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スタートアップのひとりバックオフィスは赤魔導士から飛躍せよ

SOU-MU部 Advent Calendar 2022に参加してます。

バックオフィス地位向上委員会(仮)のukakです。会員はまだいません。

上記のtweetのように、なぜプロを増やすことがバックオフィスの地位向上につながると私は考えているのか、その辺を書きたいと思います。


以前にも以下のようなtweetをしたことがあります。

図の右がプロフェッショナルなバックオフィスで、左がそうでないバックオフィスとお考え下さい。

「プロフェッショナル」の定義としては、「熟達した専門的能力と、専門職としての正当な注意」を有する人、と捉えていただければ結構です。
「熟達した専門的能力」とは、知識やスキルなどを指し、「専門職としての正当な注意」とは、保有している知識やスキルを元に発揮されるものです。
知識やスキルを持っていても、正当な注意が払えなければ、それはプロとは言い難いのではないかと思います。

バックオフィスに関しては、

  • 誰にでもできる簡単な仕事

  • 売上に貢献しない

というネガティブな評価がある一方で、

  • 組織の土台となる重要な仕事

  • 事業拡大の促進に寄与している

というポジティブな評価もあります。

この見方が違うことの一因は、プロのバックオフィスの仕事を目の当たりにし、その価値を実感した経験の有無ではないかと私は思っています。

たとえば、これを読んで下さっている貴方がスタートアップのCEOだったとします。
貴方がエクイティによる資金調達をしようとしている時、自社の経理がサクッと中期経営計画を策定し、そのロジカルかつ精緻な計画数値によってCVCやVC等との会話がストレスなく進み、将来の事業価値も見出され、順調に資金調達が相成ったとしたらどうでしょう。
プロとしてのバックオフィスの価値や威力を感じないでしょうか?
(もちろん事業成長が見込まれることが大前提ですが)

前述のバックオフィスへの評価の差の一因は、こういう経験があるかないかの違いだと思うのです。

バックオフィスの日々の業務は定期的で地味なものも多く、上記の例のように華々しく目立つものではありませんが、もちろん、それらの業務も本当はプロとそうでない人が行った結果や成果は違ってきます。
ただ、プロの出す成果を知っている人でないと、なかなかその違いが判別しにくいのがもどかしいところです。


次に、タイトルの「スタートアップのひとりバックオフィスは赤魔導士から飛躍せよ」について説明したいと思います。

赤魔導士とは、ご存知の方も多いと思いますが、RPGゲーム「ファイナルファンタジー」に出てくるジョブ(職業のようなもの)の名前です。
シリーズによって設定に差はありますが、白魔法と黒魔法の両方が使え、戦士としての戦闘力も魔導士にしては高めなのが特徴です。
ただし、白魔法・黒魔法ともに中レベルのものまでしか使えず、強力な武器や防具も装備できないため、やはり本職の戦士ほどには打撃攻撃や防御力も強くありません。

いわゆる器用貧乏の代名詞で、序盤では便利なのですが、後半になると活用する場がなくなっていきます。

一方、ひとりバックオフィスは、経理・総務・労務・採用・広報・法務・情シスetc…と、何でも屋になりがちです。
そして、担う役割が多すぎるため、目の前の課題解決に関する経験値を得るのが精一杯で、それぞれの職能の体系的知識を獲得し、それらをプロフェッショナル・レベルにまで高めるのは困難です。

まるで赤魔導士のようです。

もし、ひとりバックオフィスで勤めている企業が、今後も事業成長する予定がなく、十全な社内体制構築の必要がない規模の会社(つまりゲーム序盤)であり続ければ、赤魔導士のままでもやっていけるかもしれません。

しかし、事業成長を目論み、企業がより複雑な市場ゲームに挑戦していくとなれば、組織運営も複雑・多様な環境に置かれ、赤魔導士のままではついていけなくなります。
※ちなみに「スタートアップ」とは急成長する組織のことだそうです。


そこで、考えられる主な選択肢は2つです。

  1. 赤魔導士のままで居続ける(下図左の人)⇒専門性を持たない

  2. 高レベルのスキルが身に付くジョブにチェンジ(下図右の人)⇒専門性を持つ

ここからポジショントークですが、私としては2.をお勧めしています。
理由は2つです。

1.ラスボス戦まで活躍できる

赤魔導士のままでも退職しなければ企業に居続けることはできます。
しかし、ひとりバックオフィスだった頃のような達成感は得難いと思います。
なぜなら、企業成長とともに、専門性をもつバックオフィスが次々と入社し、次第に企業内での自身の存在感の薄弱さを感じるようになってしまうからです。
そういう状況を避けるなら、赤魔導士のままで転職するか、結局は高スキルジョブにジョブチェンジするしかないのではないでしょうか。

なお、起業時からの歴史を知っているなら赤魔導士のままでも価値がある、というのは、事業成長するスタートアップの場合はあまり当てはまりません。
企業規模の拡大とともに事業環境や戦略が変化し、社員一人ひとりに求められる能力も変容するので、過去の環境を知っている事にさほど優位性がないためです。
「社歴が長い」のみに職業的アイデンティティを置いてしまうと、お局or老害と化してしまうので注意が必要です。
そういう意味でも、やはり高スキルジョブへのジョブチェンジが望ましく思えます。

2.バックオフィスの地位向上

冒頭に戻りますが、プロフェッショナルなバックオフィスが増え、その価値や効力を実感する人も同じく増えれば、総じてバックオフィスの地位向上につながると私は思っています。(ゆえにポジショントークです)

貴方もバックオフィス地位向上委員会(仮)に入りませんか?


ここからは赤魔導士についての余談です。

ポジショントークとはいえ、赤魔導士にとっては多少乱暴な持論なので、赤魔導士のままでスタートアップで活躍し続ける手段は本当にないのか、と私もいろいろ考えてみました。

赤魔導士には「連続魔」という能力が存在します。
簡単にいうと、同時に2つの魔法を唱えられる、というものです(通常は1ターン1アクション)。
低~中レベルでも複数の職能を同時に実行できればあるいは…とも思ったのですが、こんなことができるのはゲームだからであって、現実世界では難しいです。
なぜなら、右手で労務をして、左手で広報をする、なんて土台無理な話です。
ならば、それぞれの職能を短い時間で交互に行ってはどうか、とも考えました。
しかし、これが可能なのは、タスクが誰にでもできる単純なものか、それぞれの職能について高スキルを持っているか、という結局は元の「プロフェッショナルであれ」という結論に戻ってしまいました。

じつは、ファイナルファンタジーで、赤魔導士がそれなりに人気だったシリーズもあったようです。
ジョブ設定をwikipediaで調べたところ、強化魔法や弱体魔法、味方のリソースコントロールに優れている、といったエッジの利いた能力を持っているらしく、結局ある程度の専門性は必要なのだな、とこれも元の結論に戻ってきました。

ということで、
「スタートアップのひとりバックオフィスは赤魔導士から飛躍せよ」


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