見出し画像

初めて北海道に行った話。8・9日目/脱北篇

9/14 北海道最終日

雨の中のドライブ

 翌日、目が覚めて窓の外を見るとしっかり雨だった。やはり今日の予報は覆せそうになかったか。身支度もそこそこに朝食を食べに向かう。思いのほかビジネスホテルで出てくるような質素な朝食が出てきて、少し驚いたが出てくるだけでも有難いものだ。手早くチェックアウトをし、とりあえずサミット記念館へ向かう。ほとんど人はおらず、サミットの長テーブルや記者会見で使われていそうな演説台で記念撮影をする。

朝食
長テーブル。思いのほか安っぽい。

 サミット記念館の後は洞爺湖畔の町の中でも山手にある、エコミュージアム1977年火山遺構公園に向かう。有珠山が噴火した際の遺構をそのまま保存しているエリアである。中学理科の教科書などでここがコラム的に載っていたことを覚えていたので是非行っておきたいところであった。川の土手のようなところに車を止め、雨の中水たまりをよけながら散策路を歩いていく。火砕流に飲まれた病院を一周歩いたが、自然の恐ろしさを改めて感じる。まさに有珠山と生きてきた洞爺湖の町というものを実感する。

一階部分が埋まってしまい、二階部分が一階のように見えている。

 ここからはレンタカーの返却時間まで少し時間があるため、洞爺湖畔を一周することにした。道道578号をたどって雨の中のドライブと洒落こむ。途中で浮見堂というものがあって気になったので寄ってみる。聖徳太子を祀っているそうだ。堂のふもとまで行く道がかなりぬかるんでいて、少し歩くのに苦労した。堂自体はこじんまりしており、洞爺湖も雨で靄がかかったようで寂莫とした印象を受けたが、晴れたときならまた違った印象を受けるのだろう。

浮見堂

そのまま道道132号~道道2号と通っていき洞爺の市街に戻る。道すがらで、当時ドラッグストアでアルバイトをしていた友人たっての希望でサツドラによる。そこで北海道ミルクコーヒーを買って再び特急に乗る。

最終目的地、苫小牧へ

 12時前に特急に乗り、登別に向かう。北海道の温泉とは登別、入浴剤で昔からおなじみだったこともあり是非行ってみたいと思っており旅程に組み込んだ。30分ほどで登別に到着し、とりあえず往復のバスチケットを購入する。しかし、外は大雨であり、どうやら特急のダイヤもひどく乱れているということを駅のモニターで知る。どうやら沿線の川が増水して渡れなくなっている箇所もあったようだった。

真っ赤っかのモニター

どうやら呑気に温泉に浸かっていたら苫小牧に今日中にたどり着けないかもしれないということがわかり、仕方なく登別温泉は断念することとした。次に来た特急に乗り込み、14時頃に苫小牧に到着。おなかが減っていたので駅隣接のドン・キホーテの中にあったロッテリアで昼食を食べる。何気にロッテリアで食べるのは初めてである。

絶品エビパックというらしい。
バーガーとポテトのセットを二人で分けた。

ドン・キホーテでは友人がゲーセンコーナーで太鼓の達人をしたり、自分はストリートピアノを弾いたり、あとお土産用にサッポロクラシックをパックで購入したりして過ごした。駅前のバス停に向かう際に駅の切符売り場の横に名物のホッキ飯の店があって、そこで昼飯を食べればよかったと少し後悔した。あと、本来の行程で乗る予定だった特急は案の定大雨で運休となっていた。登別での判断は英断だったようだ。バスの乗車券に期限は書いてなかったので、是非再訪したいものだ。札幌から来た高速バスに、苫小牧駅前から乗り込み、苫小牧フェリーターミナルまで向かう。駅からフェリーターミナルまでは地味に距離が離れているのでバスで向かう。ちなみにフェリーの切符に札幌~苫小牧フェリーターミナルの運賃も含まれているのでもちろんタダ乗りである。

苫小牧のフェリーターミナル。
青森や函館に比べて大きくて繁華だ。
苫小牧名物、長距離の発車標
自身が乗るのはさんふらわぁ ふらの 18:45発

 何故か行った時期に前後して、TLに苫小牧フェリーターミナルの発車標が流れてきていたので記念に撮影する。その後中にある土産物屋というにはかなり大きいショップでお土産をたんまり購入して乗船する。

快適な船旅……とはいかず?

