「新 コーチングが人を活かす」鈴木義幸

みなさんには
「仕事で悩んでいるメンバーを助けたい」
「なかなか行動してくれない子ども未来に向かって歩んで欲しい」
そういった悩みや期待を抱いたことはありませんか。

私にはあります。だけど人それぞれ性格も違うし、スキルも違います。なので1つの決まった教え方をするのではなくて、個々人に合ったフォローをしたい。そういう風に思っていました。
そんな時見つけたのがコーチングというスキルです。コーチングとは、メンバーの主体的な行動を促し、未来に向かって歩めるようになるスキルのひとつです。

この考え方がとても面白いです。この考え方を学べば周りのメンバーを助けるだけではなく、あなたの友人関係、職場関係、親子関係をより良くすることができるのです。
とても素晴らしいスキルだと思いませんか。それでは学んでいきましょう。

コーチングの目的

まずはコーチングの目的からです。「コーチングって初めて聞くな」っていう人も多いかもしれませんが、コーチングの目的はシンプルです。

コミュニケーションを取った相手が実際に行動できること。
そしてただ行動するだけではなく、気持ちよく行動できること。

これがコーチングの目的です。
「なるほど。ただ前向きな気持ちにさせるだけではダメなんだ」
「ただお互いの信頼関係を築くだけではダメなんだ」
「それだけではなくてしっかり相手を行動できるようにするところまでやらないといけない。それができれば素晴らしいと思うけれど、それってかなり難しいんじゃないの?」

そう思うかもしれません。この本では大きく三つのステップに分けて、コーチングの進め方を教えてくれます。

一つ目が相手との信頼関係を築く。
二つ目が相手の目線を目標達成に向かわせる。
そして最後の三つ目が相手の主体的な行動を促す。

この三つのステップで進んできます。

ステップ1 相手との信頼関係を築く

まずは相手との信頼関係を築きます。全く仲良くないコンビニで会ったそこら辺のヤンキーから突然「行動しろよ」と言われても全く行動する気にならないですよね。
ヤンキーはちょっと言い過ぎたかもしれませんが、特に尊敬もしていない上司から仕事を依頼されても、仕事だから仕方なくやりますけれども、前向きに行動する気にはならないですよね。

なのでまずは相手との信頼関係を築くことが重要です。そのために大切な8つのポイントを紹介していきます。この8つのポイントを私なりにさらに3つのカテゴリに分けさせていただきました。

まず一つ目が相手の警戒心を解く。
二つ目が安心感を与える。
そして三つ目が自発的な気持ちにさせる。

この三つのカテゴリです。

ステップ1-1 相手の警戒心を解く

まず一つ目の「警戒心を解く」これについては大事なポイントが二つあります。

ステップ1-1-1 大きな質問をしない

一つ目が大きな質問をしないということです。相手を行動させようと意気込んでしまうと、
「この会社で何を実現したいんだい」とか
「君はキャリアプラン、将来をどう考えているんだ」
と言った大きな質問を投げかけてしまいがちです。

そんな経験あなたにもありませんか?実際、私もそういった大きな質問をしそうになったことがあります。
だけど逆の立場になって考えてみると、そのような大きな質問をされた時、どうやって答えればいいかかなり悩んでしまいます。

そのようなことは日々考えていないし、突然質問されても困ります。なので大事なことは、大きな質問をせず、小さな質問を繰り返していくことが重要です。
そうすることで、「まずは相手の警戒心を解く」これが重要となります。

ステップ1-1-2 「なぜ」は使わない

警戒心を解くもう一つのポイントは「なぜ」という言葉は使わないことです。なぜなぜ分析とか、あの日本で最もパワーのあるトヨタでもよく使われる「なぜ」という言葉ですが、これをコーチングとしては使ってはいけません。トヨタ全否定ということです。

実際に自分が使われたことを想像すると分かりやすいです。なぜという言葉を使われたとき、ビクッとしませんか。
「なぜこれをしたのですか」
「なぜこれを選んだんですか」
そう言われると警戒してしまい、弁明したくなるような気持ちになります。

そうではなくて「なに」を使うのが大事です。
「何があなたをそうさせたのですか」
「この選択をしたポイントは何ですか」

「なぜ」を使ってしまうと相手自身に対して攻撃してしまうことになります。

ステップ1-2 相手に安心感を与える

こうして警戒心を解いた後には安心感を与えることが大切です。安心感を与えるポイントも二つあります。

ステップ1-2-1 オウム返し

まず一つ目がオウム返しです。
あなたが「辛かったんです」と言ったときに、
相手から「じゃあ辛くならないようにするためにはどうすればいいのかな」
と言われてしまうと、本当に辛い時であれば悲しい気持ちになりませんか?

「この人は問題を解決することにばかり考えていて、私の事を全く理解してくれていない」

そう思ってしまいませんか。ですので、

「辛かったんです」と言われたときは、
「辛かったんだね」とオウム返しするのが大事なのです。

「あなたの気持ちを私はしっかり理解していますよ」と伝えることができるようになります。

ステップ1-2-2 褒めるときは自分の気持ちを伝える

もう一つのポイントは褒めるポイントです。褒め方は結構難しくて、本心から褒めているのにお世辞だと思われてしまわないか、ここが難しいところです。
褒めるポイントは相手をただ褒めるのではなくて、自分がどう思ったのかを伝えるとうまくいきます。

「素晴らしいプレゼンだったね」ということはただ相手を褒めることですが、
「素晴らしいプレゼンだったから、安心して見ていられたよ」という自分がどう思ったかということを伝えると、相手はあなた自身の気持ちを否定することはできませんから素直に受けることができるようになります。

