツ量よりも、女性オタク層が触れるコンテンツ量の方が少ないと感じました。つまり、コンテンツの方向性さえ間違いがなければ、比較的購入フェーズにまで至るハードルは低いということです。

このコンテンツの方向性に絡む話で、続いて②に参ります。インタビューの中で印象的だったのは、(ここまではっきりとはおっしゃっていませんでしたが)「可愛い子、パフォーマンスが上手な子は世の中にいくらでもいる。だが、内面(考え方等)は唯一無二だという子を推したい」という発言です。これには私も思わず唸りました。はっきりといえば、このポイントが女性アイドルオタクが同性のアイドルを推す最大の理由たるポイントだと考えられます。
例えば、数年前によく流行っていたブログは、そうした内面を表現できるコンテンツだったでしょう。あるいは、現在であれば、Twitterがそうした表現を伝えられる分かりやすい場所です。

③については、もう少し検証が必要です。私がヒアリングした方はそうですが、自分発信の理由が、最初に興味を持つきっかけにあったということを示しています。つまり、例えば「自分と推しが似ていたから」「アイドルの卒業後の進路選択に興味があったから」など、これは自分自身が主語となっている理由です。これはもしかするとティーン層(女子)にも潜在的に言える理由なのかもしれません。つまり、「自分が可愛くなりたいから、推しのようになりたくて応援する」という理由です。

女性オタクセグメントも、ティーン層セグメントと認知~検索・検討フェーズの流れが大きく変わることはありません。ですが、そのコンテンツの方向性が異なることに留意が必要です。これをまとめると、

①リコメンドによって個人を知る(友人や知人経由
強い興味を持つ蓋然的要因があった(自分に似ている、卒業したアイドルのその後の活動への興味など)
ーーーここまで認知ー--
③個人の発信するコンテンツにそこそこ触れる(ライブ映像、ブログ(Twitter)
ー--ここまで興味・関心ー--
個人の考え方・価値観・表現に共感する。
ー--ここまで検索・検討ー--

という流れになります。ティーン層と比較したとき分かるのは、コンテンツ自体の厚みは必要ないものの、高品質なコンテンツが求められるということです。簡単に言えば、量より質、これに尽きると思います。具体的には、共感されるようなアイドル個々人の考え方を示せるかどうかです。
また、これが少し厄介なのですが、認知にかなりの運の要素があるということです。それは全て②の蓋然的要因に起因しており、いうなれば、オタク自身の内面が推す理由の一部を形成しているので、それが千差万別である以上、ヒット率(認知の段階でビビッと来る確率)が低まってしまうという問題を孕んでいるのです。

ただし、ヒットした暁のロイヤリティ(購買単価)は非常に高いのがこのセグメントの特徴です。推しに一途であり、とてつもないほどのお金を使ってくれます。であるならば、このセグメントをより細分化して、様々な蓋然的理由ごとにプロモーションのチャネルとコンテンツを変化させるというやり方も検討すべきと考えます。

認知~検索・検討フェーズ ~ピンチケ層の鍵は、直接的な声掛けによる認知と、ガチ恋営業による興味関心の引き立て~

続いて、ピンチケ層についてです。ピンチケとはそもそもどんな人たちかを説明していなかったですが、一般的には「周りに迷惑をかける若いオタク」なんて定義もされていますが、私はこれは必ずしも当てはまらない定義だと思います。私なりの定義でいえば、

①楽曲を中心にコールやジャンプを通じて現場を楽しむ
②自分と年齢が比較的近いアイドルとの接触を楽しむ(場合によっては繋がることも目的に据える)
③現場にて複数人の仲間を持つ

の3つに当てはまるオタクのことを指し示すのだと考えます。従って必然的に、20歳前後(±3歳)の男性になるということです。また、楽しむことが行き過ぎるが故、周りに迷惑をかけることもたまにあります。(もっぱら最近はコロナでそういった現場も見なくなりましたが…)

ピンチケ層(20代前半、男性、大学生)
カスタマージャーニーマップ

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 5

まず、認知の点でいえば、こちらも友人からの紹介、特にオタク仲間からの紹介によって知ることだったり、ティーン層セグメント同様、Youtubeのリコメンドによって知ったケースがあるようです。

一見、これまでのティーン層並びに女性オタク層と大きな差がないように見えますが、「オタク仲間からの紹介」というのはこのセグメントに特徴的な内容となります。それは、確実性の問題です。要するに、オタク仲間から紹介された場合に、その後興味を持つ確率は、他層と比べて高いだろうということが伺い知れます。

これは一種の口コミです。世の中にあらゆるアイドルグループが溢れる中、自分のことをよく知っており、かつ、アイドルに対する目利きのある友人から紹介されれば、それが大きな選好の基準となるのです。
ただし、一つ留意しなければならないことがあります。それはこの紹介の在り方です。インタビュワーに伺う限り、「直接話して勧められる」ことはそのアイドルへの興味には繋がるが、例えばTwitterにあげられているチェキを見るなどの間接的発見によっては興味に繋がらないとのことです。要するに、信頼できるオタ仲間から、直接紹介されないと刺さらないのです。

