笑顔ってなんだろう?

笑顔でいるとポジティブな思考になれるということをよく耳にする。本当だろうか?
そもそも、人は相手が笑っているということをどう感じているのだろうか?
そんな疑問をあらゆる知見と個人的な見解、脳科学と関連させて紐どいていく。

人間の脳には表情認知という機能がある。なんか、怒ってそうだなーとか悲しそうだなーーとか感じることは多くの人が経験あるだろう。表情認知とは顔の各部位の特徴的な変化をとらえ、相手の感情を読み取る能力を指し示す。

この機能は出生直後、目が見えるようになるときから働きはじめる。母親が授乳する際に見せる表情は,慈愛に満ちた優しい笑顔が多く、赤ちゃんはその表情を見ながら、自分が生きていくために必要な栄養を与えられ幸福感を得る。この経験が笑顔≒快刺激につながる。このとき赤ちゃんは何を認識しているのかというと、顔の各部位の変化、つまり表情、母親の目じりが下がり口角が上がるという筋肉の動きを鋭敏に察知している。この経験の蓄積からヒトは、目じりが下がり口角の上がりを見ただけで笑顔と判断できるようになる。
ここからは脳科学と関連させて考えていく。
笑いや笑顔の形成には、顔面筋の運動と「楽しい」 や「嬉しい」といった情動が関与すると言われている。内包前脚にはfrontopontine fiberとanterior thalamic peduncle、そして帯状回から顔面神経核への projection fiberが存在する。
笑顔の表出は表情筋の動きによって起こるが、その表出には、ある程度独立的に働く二つの神経経路が関係しているとされている。その一つは楽しいときやユーモアに対する自然な笑いに関係する不随意的あるいは情動的に笑いを生み出すシステムであり、扁桃体などの大脳辺縁系が関係し、その表出には大脳基底核を中心とする神経経路、所謂錐体外路である.
情動刺激を与えたときに反応が認められるもう一つのものは随意的な作り笑いであり,前頭前野一一次運動野一 皮質核路を介する経路である。これらのシステムは橋上部にある「笑い中枢」を制御していて、脱抑制的に働くと考えられる。こういった表情筋の運動によりポジティブな情動形成を促進するという考えからいえば、表情筋の筋紡錘からの感覚情報が表情筋の動きに応じて何らかの形で脳幹にある 「笑い中枢」にフィードバックされる可能性はあるはずであり、それが顔面神経核ニューロンの働きに影響を与えると考えられる。

笑顔は、顔の筋肉特有の収縮を持った心地よさの感情的な表現の一つである。

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