ものすごく長いボーディングブリッジ。
苫小牧は縦列に船を泊めるためこうなっている

 乗船券のQRを読み込み、エスカレーターを上っていざ船内へ。往路のフェリーとは比べ物にならない大きさで圧倒される。とりあえず迷いながら今日のベッドへ。グレードは一番下のツーリストだが、隣とは分厚いカーテンがあり、マットレスもしっかりしているので正直全然問題ない。さすがに長距離フェリーはちゃんとしている、といったところか。25名定員の大部屋だったが旅行者はまばらで、それぞれの組の間に1・2個のスペースがとられていた。旅行中にほかの客が気になることもなかった。

正直かなり興奮した

荷物を置いたら少し船内を散策する。長い廊下には冷蔵機能付きロッカーとかいう変わったものがあった。またワンピースとのコラボ期間だったのでいたるところにキービジュのイラストなどが掲示されていた。デッキにも行ったが雨だったこともあり、外には出なかった。少しふらついたのちレストランに向かう。出航の瞬間は見たかったが、レストランは18:00~19:30LOで出航を見届けてからではゆっくり食べられそうにないので、先に夕食とする。入り口で夕食・朝食バイキング券2,900円を購入し、席を取る。幸いにして窓際の席を確保できた。

晩御飯のバイキング。船内のごはんはとてもワクワクする。

多様な料理が並んでおり、上海風焼きそばや冷しゃぶ、変わったものには自分で巻くトルティーヤといったものもあった。少し皮が粉っぽかったのだが。料理を楽しんでしばらくすると、急に体を小突いたような衝撃を感じた。どうやら出航したようだ。そのまま何回かお替りをしながら食事をしていると、レストランの中で物音がしたとともに中がにわかに騒がしくなる。どうしたものかとそちらの様子をうかがうと、どうやら椅子が倒れたようで、誰かが倒れたようだった。すぐに船員が駆け付け、措置を開始して担架で運び出されていった。その場は一旦収まり、自分たちも食事を再開する。

 様子が急変するのはご飯を食べて部屋でゆっくりしているときだった。突如放送がかかり、「お客様の中にお医者様をいらっしゃいますか?」などと宣うのだ。おいおい、それは映画で飛行機の中で放たれるセリフじゃないか!!まさか現実で起こるのか。しかも驚いたことに実際に乗客の中で医療従事者が実際にいたそうなんだよな。ほんとにびっくりだよ。
映画のような放送ののち、しばらくすると再度放送がかかり「乗客の中に体調不良者が出た。乗客の中にいた医師とも相談した結果、苫小牧港に引き返す」といったアナウンスがされる。部屋でおこるざわめき。こんなことがあるんだ、と。逆に思い出になる。船は引き返すことになったが、とりあえず浴場に入りに行く。船の中らしくない、立派な浴場でものすごくリフレッシュできた。窓もあったが如何せん夜なので覗き込んだところで見えるものは夜闇にぼんやり移るしかめっ面の自分だけなのだが。

 風呂上りに船の中の売店でサッポロクラシックを買い、苫小牧のドンキで買っておいたベビースターをつまみにネットサーフィン。船が苫小牧に引き返している関係で、船内はWiFiが使えるようになっており、かなりの人がソファーでスマホをいじっていた。サッポロクラシックは相変わらずおいしかったが、ベビースターが思いのほか辛くて買ったのを後悔していた。あと当時未成年の友人もチューハイ片手にポテチを食っていた。旅行前は、誕生日までは酒を飲まないと言っていた友人もこの旅行で幾分と変わってしまった。自分は断じて飲ませていない。念のため言っておく。本人の自由意志だからな。

サッポロクラシックは最高

船は2150ごろに苫小牧に再着岸し、速やかにボーディングブリッジが展開される。船員が船側、ブリッジ側にはターミナルの作業員と救急隊が待機しており、外には救急車も見える。

写真中央、救急車がいる

船は30分ほどで再離岸、再び海原へと進み始める。今度は様子を見ようとデッキに出る。あれだけ降っていた雨はもう止んでおり、外は工業都市を思わせる苫小牧の光が夜闇を振り払うように空を照らしていた。9月とはいえ北海道の夜、ましては海上なのでそこそこ冷える。湯冷めしないうちに船内に戻る。ネットも使えないので早々に寝ることとする。

22時過ぎの苫小牧。ある意味これも珍しい景色ではある。

9/15 本州に帰還

 どうやら自分は船酔いはあまりしずらいようで、揺れの周波が心地よかったのか普段よりずいぶんと熟睡できた。車だとすぐに酔うんだけどな。
もう少し寝たいのだが朝食バイキングは朝の9時までなので眠い目をこすりながらレストランへ向かう。揺れのせいか、消化が促進されて様な気がする。普段朝食は食べないくせにしっかり食べてしまった。

朝食、これに加えてカレーもいただいた

朝食後、デッキに出る。北海道とは違って少し湿りっけのある潮風が肌をなでる。船旅らしい、心地よい感触だ。天気は快晴、とても素晴らしいのだが、フェリーにこの塗装はどうなのだろう。昨日の時点で知ってはいたが、旅客船が髑髏を掲げるのは物凄い違和感が。サボみたいに撃沈されないようにな。