SNSマーケティングの世界では、UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)が重要視され、コンテンツマーケティングにおいて大切だとされています。要するに、企業(ここでは運営やアイドル)のみならず、拡散性をもって、ユーザー(オタク)自身がコンテンツを作り出し発信すれば、その投稿をみた友人・知人は、その投稿を信頼性が高いと考え興味を持つ割合が高いという概念です。ピンチケオタクが必ず行う「ライブ終了後にチェキをSNSにあげる」は、まさにUGCといえるでしょう。

ただし、肌感的に、「SNSで別オタがチェキあげてて興味を持ったからライブに来ました」というオタクを見たことがあるかといわれると…記憶にないです。先述通り、間接的発見(Twitterでのチェキ投稿)は興味に繋がらないのです。ここに、認知のポイントがあります。

これまで数多くのアイドル運営は、RT企画によって、自グループを世に広めていこうとしてきました。#でぃんぷるっもRT企画を実施しましたが、Twitterを解析すると、驚くほどインプレッションからエンゲージメントとフォロワー獲得に結び付いていません。少なくともRT企画によって得られたフォロワーは0に等しいです。

これが意味するところは、本セグメントにおいては少なくとも、間接的な宣伝施策はあまり意味がなく、直接的にオタク同士が声を掛け合って集まれるような環境づくり・施策が必要ということです。
具体的には、紹介してもらいやすい理由を作るということです。例えば、起点となるピンチケオタクの周囲に「湧ける現場が好きなオタクが多い」のであれば、「あの現場、すげぇ湧けるから」と紹介してもらえるよう、ライブセトリを考えるなどです。つまり、ピンチケ勢の中のハブとなるようなオタクを見つけ、直接アプローチする必要があります。

続いて、興味・関心~検索・検討フェーズの話に移りましょう。これまでのティーン層/女性オタク層が中身の差あれど、コンテンツを媒介に興味・関心を高めたのと対照的に、ピンチケ層は接触によって興味・関心を高めるということが伺えます。

当然、ピンチケ層はこれまで多くのアイドルに触れています。だいたい今の地下アイドルの動画コンテンツ(企画系からMVまで)がどのような中身でどんなクオリティなのかというのもよく知っています。そして、それがどんぐりの背比べだということもよく知っているのです。コンテンツの量・質は高ければ高いほど当然喜ばしいことですが、それが興味・関心を持つことの強い動機になるわけではないということです。
そのため、実際に触れあって接してみたとき(特にご新規様無料チェキなど)の感覚を非常に大切にします。

従って、ピンチケ層に対して非常に重要になるのは初回接触時の接し方です。初回接触時に、いかに相手に好きになってもらうかが大事となるでしょう。これをガチ恋営業と呼びます。これがその後の継続的な購入に繋がるかどうかの分水嶺になります。
※ここでは、具体的にどう接触すればよいか?の言及は避けます。後日、また別建てで記事にする(かも)です。

以上まとめると、

直接的なリコメンドによって個人を知る(オタク仲間
ーーーここまで認知ー--
③個人の発信するコンテンツに多少は触れる(ライブ映像、Instagram、Twitter
ー--ここまで興味・関心ー--
チェキ無料等の機会を通じてたまたま対バンが被ったときに接触する
ー--ここまで検索・検討ー--

こうしたフローに整理できるでしょう。

後日別建ての記事にしますが、ここで対バンの役割の一つが浮かび上がってきます。それは、自グループのことを知っていて興味は多少あるが、検索・検討まで至っていない(もっというと購入まで至っていない)オタクが、接触する機会を設けられるということです。全く知らないが対バンを見ていきなり物販を見てチェキ券を複数枚購入する、みたいな消費形態はほぼほぼあり得ません。ですが、その前段階で興味を持っているオタクがもし他グループにいれば、その人たちを自グループのオタクとして囲い込むには、非常に重要な場所なのです。
故に、対バンの前に興味・関心フェーズまでいかに多くのオタクを引き上げることが出来ているかが肝になります。そして、そのポイントは、ピンチケ層においてはコンテンツの充実度ではなく、ハブになるようなオタクにいかに自グループを直接推薦してもらっているか、にかかっているということを断言します。

これは私にとって非常に重要な発見でした。ピンチケ層は動員に結び付きやすく、場を盛り上げてくれることも間違いないです。そのため、ピンチケ層を動員していくことはグループにとって重要な戦略の一部になります。

