スーパースター憧れて。

少し前、いやもうだいぶ前になる。
自分が小学生の頃。1人のプロ野球選手がいた。

新庄剛志 当時34歳。

※写真は日本ハム対中日の日本シリーズ、最終打席。
テレビを見てた、自分は、その日の夜のスポーツニュースを見て、彼が「28年間思う存分野球を楽しんだぜ。今年でユニフォームを脱ぎます打法」を披露したことを知った。
そのときの自分は新庄のことを好きだったし、若いのに残念だなって気持ちと、1度でいいから彼のプレーを生で見たいと思った。

偶然にも、その年、大阪市から配られた野球割引チケットで、京セラドームへ、脚を運べる機会があり。
阪神ファンの自分からすれば、パリーグの応援チームを決めてなくて、新庄がいる、日本ハムファイターズを応援するビジター席に座った。
人生で初めてのプロ野球観戦ではなく、おそらく2回目、といっても野球が好きで、野球のルールをちゃんと把握できるようになってする初めての観戦だった。
試合が始まる前、当時、大人気選手になろうとする。ダルビッシュ有が、ファンサービスの一環で、サインに応じて、自分の目の前に現れた。
生で見るダルビッシュは、とてもかっこよくて、これがプロ野球選手なんだと、圧倒された。

試合が始まれば、新庄の登場に沸くグラウンド。敵地、京セラドームでも、彼が打席に立つだけで、声援が飛び交う。
2006年9月10日
新庄剛志が大阪で、プレイする最後の試合だった。
そんな日、彼はやっぱりスターでしかなかった。
チームが負けている、2回表、見事な逆転2ランホームラン。
それは、新庄剛志が、現役生活で最後に放ったホームランだった。
奇しくも、自分は、そんな最後の瞬間の目撃者であったことを、知ったのは、ついさっき。
この記事を書くにあたって、その日の試合を調べていたときだ。
あぁ、やっぱり新庄剛志はすごい。14年経った後でも、人を感動させることができるんだ。

新庄剛志の経歴を振り返ると、あまりにも劇的で、自ら、記録よりも記憶に残る選手になりたいといった通り。メジャー復帰後の、「これからは、パリーグです」の名言は、その後のプロ野球の行く末を知っているような、発言だった。
そして、自ら、行うパフォーマンスで、当時、本拠地を札幌に移転してきたばかりの、日本ハムファイターズの選手、ファンを驚かし、札幌ドームを満員にさせた。
引退すると言って、決して強豪とは言えなかったファイターズを、優勝、そして、日本一へ導き、彼は涙を流しながら、グラウンドを去った。
事実は小説よりも奇なりという言葉もあるけれど、まさに漫画のような野球人生を繰り広げた。
すっかり、大人になった自分、野球はまだ大好きだし、野球ゲームをやれば、新庄剛志のような選手を作りたいと思うぐらい、未だに彼のファンだった。
そんな彼が突然また、表舞台に帰ってきた。
昨年、11月の突然のプロ野球復帰を目指すことを宣言。
あの頃、最後のホームランを見た自分は、プロ野球選手になりたいと思ってた。
人生は、そう甘くないし、彼のような努力を重ねなることなく、そんなことも思ってた、なんていう、夢に蓋をして、社会人として、働き、気晴らしのプロ野球観戦や野球ゲームに勤しむ日々。
ビールを飲みながら、見る野球はたまらなく好きで、プロ野球選手になれなかった人間の喜びも知った。
そんな、大人になった自分に、突然の復帰宣言は、響くはずない、そう思っていた。
でも、違った。
新庄ならできる!そう思う、不思議な力があった。
だって、新庄だし、今の阪神に入っても、1番守備上手いんじゃない、とも思う。
それぐらい、彼はまだ、記憶の中にしっかりと残り続けていたのだ。

新庄剛志は、YouTubeで、共にプレイした、ガンちゃんこと岩本勉と共演して、プロ野球に復帰したい理由をこう語った。
「プロ野球選手に野球を教えたい」
彼は、どこまでも、野球で夢を与えてきた。そして、その夢を、また、違う形で、与えようとしている。

また、こうも語っている。
「夢はいっぱい叶えてきたから、たいした夢じゃ面白くない。」
新庄剛志の人生の最終章は、プロ野球選手になるという夢。
コロナウイルスが蔓延した、暗い日本に、もう一度、夢を与えたい。
そう語る彼の顔は本気でしかなかった。

不可能を可能にする男を見ると、あぁ、自分もこうなりたいと思いつつ。そんなの無理だよなと思う。
でも、この無理という考え方が、間違いで、できると思って夢を持ち続けることでしか、叶えたいものは決して叶わない。
岩本勉が「またプロ野球選手になったら」というと、新庄剛志はこういった「なったらじゃダメ、なる」
そう、彼は、今年の12月7日、プロ野球選手復帰に向けて、トライアウトを受ける。
あの頃、まだ少年だったあの日に見た。
プロ野球選手として、最後のホームランを放った新庄。
でも、あれは、最後のホームランじゃないかもしれない。
そう思わせる、彼はやっぱり、永遠のスーパースターだ。
人生で、1度もホームランを打ったことのない自分は、もう打つこともないと思っていた。
でも、違う。打つ。きっと打つ。

そんな気持ちで、これからの人生のバッターボックスに立ちたい。





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