詩 「夏の音」
夏の音には、温度が宿る。
みんみんみんと、命が叫ぶ。
じりじりじりと、熱が降る。
ちりんちりんと、涼が鳴る。
どーんどーんと、花が咲く。
ふわりと頬を撫でる、ぬるい風。
つぅと首を伝う、一筋のしずく。
纏わりつくのは、夏の空気。
痛いほどに眩しい、澄んだ青。
生き生きと輝く、鮮やかな緑。
視界に広がる、夏の景色。
むせ返るような太陽と、雨の残り香。
土と草木と、ほのかに漂う煙の影。
鼻をくすぐる、夏のにおい。
喉を潤す、ひんやりとした心地よさ。
甘い癒しと、キンと響く頭の痛み。
全身に沁みる、夏の味。
優しくはないけど、冷たくもない。
鬱陶しいけど、少し寂しい。
みんみんみん。
じりじりじり。
ちりんちりん。
どーんどーん。
年に一度の、夏がくる。