認知~検索・検討フェーズ ~おじさま層の鍵は、真面目さ~

おじさま層(40代後半、男性、自営業)
カスタマージャーニーマップ

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 6

先に申し上げておくと、おじさま層とのツテがあまりなく、まだ有用なカスタマージャーニーマップが描けていないという感触があります。

インタビュワーの方は、往年のAKB48のファンの方でした。AKB48クラスであれば、認知はテレビ、その後の興味・関心~検索・検討は、バラエティ番組、ブログなど、様々なコンテンツに溢れています。

ただこれが参考にならないかといえば、そんなことはありません。時代は移り変わり、テレビがtiktokやyoutubeに代わり、コンテンツがYoutubeチャンネルやTwitterに代わっているだけのことです。要するに、「たまたま目に入る→コンテンツを通じて深堀する」という大きな流れには変化はありません。このルートをどのように形成するかということです。はっきりといえることは、女性オタク層やピンチケ層のように友人や知人からのリコメンドが支配的というよりは、メディアを通じて間接的に知る機会が支配的ではないかということでしょう。

面白いことに、JKとおじさまでは、触れるメディアこそ違えど(JK=tiktok、youtube/おじさま=twitter、Youtube)、間接的に知るということは共通項というわけです。
※1点、おじさまにとって主要なメディアは何か?という問いは残ります。ここでは経験則上Twitterとしていますが、他の媒体の可能性もあります。そこは要調査です。(情報通信白書等に情報は載っていると思います)

ただし、興味・関心~検索・検討に至るまでには、他の層と異なる傾向がみられます。説明を分かりやすくするために、上記カスタマージャーニーマップに加え、購入・継続フェーズのカスタマージャーニーマップも掲載します。

#でぃんぷるっ打ち合わせ用 - Frame 7

ここで示唆されているのは、そのアイドルの"真面目さ"が重要な評価基準となっているということです。女性オタク層の内面への共感に近い部分もありますが、それがいささか複雑性を帯びているのに対し、おじさま層にとっては単に真面目さが重視されています。

真面目さとは、様々なポイントがあるでしょう。インタビュワーの方も挙げて下さったように、NGT事件のような素行不良や身内敵対みたいな話もそうですし、努力しているかどうかもポイントかと思われます。

真面目さの見せ方には様々な手段があるにせよ、要するに真面目であることが、購入・継続の分水嶺に、もっというなれば恐らくその前段の興味関心~検索検討フェーズの重要なバリューになっていることは言えると思われます。

まとめます。

①リコメンドによって個人を知る(TwitterRT、いいね!も含む
③個人の発信するコンテンツに多少は触れる(ライブ映像、Twitter)
ー--ここまで興味・関心ー--
その人が真面目に活動に取り組んでいるかを知る
ー--ここまで検索・検討ー--

逆を言えば、素行不良な情報が出回っているグループや個人は、このセグメントに対しては致命的です。それは簡単に言えば、真面目ではないと思われるからです。
真面目さのアピールの仕方には様々な方法があると思われます。今後、この点についても掘り下げて取り上げられればと思います。

結局、認知~検索・検討フェーズでやるべきことは?

ここまでお読み頂いた方ありがとうございました。

相当長かった文章だと思います。まだまだですが、網羅的に各セグメントの認知~検索・検討フェーズにおける特徴を炙り出したつもりです。

結局のところ、こうした分析を踏まえて何をすべきか?が気になるところだと思います。

一つだけ留意点があります。それは、今後記事化予定の購入・継続フェーズの施策が不十分な状態で、本フェーズのことを考えても、全く意味がないということです。

よくあるたとえに、ザルのたとえがあります。認知~検索・検討フェーズは、いかにザルの中に泥を大量に入れるかの話であり、購入・継続フェーズは、そのザルの網目のきめ細やかさの話だとされます。
これはつまり、いくら大量に泥を入れられたとしても、網目がガバガバ(=購入・継続フェーズの施策が不十分)な状態であれば、全く顧客を捕まえることは出来ないということを示します。従って、大事なのは、まずもって網目をいかに細やかにする話だということが、ここに示唆されています。

従って、#でぃんぷるっ運営としては、別途2月~4月を目途に、網目を細やかに施策する購入・継続フェーズを中心とした施策を打ちます。ですが、既に多くのオタクを抱えていらっしゃる規模感の大きな運営様であれば、本記事を参考に、認知~検索・検討フェーズの拡大を考えて頂いても問題ないかもしれません。

本記事では、具体的な施策まで踏み込まず、その施策の方針ともなるような考え方(戦略)を示しています。

また時間があれば、具体的な施策にまで言及していければと思いますので、どうぞ楽しみにしておいてください。ではまた。

告知:アイドル運営様へのコンサルティングを実施します

業務内容:お悩みのことであれば何でもOKです。様々な分析を用いながら、ロジカルにお悩みを解決できればと思います。

費用:5万円~(要相談)

連絡先:administration@emo-lab.net(東海林健宛)

まずはお悩みをお聞かせ下さい!その後、そのお悩みを解決するための手段を提案させて頂きます!
































































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?