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浮世絵の絵具ー「紅」工程記録

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#浮世絵の絵具

浮世絵の絵具ー細工紅④

復刻春画「蛸と海女」は紅絵具も自分で作りました。思ったより上手く出来ましたが、細かいデータはまだ確かなものが分からず、詳しくは次回にし今回は概説だけ説明します。
1 紅花餅100gを2日2晩水に浸けます。

2木綿布に紅花餅をくるみ絞ります。黄色の液が出ます。(この絞り汁は使いません。)どれくらい絞れば良いかはまだ掴めていません。

3前日の晩より木灰と水を混ぜて灰汁の準備をしときます。町田市大賀

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浮世絵の絵具ー細工紅③

従来の復刻版で使われる赤絵具は化学合成絵具ですが、江戸時代は紅花から精製されていました。この絵具を「細工紅」「片紅」「彩色紅」と呼びます。

自分は伊勢半本店さんの細工紅をこれまで使用してきました。これは2008年に行われた立原位貫氏の浮世絵復刻プロジェクトに合わせ復元されたもので、現在も製造・販売されていますが、採算面に於いて今の自分には使用が厳しく別の入手方法を見つける必要がありました。(今回

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浮世絵の絵具ー細工紅②

新作用に注文していた細工紅が届きました。細工紅は出来上がったばかりの状態は泥状ですが水分を含んだままだと変色の原因になるので、すぐに使用せず保管する場合は乾燥させます。(とても高価で摺師としての下請けの仕事では使えません。)

下請けの仕事が忙しく、新作の制作ははかどってはいませんが、少しずつ進行はしています。

2018.2.16

浮世絵の絵具ー細工紅①

江戸時代のオリジナルの浮世絵の赤は紅花から作られています。紅花は当時色々な用途に使われており、純度の高いものは口紅に、それより純度の低いものが浮世絵の絵具などに使われました。
浮世絵などに使われた純度の低いものを細工紅といいます。純度が低いといっても高価な絵具で文献には「惜しむこと金の如く」、「紅は親方が摺る」といった記述が見られます。
江戸時代以後化学性顔料がとって代わるようになり永らく市場から

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