【博多往還】続!!日本全国のミルクまんじゅうを全部取り寄せて食べる
これまでのあらすじ:
博多通りもんの影に隠れた日本全国のご当地「ミルクまんじゅう」を探し求め、60種近くを食べ比べたライターのるゆにつ。
一通り食べ終えて安心していたのもつかの間、まだ見ぬミルクまんじゅうが我も我もと押し寄せてきてーーー!?
るゆにつは乳菓を制し、今度こそマイベストミルクまんじゅうを決めることができるのか。
バター、練乳、生クリーム。乳製品にまみれた聖戦が今、再び開幕。
戦いの模様はこちらから
ひよ子本舗吉野堂:博多往還(福岡県)
3月某日。
福岡に住む友人より、とある箱が届きました。
福岡のミルクまんじゅう=博多通りもんのイメージが強いですが、実はあの名菓ひよ子のメーカー、ひよ子本舗吉野堂からもミルクまんじゅうが出ていたことをご存知でしょうか。
わたしは恥ずかしながら、このお菓子の存在を今日に至るまで露ほども知りませんでした。
しかし友人から誕生日プレゼントとして送られてきたそれは、日本に”洋菓子”が伝わった原点である道をその名に冠した、まさしくミルクまんじゅうと呼ぶべきものだったのです。
その名も、『博多往還(はかたおうかん)』。
2022年に吉野堂の創業125年(!)を記念して生まれたまだ新しいミルクまんじゅう、これはワクワクが止まりません。
博多往還とは
日本に砂糖が持ち込まれたことで誕生した長崎のカステラ、佐賀の羊羹や丸房露、福岡県は飯塚のなんばん往来、千鳥饅頭、そして名菓ひよ子。
今日、当たり前のようにわたしたちの周りは砂糖を使用した甘いお菓子で溢れていますが、奈良時代に砂糖が初めて国内に入ってきた頃は、砂糖は甘味ではありませんでした。
当時の砂糖は喉の薬としてごく少量の輸入しかされていなかったのです。
南蛮菓子や南蛮料理に使う材料として砂糖が広まり始めたのは、江戸時代になってポルトガルから長崎へ大量に輸入されるようになってからのこと。
そして貿易の街、長崎へ入ってきた砂糖は形を変えながら、全国へと出回ってゆくのです。
長崎から全国へ砂糖を運ぶこの交易があったからこそ、今日の”南蛮和菓子”と言われるミルクまんじゅうを生み出すことができたと言っても過言ではないでしょう。
そうした歴史も知ったうえで今回の博多往還を観察してみると、佐賀の丸房露のようなカリッとした生地や濃いめの焼き色が特徴的で、西洋風のエッセンスを受け継いでいることが伺えます。
包みを開けた瞬間から漂うのはほろ苦いチョコレートの香り。
パッケージにも『ショコラとミルク餡の三重仕立て』とあり、チョコレートをミルクバター餡で包み、それをさらに生地で包んでいるという隙の無い構えとなっています。
実食!
切ってみるとチョコレートがたっぷり!
厚さはやや平ためですがあんがぎゅっと詰まっており、生地のほろっとした食感、あんのつまり具合とのバランスがとても良いです。
食べてみるとチョコレートの主張はそこまで激しくなくスッとすぐに鼻を抜け、その後バターとミルクの味をしっかりと感じられます。
ですがどちらもしつこくなく、後味はスッキリとしていました。
和菓子と謳ってはいながらも味はけっこう洋菓子寄りで、途中でソフトタイプのチョコチップクッキーを食べている気分に。
まとめ
かつて長崎にもたらされた砂糖文化。
それはカステラやボーロ、金平糖など現代にも残る南蛮菓子として広まり、独自の進化を遂げながら今や我々に欠かせないものとなりました。
アジアと西洋をつなぐ道。
その道の名を冠した今回の『博多往還』。
このお菓子自体はまだ誕生から日が浅いですが、砂糖の持つ歴史の重み、また吉野堂のこれまで歩んできた道の重みを感じられるお菓子でした。
福岡に行ったら通りもんとひよ子はマスト、と思っていましたが、今後はこの博多往還も買って帰れるようトランクのスペースを空けておかねばなりませんね。
それではまた次回🌕
今回のお店:博多往還(ひよ子本舗吉野堂)
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