外岩で登る時のテクニックについて
はじめに
私はインドアのボルダリングにはまって、少しずつ外岩に連れ出して頂く機会を頂き、今では天候をみながら隙あれば外岩に通う人間になっていた。
初めて外岩に行った時は、そもそも岩質による保持感の違いなどが異なり、戸惑うこともあったが、色々な岩場で、気温や湿度、天候などの違いを感じながら登るうちに、そういった環境変化にも徐々に慣れていく。
そして気づいた。
岩場で多用するムーブのうち、必ずしもインドアでは用いる機会がないものが少なからずあり、それらはある課題の特殊ムーブではなく、様々な岩場の課題で、汎用性の高いものが多いのではないかと。
そこで、今回は岩場でよく使うムーブテクニックをまとめ、皆さまの外岩での活動に役立ててもらえたらと思う。
1.ヒールトウ(フットジャミング)
使用頻度:★★☆☆☆
汎 用 性:★★★★☆
難 易 度:★★★☆☆
ヒールトウはインドアでも行う機会はあるが、外岩を登るクライマーほどよく使うテクニックだと思う。ヒールをする場面で、ヒールしているホールドではなく、壁面部分にトウ、もしくはインサイドの側面を当てて効かせる。というテクニックだ。傾斜がキツイところになるとこのヒールトウの汎用性は高く、ヒールの効きが悪い際には、一度検討してみることをオススメする。
外岩で登り始めた当時、自分の師匠にあたる方に教わったが、2年くらい経ってようやく自分の登りの引き出しに収まった気がする。インドアでも使う機会がないわけではないが、トゥをあてるホールドが用意されているなど、オブザベで気づかせてくれることが多いが、自然の外岩だとそのことに気付くのに時間がかかる。外岩は限定課題でない限り岩を自由に使えるわけだが、インドアで長くやっているとそういった当たり前に気付けないことが多いと思う。
2.アンダー持ち
使用頻度:★★★★☆
汎 用 性:★★★★★
難 易 度:★☆☆☆☆
これは私の持論であるが、外岩では「アンダー持ち」の頻度が劇的に増える。外岩に遠征に出かけると、私の場合アプローチによる足腰の疲れ、体幹、そして上腕二頭筋が、インドアでのボルダリングと比べてよく筋肉痛になる。
今はこのアンダーへの対策として、ダンベルカールを日常のトレーニングに取り入れているが、外岩から帰った日のトレーニングで、一番疲れを感じやすいのがダンベルカールである。
皆さんが登りたい課題を五つ思い浮かべたら、絶対1つはアンダー持ちがある課題だと思う。何故インドアの課題と比べてアンダー持ちの課題が多いのか、仮設はいくつかあるが、皆さんに納得がいくほどの根拠があるわけではない。しかし、ここ1年で合計10段分ほどの課題は登っているが、アンダー持ちがなかった課題のほうが少ないと感じる。
そして、インドアでのボルダリングではあまり登りこんでいないため、クライミングに必要な筋肉の中で上腕二頭筋はあまり成長していないことが多い。私もそうだが、筋トレをしている人と比べれば、前腕は勝るとも劣らないとしても、二の腕周りは細いことが多い。
私は自宅でのトレーニングでクライミングを上達させてきた人間なので、このアンダーに関わる筋肉を鍛えることは、とてもオススメしたい。12キロのダンベルで毎日10回ダンベルカールしただけでも、効果を感じている。
3.ニーコンプレッション
使用頻度:★★★☆☆
汎 用 性:★★★★★
難 易 度:★★☆☆☆
私が一番みんなにお勧めしたいムーブである。
まず、コンプレッションとは、いわゆる「はさみこみ」のことを指す。
両側から体の内側に向けてホールドし、片方ずつでは効かないが、両方からの圧で保持するムーブのことだ。ホールドの大型化に伴い、近年ではボルダリングの代表的なムーブになってきていると思う。挟み込みの汎用性は高く、無意識に行っている動きが、実はコンプレッションであったりもする。コンプレッションという概念を理解しているだけでムーブの引き出しは増えると思う。
今回私がオススメしたいニーコンプレッションとは、岩と設置しているシューズ面でコンプレッションを効かせるだけではなく、膝を内側に倒し、岩に密着させることによって保持するムーブのことを指す。
これが思いのほか汎用性が高い。ヒールで十分に保持ができないような場面でも、膝を内側に立てて、足全体でカラダの内側にねじりこむことで、各段に保持できるようになる。コンプレッションというと両サイドからが通常であるが、片方だけでも効果が大きい。
通常のヒールでも乗り込む際など、膝を内側に倒すことで出力は上がる。このムーブは、ヒールの出力も強化されるが、それ以上に「コンプレッション」としての保持も上乗せさせることができることが強力なのだ。
室内でのボルダリングだと、壁から独立して隆起したホールドが多く、なかなか壁面に膝を当てるような態勢を作れないが、外岩ではかなりの場面でこの動きが可能となる。
私自身、初めて3段を登ったときにこのムーブに気が付き、以来様々な場面でこのムーブをこっそり行うことで、少ない負担で登る場面が多い。体の使い方は簡単であり、真似しやすいので是非試してもらいたい。
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