The Vision
「仕事なんか、クソだから、楽しく働こう。」
新卒で、入った会社を、2ヶ月で辞めて、なんとか、今の会社に潜り込んだとき、配属先の上司に、最初に言われた言葉だ。
当時、23歳、社会から、早速はじき出された、自分にとって、その上司の言葉は、人生を変えた。こんなに、はっきりと、仕事なんて、クソだと、言える大人がいることの、衝撃と安心。この人の下なら、頑張れそう。そう思えた。
ある意味、その人の出会いは、必然にすら思える。自分の、学生時代のアルバイト先に、綺麗で愛想のいい、パートさんがいて、こんな、人を妻にできる男は、羨ましいな、と思っていたら、その男が、この上司だった。
「奥さんから聞いてるよ、本当に身長高いね」と、電子タバコを吸いながら、いう上司は、かっこよかった。大人って、こんなに、かっこいいものだと、初めて、そう思った。
かっこいい大人の定義は。
自分のやりたい仕事に就いて、バリバリ働く。
プライベートの時間に、趣味に生きる。
自分自身の、能力や才能を生かして、自由に生きる。
Twitterや、はてなブログ、note、そんな、ソーシャルメディアの、タイムラインの中に、転がる、かっこよさこそが、意味のある労働だと、思い込んでいたあの頃。安定を、選んだ、自分の不甲斐なさも、その上司のおかげで、とりあえず、頑張ってみようと思えた。
僕が、その人の下で働けたのは、わずか、数ヶ月。早々に昇格させられた、自分は、仕事ができたわけでもない。ただの人手不足。もっと、この人から、吸収したいこともあったし、もっと、つまらないことも話したかった。
とはいえ、その人の、教え。
「仕事なんか、クソだから、楽しく働こう。」
の精神は、妥協した社会を、生きる上で、1つの、道標になったし、その精神は、常に大事にしていた。
楽しく、働くなんて、無理でしょ、好きな仕事でも、やりたい仕事でも、労働時間が短いわけでもなく、給料が、ものすごくいいわけでもない。とはいえ、自分の心の持ち方で、案外、楽しく働くことは可能だと、社会人も、3年目を超えたあたりに気づいた。
もちろん、その後、苦労もしたし、悪い上司に当たったこともあった。管理職は、パワハラも多かったけれど、結局、心の持ち方で、乗り切ることができた。
いつの間にか、環境も、整っていったのは、周りではなく、自分自身の、労働に対しての、気持ちが、+になったからに違いない。
上司や、管理職にも、評価されて、自分が中心として、働く。興味のない、仕事でも、売上や、利益を得ることは、数字を見るだけで楽しく思える。悪くもない。こんな人生でもいいや。とまっすぐ走り出した、そんなふうな自分を見て、好きになってくれる人も現れた。
自信とは、最大のパワーだ。自分には人を笑顔にする力もあったし、そしたら、周りの人は着いてきてくれる。自分らしく。生きる。これこそが、働くということなんだろう。
職場が楽しかったころ、noteへの、投稿数が、激減した。仕事も楽しい、プライベートも、充実している。敵なんていなかった。
そんな、連戦連勝の自分に、突然、敗北という、二文字が人生を通過する。受け止められない展開。突然の異動が下った。悔しそうに、その事実を告げる管理職の顔は、おそらく、走馬灯にも出てくる。
負けた。そう思ったとき、自分の中の、意識が、少しづつ、腐っていく。なんだ、自分の3年間は、前任者の、突然の退職のケツを吹きに行くだけの、ためだったのか。
今日、バスの中で、自分が、リュックを背負ってないことに、気づいた。片道、1時間をかけて、通勤の途中の出来事だった。
資料は、会社にあるから、問題は正直なかった。ただ、自分がここまで、重荷から開放されたい。背中を軽くしたい。と感じていることに、泣けてきた。最近、メガネをかけ忘れることも多く。きっと、この先の未来が、ぼやけていることを示唆している気もしていた。
上司が言っていた、あの言葉は、少しずつ、自分の心から溶けていくのも、わかっていた。
ふと、自分の未来を考える機会も、増えて、今まで、何度も辞めたいと思っても、実際に行っていなかった、転職活動にも、踏み出した。ベンチャー企業の社長も、中小企業の人事も「大きな会社ですね」というばかりで、大したことのない、学歴とスキルの無さに、絶句していたに違いない。仕事で重視することはという問いに「楽しく働きたい」なんて、素直に答えるバカを採用するような企業は、多くはないだろうし、振り返ってみると、自分の、この3年間は、ちっぽけで、唸らせるような、経験もない。
「仕事なんか、クソだから、楽しく働こう。」
楽しく、働く。一部の人間に許された特権が、自分の、人生に襲いかかる。
こんな、ビジョンを、想像していなかった。自信もあったけれど、それは、大きな企業の小さな世界の話だ。
今の、自分は、決して、楽しく働けてはいない。それでも、1日24時間、確実に、自分の人生の賞味期限は近づいている。
それでいいの、と?過去の自分と、見えない未来の自分が問いかけてくるのが、わかる。
今を生きている。今を楽しむしかないのだから、その先の、未来は、イメージでしかなくて、120点の未来を掴み取るには、今を戦うしかない。
夢というのは、制服を着ているときに、見るもので、それを叶えるための、モラトリアム期間が存在する。そこらへんをおざなりにすると、人生が少しずつ、妥協案に満ちていく。
でも、実はまだ、夢の途中で、自分に少しだけの可能性があるのなら、今を頑張ろう。
その先のビジョンを、最大限で描いてみたい。
楽しく働く。そんな、月曜日を掴むために。
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