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岩クライマー、インスタクライマー、コンペティターの違い

目標のコンペまで50日を切った。
先日イベントでコンペを想定した想定課題をやっているジムで遠征したところ、自分の1撃の制度の低さに驚愕した。想定課題の制限時間は2時間だったが、開始1時間まで10課題中3課題しか登れておらず。その後30分間の間に6課題登り、9/10課題で終了した。

決してどこか特定の課題にかかりきっていたためではなく、一とおり数トライずつ行った結果、最初の1時間ほとんどの課題が登れなかったのだ。
その後落ち着いて動画撮影しながら登りだしたところ、6課題を登り切った形となった。

コンペでは、短い時間、少ないトライの中でどれだけ登れたかが争点となる。しかし、普段のジムではそういった制限はないため、こういった能力が全く培われていない。自分の足りないものが分かった一方、この分野の伸ばし方に苦慮しているところだ。

一方で、外岩メインの方と登ると、普段ジムで一緒に登っていて同じグレードに感じる人でも、RP(レッドポイント)が自分より高い方が多い。また、同じジムで登り続けている人は、ジムのマンスリー課題などで一日で登れる課題数は圧倒していても、締切近くになって抜かれるということも多い。(ジムへ行く頻度の問題もあるだろうが、私の場合たいがい3日くらい費やして登れないときは、その後登りこんでも登れないケースがほとんど)

私は、FL(一撃)を取る力も、RP(最高グレード)を更新する力も足りていないことに気付いた。原因を考えた時、自分が「インスタクライマー」であることが思い浮かんだ。

インスタクライマーとは?

「インスタクライマー」なる単語は、私の造語だ。インスタグラムが普及し始める時期にクライミングを始めて、成長記録を残るために完登動画をアップしていた。動画撮影では副産物として、自分が何故落ちたのかを客観的に分析し、改善に活かすことができた。その習慣を年単位で繰り返した結果、動画による分析力・修正力が向上したと感じている。また、インスタグラムには「完登動画」がたくさん掲載されているため、登りたい課題の完登動画を見ることもできる。結果として、ワンデイでの完登率は、比較的高いものになっている。(単にスタミナが大きいという理由もあるかもしれませんが・・)

だが、完登動画を見ることができず、動画撮影による登りの検証もできないコンペのような環境下での登りは、経験値が圧倒的に足りていない。
また、外岩も同じ課題を何日も通いつめたり、ホームジムの課題を長いスパンで挑み続けるような経験が、他人に比べて圧倒的に少ない。正直にいうと、動画検証の結果、「今の自分では登れない」と結論づけられると、途端にモチベーションを保てなくなる。同じ課題ばかり登ると、体のバランスも悪くなるし、ケガのリスクも増える。今の自分の限界値を伸ばすための手段として、目の前の課題を登ることよりも一回り全体の登攀能力を向上させることに注力してきている。

これらの結果、FLの精度や、RPを伸ばすことよりも、いわばOD(ワンデイ)力に特化したクライマーとなってしまっている。

整理すると、
        ごく短時間に登りきる能力・・・FL力
        1日で登りきる能力・・・・・・OD力
        数日から数年で登りきる能力・・RP力
と大別できるのではないか。
        FL力・・・(制限時間内での)オブザベ力・集中力・現場処理能力
        OD力・・・(制限時間内での)分析力・修正力・体力
        RP力・・・上記能力を継続して深める持続力
※RP力は総合力であり、必ずしも当てはまらないかもしれないが、一つの課題に向き合って登りきる力のことを「RP力」と定義づけている。


これらの力は、それぞれ意識づけしないと伸ばすことが難しい能力のように感じる。また、クライマーの向き不向きもあるだろう。けれど、こうやって整理して必要な能力を分析することで、意識づけてトレーニングできるのではないかと感じる。

残り50日、自分ができることをやりきって、その先に何が見えるか試したい。

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