写真としては物凄く映えてるよ….うん

デッキでのんびりしたのち、部屋に戻って二度寝する。友人は結構デッキにいたらしい。部屋で惰眠をむさぼり、13:30に再び起きる。友人に寝すぎと呆れられた。仕方ないやん気持ちいいんだもん。再びデッキに出ると大洗らしきものが見えてくる。昨日結局3時間半遅れで出航したのにやけに早いなと思い、フェリーの案内板で到着予想時刻を確認すると1430入港予定と書いてあって驚いた。3時間ぐらい捲いて到着するなんてさすがにかっ飛ばしすぎなんじゃないですかね。こちらとしては有難い限りなんだけども。到着が近くなるとアナウンスが。入港が1430頃になること。下船は順番になること、遅れてごめんねといった内容とともに、昨夜救急車で運ばれた乗客は命に別条がなかったとのこと。それはなにより。

いよいよ大洗港に入港

ただいま本州

 船が着岸し、荷物をまとめ下船準備をする。ほんとに旅行が終わってしまうんだなといった実感が湧いてくる。順番になり船を降りてフェリーターミナルへ降り立つ。うーん、本州は暑い。曇り空なのだが、肌にまとわりつく湿気が不快だ。早速北海道に帰りたくなったぞ。大洗のフェリーターミナルはやはり苫小牧に比べると小規模である。大洗はガルパンの町だが、フェリーターミナルの中にもガルパンのパネルやのぼりが立っていた。アニメからもうずいぶんと時間が経ってしまっているがいまだに在るんだと逆にびっくりする。最終章、いつ完結なんだろうな(遠い目)。ちなみに自分はアニメと劇場版は履修済みである。
このまま帰ってもいいのだが、大洗に来ることなんてめったにないし、青春18きっぷで来づらいところでもあるので延長戦として少し観光して帰ることとした。

ガルパン聖地巡礼

 フェリーターミナルからのんびり歩き、定番の大洗磯前神社へ行く。なんといっても参道の階段を戦車で下ったところとしてにわかの自分でも覚えている。

例の例の階段。これを降りたのか….
声優さんの絵馬が飾られていた。
有名な神磯の鳥居
朝日のスポットとか

そこから海岸線に沿って歩き、KV-2が上陸した海岸(砲身に海藻が引っかかっているのが印象的)や砲撃した大洗ホテルを見に行った。

ホテルにはKV-2の弾着痕が再現されている

そこからはぶらぶら商店街の中を歩いていき、アニメの中のスポットと各商店に飾られているパネルを見ていった。やはり、戦車が旅館に突っ込んでいったシーンはアニメの中でトップクラスに好きだし、実際に見るとそのままでとても良かった。ちなみにモデルの肴屋本店にはダー様のパネルが飾られている

ここに戦車が突っ込んだのか…
少しダージリン様が見えている

そんなこんなで大洗観光を少しして、バスで水戸駅へ向かう。そこから東京駅へ高速バスで向かう。道がかなり混んでいて東京駅に着いたのは3時間後の2130頃だった。そこからは中央線で新宿に向かって、適当に晩飯は松屋で済ませる。そうして日が変わる少し前にようやく家に着いたのだった。近所のコンビニで酒とアイスを買い、お疲れ様の祝杯を挙げる。こうして1週間の北海道旅行を終えたのだった。

あとがき

 旅行から一年以上たち、旅行記を書き始めてからもほぼ10か月経ってしまいました。あれですね、細かく書きすぎると筆を執るのが面倒になってしまいます。それでも今回の旅行は自分の中で最高の旅行をしたと自信を持って言えるものだったので、こうやってしっかり記録に留めてよかったと思います。この旅行以降もちょくちょく旅行しているので、また気が向いたら旅行記やその他の雑感なども更新していきます。ここまでお読みいただき感謝。

2024.9.30  こたか うきわ

今日の出費

9/14
ENEOS ガソリン 174円/L 1,131円
道南バス 往復乗車券 640円
LOTTERIA 絶品エビパック 1,400円
さんふらわぁ 夕飯・朝食セット 2,900円
さんふらわぁ サッポロクラシック 270円
9/15
松屋 牛めし大 560円

今日の移動

9/14
1158 洞爺駅発
北斗7号 (札幌行)
1237 登別駅着
1322 登別駅発
北斗9号 (札幌行)
1351 苫小牧駅着
1640 苫小牧駅発
高速とまこまい号
1654 苫小牧フェリーターミナル着
1845 苫小牧フェリーターミナル発
さんふらわぁ ふらの

9/15
1430頃 大洗フェリーターミナル着
1701 大洗駅入口
茨城交通
1810 水戸駅北口バス停
高速バス 水戸号
2024 東京駅着(定刻)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?