Vol.6 |【林業・現場人の仕事紹介】主伐、大切に育てられた木を収穫する作業
こんにちは！
福岡県のうきは市と久留米市の森林整備を担う浮羽森林組合です。
7月も折り返し、ようやく蝉が鳴き始めました。
現場では、夕方になるとひぐらしが一斉に鳴き始め、
一日の仕事の終わりが近づいていることを知らせてくれます。
あの時間がボクは好きです。
そうそう、ミヤマクワガタも顔をだしてますよ。
今回も、全国各地に潜在している林業を志している方へ向けて
新たな1歩を踏み出すきっかけになればいいなと思って書いています。
Vol.4では、現業職員の仕事の一つ、間伐事業についてお話ししました。
下記リンク画面の字面だけ見ると、なんのこっちゃ分かりませんね。（笑）
気になる方はぜひご一読ください。
ボクたちの中で、現業職員が担当するのは主に森林整備事業です。
「森林整備」には3つの事業が含まれています。
・標準伐期齢を迎えた樹木を全て収穫し、山林を更新する主伐事業
・主伐期を迎えるまで、自然淘汰されないけれど伐った方が他の樹木の成長を促す、いわゆる樹木を間引く間伐事業
・主伐された山林を整え、新しい世代の樹木を育てる保育事業
があります。
今回は、3つの事業のうち主伐事業について、深堀していきます。
山主さんが大切に育てた木を収穫する主伐事業
みなさんは、林業という仕事を聞いてどんな事を想像しますか？
・チェーンソーを使って木を伐る仕事だ
・自然の中で仕事ができて気持ちよさそうだ
・虫がたくさんいるからいやだなぁ
・危険な仕事だなぁ
・間伐という言葉ならテレビや新聞で見たことがあるぞ
さまざなま事を思い起こすかもしれません。
中には、何それ知らないよ。という方もいらっしゃるかもしれません。
林業がメディアに露出されるとき、
これは、主観ですが、おおよそ”間伐”というキーワードが前面に押し出されているような感じがします。
主伐というのは、主を伐ると書くように
世代を超えて育てられた樹木を全て収穫する施業のことを言います。
間伐が山林のおよそ3割の樹木を伐るのに対して、
主伐ではおよそ10割の樹木を伐ります。
主伐はさらに皆伐と択伐にカテゴライズされますが、
今回は割愛します。
ボクたちの現業職員は、搬出間伐と主伐事業を
森林面積でみると
搬出間伐：主伐＝8：2
の割合で施業しています。
搬出間伐に比べると割合が少ないですね。
主伐では、搬出間伐と同じように
２～3人のチームで作業にあたります。
・チェーンソーを用いて伐採する人
・ハーベスタやプロセッサを用いて造材する人
・フォワーダを用いて土場（どば）と呼ばれる、
原木を大型トラックが林内に入れる場所まで搬出する人
にそれぞれ役割分担をし、この施業を実施しています。
※横文字はそれぞれ林業で使用する機械を説明するものです。
深く知りたい方は、ぜひ調べてみてください。
徹底した再造林
実はこの主伐を行う山林は、
主伐中から後に至るまで一時的に
山からの土砂流出を防ぐなどの公益的機能が弱まってしまいます。
山林の木を全て収穫してしまうわけですからね。
主伐後植林をせずに山林を放置してしまうと、
切り株は徐々に朽ちていき、その機能はさらに弱まります。
これを防ぐため、あるいは次世代の木を育てるために植林を行うことを再造林と言っています。
ステップとしては、
主伐完了→地拵え→植林の一連の作業のことを総じて再造林と言っています。
全国的にみると、主伐後の山林に植え付けを行う再造林率は約3割に留まっているともいわれています。
そんな中、業界では、森林ジャーナリストの田中淳夫さんが書かれた大分県の佐伯広域森林組合が再造林率100％を実現している。という記事がいくつかのメディアに公開され、注目を浴びました。
個人的には、Wedgeというビジネス誌の「瀕死の林業」という特集で
上記記事が語られているので、他の記事と併せて読むととても勉強になりましたので併せてご紹介します。
記事に取り上げられた再造林率という言葉。
実は、ボクたち浮羽森林組合もその再造林率100％をおおむね達成しています。
主伐後は、主伐を行ったチームが地拵えという伐採等で散らばった枝葉を等高線上に整頓する作業を行い、植え付けを行う一人親方さんに引き継ぎます。
主伐で出た切り株いわゆる短コロは、トラックに積み込んでバイオマス発電に持ち込んでいます。
地拵えと短コロの搬出を行うことで、
林地残材（山林に残る材）を減らすことで土砂災害の要因を減らし、山林の栄養も保つ。そんな施業を心掛けています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、現業職員の仕事。
特に主伐事業についての紹介をさせていただきました。
なんだか主伐のことより、再造林の話が前に出てきてますね。。。
今回もご覧いただきありがとうございました。
疑問に思ったこと、興味があることなどコメントもお待ちしております。
では次回の記事でお会いしましょう。
おまけの小ネタ
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