ステップ1-3 自発的な行動を促す

こうして警戒心を解き安心感を与えた後は自発的な考えを促していきます。これも二つのポイントがあります。

ステップ1-3-1 ゆっくり黙って考えてよいと明言する

一つ目が黙って「ゆっくり考えていいよ」としっかり伝えることです。人間は沈黙が苦手です。私もとても苦手です。
沈黙が苦手なので、この沈黙を破ろうと何か無理やり喋ってしまうと思った事がありませんか。私は毎日のように思います。

一方で何も言われずに沈黙されると、それはそれでドキドキする気持ちになりませんか。
「この人は怒ってるんじゃないんだろうか」そういう風に思ってしまいそうになります。

なのでゆっくりと安心して考えられるようにするために、
「待っていますのでゆっくり考えていいですよ」と伝えることが大事なんです。こう言われると「ああ今ゆっくり考えていい時間なんだ」ということがお互い理解できるようになります。

ステップ1-3-2 不満を提案に変えてもらう

二つ目のポイントが不満を提案に変えてもらうということです。なかなかやりたい仕事を考えることは難しいですが、やりたくない仕事であったり、あまり意味がないと感じている仕事を思いつくことは簡単ではありませんか。

であれば「この仕事はあまり意味がないと思います」とメンバーから言われたら、
「確かにそうだね。じゃあ意味があるような形にするためにはどうすればいいと思う?」といった声かけをするといいでしょう。

するとただ不満を言っていただけのメンバーが解決策を考えるようになります。

ステップ1-4 あなたも相手を信頼する

こうして「警戒心を解き、安心感を与え、自発的に考えられるようにする」これらができるようになった時、相手はあなたに対して信頼することができるようになっているはずです。
ただこれだけでは足りません。あなた自身が相手を信頼する必要があります。

「そんなこと言われなくても、ちゃんと信頼してるよ」と思うかもしれません。では、あなたはメンバーが困っている時、解決策を提案してしまってはいませんか?
困っているだから助けたい。そう思うかもしれませんが、メンバーを信頼しているのであれば簡単に提案はせず、「この人はしっかりとしたいいアイデアを出してくれる」と信頼して待つことが重要なのです。

なのでコーチングをするあなた自身も、「相手を信頼してしっかりと待つ」これが大切なポイントです。なるほど、と思いますよね。

ステップ2 相手の目線を目標達成に向けさせる

相手との信頼関係を築くことができれば次は相手の目線を目標達成に向かわせましょう。目標達成において重要なポイントは三つあります。

ステップ2-1 やりたくないことについて30分話す

まず一つ目が「やりたいことがなければ、やりたくないことについて30分話す」ということです。

「やりたいことがありますか」と聞かれるとなかなか答えることができませんが、
「どんなことがやりたくないですか」「嫌いな仕事はありませんか」そういう風に質問すると、怒涛のように話し始める人がいます。

スマホ脳という本の著者は、「人間の脳はポジティブなことよりも、ネガティブなことについて考えることが得意」と言っています。そのため多くの人はやりたいことよりも、やりたくないことの方が思いつきやすいのです。

ただ、それでいいと思いませんか。やりたくないことが明確なのであれば、それをなくすためにはどうすればいいか、やりたくないことを逆にしたらやりたいことになります。
不満や不快は、新しい目標を作るためのエネルギーなのです。

ステップ2-2 過去の嬉しかった楽しかった経験を一緒に思い出す

二つ目のポイントは「過去の嬉しかった楽しかった経験を一緒に思い出す」ことです。
「将来はどんなキャリアを描きたいんだ」と言われても困ってしまいますよね。そういったことを相手のためを思って、考えて欲しいのであれば、もう少しフォローしてあげる必要があります。

その時に使えるのが、この嬉しかった楽しかった経験をもとに未来に繋げていくことです。
「今までで一番楽しかったのはどのプロジェクトだった」
「そのプロジェクトは何が君を楽しくさせていたのかな」
「じゃあその楽しくさせていたものを増やすためにはどういったキャリアを描いて行ったらいいだろう」
こういった形で過去の楽しい嬉しい経験から、未来にやりたいことを目を向かせていけることができるようになります。

ステップ2-3 未来のより良い姿を具体的に描いていく

そして最後の三つめが未来のより良い姿を具体的に描いていくことです。具体的のレベルについてイメージを合わせるために、たとえ話をさせてください。

将来は海辺の見える部屋で、波の音と鳥のさえずりを聞きながら、コーヒーの香りにつつまれて働いている。
画面の先には仲の良い何でも話せる同僚がいて、私は自分のアイデアを早く共有したくてうずうずしている。

このような感じで具体的なイメージを二人で描いていきます。イメージが具体的であればあるほど、それに向かって歩むためにどういったことをすればいいか、それも明確になります。

ステップ3 相手の主体的な行動を促す

こうして相手との信頼関係を築け、目標達成に向かって目線を上に向けてもらうことができたら、次は相手の主体的な行動を促すことです。
ただこれについてはあまりやることがありません。今までの信頼関係と目標達成がうまくいっていれば、大事にしたいポイントはたった一つです。実際本ではたくさん書かれていたのですが、私にはこの1つができたら十分だと思いました。

それは、失敗しても良いと明言することです。

失敗してもいいという気持ちでいるというわけではありません。上司は部下に失敗して欲しいと、そこから経験して欲しいと思っているかもしれませんが、思っているだけでは伝わりません。
なのでしっかりと「失敗してもいいから前に進んでほしい」そういうことを伝えてあげると、不安が少しでも減って前に行動していくことができるようになります。

まとめ

いかがだったでしょうか。相手との信頼関係を築き、目標達成に目を向け、主体的な行動を促す。これらのポイントを意識していけば、相手が気持ちよく行動できるように話していけそうですよね。
是非皆さんの人間関係がより良いものになれば嬉しいです。


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