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【シンプルライフな買い物術】選択肢を減らすためにすること

買う予定がなかったのに買ってしまう衝動買いが問題なのは言うまでないですが、買い物や商品選びに時間をかけすぎるのもまた考えものです。単に慎重に検討に検討を重ねればいいというわけではありません

今回は買い物や商品を選ぶ上で選択肢を減らす重要性とその方法について解説します。


選択肢は基本的には少ない方がいい

「ジャムの実験」という有名な実験があります。知っている方は『またか』と思ったかもしれません。興味のある方は上の動画(日本語字幕選択可能)を見ていただければと思いますが、知らない方のために簡単に説明すると、あるスーパーで6種類のジャムの試食コーナーと24種類のジャムの試食コーナーを比較すると6種類の方が10倍も高い購買率だったという実験です。この実験が意味するところは、人は選択肢が多くなると選べなくなる(選ぶのが嫌になる)という「選択回避の法則」です。

この実験はあまりに有名になり過ぎて、マーケティング界隈はもちろんのこと、ミニマリストやシンプルライフ界隈の「選択肢は少ない方が良い」の根拠としてもよく紹介されています。実際僕もそうしようと考え、記事を書こうとしたのですが、ちょっと調べてみると意外なことが分かりました。

その後、同様の実験が何十回も行われていて、ジャム実験から10年後、再現実験を50件ほど集めて、分析してみたところ、過半数が、「選択肢は多い方がいい」という結果になっているんです。そう、ジャム実験とは正反対の結果になっているんです。したがって、結果全体でみると、「買い物時の選択肢の多さは、購買行動にインパクトがない」という結論になっています(R)。

引用元:ジャムの実験を引用して、今でも「選択肢は少ない方がいい」と言っていいのか問題|サトマイ (note.com)

このように、ジャム実験からしばらく時が過ぎ、今では必ずしも「選択肢を少なくすればいい」とは言えないことが分かってきています。「何でもかんでも選択肢を減らせばいいんだ!」と言えたら楽なんですが、現実はそう単純ではないようです。

ただ、ここで僕が言いたいことは、もちろん「選択肢の数はどうでもいい」ということではありません。選択肢が多すぎて嫌になったという経験は誰しもがお持ちだと思います。

上の動画では、心理学者のバリー・シュワルツが「なぜ選択肢が多いことがかえって満足度を下げてしまうのか」について、色々なエピソードを挙げてユーモアを交えつつ、学者らしく期待値や機会費用の概念を用いて理論的に説明しています。とても面白いのですが、詳しく取り上げると長くなるのでここでは割愛します。日本語字幕も選択できるので興味のある方は是非動画を見てみて下さい。

例えば、上の動画ではジーンズを選ぶ時に種類が多すぎてうんざりしたというエピソードが紹介されていますが、それはジーンズに特にこだわりがない人だからとも言えます。ジーンズが好きな人の場合、選択肢がたった数種類では物足りないと感じるでしょう。

つまり、ある人にとって必要な選択肢も別の人にとっては不必要な選択肢になるということです。特に自分が重要視していないモノに対しては、選択肢の多さはメリットよりデメリットの方が大きいのは確かです。

「決断疲れ」関連の研究で有名な、スタンフォード大学のジョナサン・レバブ准教授も次のように述べています。

どんな状況で何を選択しているのか、どれだけそれを自分で選びたいか、などによって、適正な選択肢の数は違ってきます。「これを選ぶときは、選択肢が多いほうがうれしい」という人もたくさんいるのです。

引用元:「選択肢が多すぎると選べない」は間違いだった? | NIKKEIリスキリング

重要なのは、その選択肢が自分にとって重要かどうか、こだわりたいかどうかです。これというものにだけこだわって、それ以外のものには強くこだわらないようにしましょう。

さて、ではどうやって選択肢を絞ればいいでしょうか?ネットで検索すると、「選択肢は減らした方がいい」という内容はたくさん出てくる一方、選択肢の減らし方についてはあんまり見つかりません。

いや、「優先順位を明確にしよう」とか、「一日の行動を習慣(ワンパターン)化しよう」とか、「SNS(有象無象の意見)に惑わされないようにしよう」とかいったブログ記事はたくさん出てくるんですが、今回焦点を当てたいポイントとは少しずれます。

