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マーティン・スコセッシ「GoodFellas」(1990)145分

 今回見直して、原題が「GoodFellas」だと初めて気づいた。Good fellows とはちょっと違うニュアンス。なぜ日本の配給会社が、きれいな英語に直したのかよくわからないが、原題の方がよりくだけた感じでそして怖い。GoodFellasとは、スラングで「同じ組織の仲間」を意味するそうだ。映画を見終わると、改めてジーンとくるタイトルである。
 マフィア映画というと「ゴッドファーザー」があるが、GFのフォーマルで大時代的な描き方と比べると、本作はよりリアルで身近で恐ろしい。

 とにかく、主演の3人の演技がすばらしい。中でも、イタリア系チンピラを演じさせたら右に出るものはいない=ジョー・ペシ(1943-)が甲高い声の弾丸トークで演じる「切れキャラ」は、今回もめっちゃ面白くて怖い。この人の映画を追っかけて見てみたい程だ。この映画でアカデミー助演男優賞をとったというが、文句なし。中でも、怖かったこのシーンを、ネットフリックスがあげてくれている。

 爆笑していた周囲がみるみる凍りつく。この一触即発の緊張感を生み出すのは、ジョー・ペシ芝居の真骨頂だろう。

 デ・ニーロ(1943-)は例によって偏執的なくらい細かい演技が効いている。ペシとは異質だが、怖さも相当なものだ。
 そして主人公ヘンリーを演じるレイ・リオッタ(1954-2022)は(少し雰囲気がレオナルド・ディカプリオに似ていて、スコセッシはこのタイプが好きなんだなとも思ったが)3人の中でも、異質な感じがよく出ていて、これまた適役だったと唸らざるを得なかった。ディカプリオには出せない味だったと思う。

 とえらそうに書いていたら、この映画製作の裏側を取材したドキュメンタリーを見つけてしまった。ネタバレがあるので、映画を見てない方にはオススメしないが、スコセッシのこだわりの数々がよくわかる。先ほどのジョー・ペシの怖いシーンのメイキングも13-20頃に出てくる。

 なんと9-20頃にこの作品のモデルとなったヘンリー・ヒル(本人?)が出てくる。このドキュメンタリーもなかなかの曲者だ。

 この映画のすばらしい「長回し」シーンも、主人公の長い一日を描くユニークな手法も、音楽との関わりも、時系列のいじりも、そして電話を持つ手が逆になっていたミス(?)も、すべてこのドキュメンタリーが解き明かしてくれる。

 講義成立である。見てよかった(笑)!

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