この記事で取り上げたいのは、モノを選ぶ段階での選択肢の減らし方(考え方も含む)についてです。

選択肢を減らすためにすること:その①必要性の検討

選択肢を減らす一番有効な手段は、ミニマリストが大好きな「より少なく、しかしより良く」を意識することです。モノの総数を減らすことは選択肢を減らすこととイコールだからです。○○を持たないと決めた時点で○○に関する選択肢(商品A、商品B、商品C、etc.)は全て消せます

もちろん、持たないと決める過程で色々な選択肢を検討することにはなります。言うのは簡単ですが、実践するのはそんなに容易ではないかもしれません。なくても大丈夫だと思ったけど、実際はあった方が良かったというようなことは結構起こりえます。状況の変化によって、見直しが必要になることもあるかもしれません。

他の人の意見(断捨離の成功・失敗談)も参考にはなると思いますが、頭の中のシミュレーションだけでは不十分で、自分で実行して試行錯誤することが必要になるはずです。

選択肢を減らすためにすること:その②足るを知る

上で紹介したバリー・シュワルツ教授が提唱する「Maximisers(最大化者)とSatisficers(満足化者)」という概念はとても参考になります。平たい言葉で言うと、前者は「完璧主義な人」、後者は「ほどほどで満足する(足るを知る)人」になるかと思います(参考:「Do 'maximisers' or 'satisficers' make better decisions? - BBC Worklife」)。

完璧主義が良くないというのは広く知られていることだと思いますが、モノの選択においても当てはまります。一言で言えば、キリがないからです。少ない選択肢からサクッと選び、ほどほどの結果で満足できればそれに越したことはないという意見に反論できる人はいないでしょう。

僕を含め、ミニマリストは少数精鋭がモノ選びのモットーなので、モノを厳選する傾向があります。非ミニマリストも好きなモノに対してはそうかもしれませんが、ミニマリストの場合はあらゆる対象を厳選しがちで、それが仇になる面もあるかと思います。

自分の人生・生活にそれほど重要でないモノに関しては、そこまで拘らないように意識することが肝要です。例えば、僕も以前は日用品なんかもかなりレビューを見て慎重に選んでいましたが、大して重要でないことにそこまでこだわるのは止めました。

日用品に関しては、もうあれこれ検索せずにほぼテスト雑誌『LDK』のレビューだけで選んでいます。この雑誌は広告がなく、企業に忖度せずに、専門家が複数の競合商品を具体的な基準で検証テスト(なかなか個人では難しい)しています。女性誌ですが、信憑性があり、男性から見てもとても参考になります。男性誌の『Monoqlo』もおすすめですが、こちらはどちらかと言うと暮らしよりもガジェットや趣味寄りな印象です。毎月この2冊の雑誌を読むだけでも「kindle unlimited」の費用(税込み980円)の元が取れています(もちろん他にも色んな書籍を読んでいますが)。

選択肢を減らすためにすること:その③持ち物の定番化

持ち物の定番化、これはミニマリストやシンプルライフを実践する人が必ずと言っていいほど挙げる「私服の制服化」が分かりすい一例です。単純に服が減らせてスッキリするだけでなく、買い替え時の選択肢も減らせます。

服の場合、替え時に全く同じ服が手に入ることはまれでしょうが、後継モデルや似たモデルから選べばいいため、基準もなく選ぶよりかは選択肢を劇的に減らすことができます。好みにもよりますが、コーディネート的にも継続性の面でもベーシックなアイテムの方が制服化しやすいと言えます。

服に限らず、商品、ブランド、メーカーはある程度絞ること、つまり持ち物の定番化が効果的です。

僕の場合、選択肢を減らすためにスマホはiPhoneを選びました。ノートPCに関しても、これまでWindows機を使用してきましたが、買い替えの際に毎回機種選びに大量の時間を浪費してきたので、次回からはMacbookにしようと決めています。

服については、数年前からアウター以外の服はユニクロ(たまに無印良品)にしています。アウターだけはこだわっていくつかのブランドを検討し、少し良いモノを買いますが、そのかわり最低5年以上は着ます。カテゴリーも限定し、夏は半袖Tシャツと短パン、それ以外の季節は長袖シャツとジーンズ、アウターをそれぞれ2、3着ずつで、スウェット、セーター、チノパンなどは持たないといった感じです。


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