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初めて北海道に行った話。1日目

9/7 1日目 本土脱出と北海道上陸・函館


本州の果て、青森

 翌朝、弘前付近にて目が覚めた。相変わらず素晴らしい寝心地だった。
前回3月に来た際はまだ雪が積もっていたものだが今回はそんなこともなく青々とした盆地が広がっていた。バスは弘前駅、青森駅と寄り、終点青森港フェリーターミナルへと向かう。ほぼ満員であったバスの車内はほとんど降りてしまいフェリーターミナル行きのバスの車内は自分たちだけとなった。駅からフェリーターミナルはそこそこ離れており駅からまだ少し車内で揺られる。まだ寝ている友人を起こしつつ到着を待つ。バスはほぼ定刻通り到着した。

青森駅からフェリーターミナルへは青森ベイブリッジを通って向かう

 バスから降りるとそこになったのは小綺麗な津軽海峡フェリーのターミナル、ビルかと見まごう大きさのフェリー、そして見事なまでに青く澄んだ空。旅路の始まりとして完璧すぎる。テンション爆上がりになった自分たちは手続きをすませフェリー、ブルールミナスに乗り込む。そしてランクが一番低い、大部屋であるスタンダードルームを一通り見て回ったあとデッキに出た。そこで出航まで待ち、船は10時に青森港を出航した。

津軽海峡フェリーターミナルと乗ってきたMEX01便。
フェリーターミナル3階からフェリーに乗り込む。

青の狭間にて

 徐々に離れていく青森市街、往年の青函連絡線を思い浮かべながら4時間半の地味に時間のかかる船旅を楽しむ。

青森港を出発したところ。左手奥の方には駅周辺の建物が見える。
函館から青森へ向かう津軽海峡フェリー。奥の半島は津軽半島。

 デッキは船の排煙の匂いがかなり感じられたが、それこそが船旅をしている実感を持たせてくれていた。若山牧水は「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」と、海と空の青さに挟まれた白鳥に哀愁を感じたそうであるが、我々の心境は真逆であった。人生ずっと漂い続けるのはまっぴら御免ではあるが、旅行ぐらいなら大歓迎である。それにしてもめっちゃ青い。これが録画ならブルーバックで別の動画が流せそう。時折Googleマップと地形を見合わせながら現在地を確認する。途中デッキには修学旅行らしき小学生の群れが上がってきた。自分たちもそんな時期があったなと、とうに過ぎてしまった小学校の修学旅行を思い返す。あぁそういえばバスの車内でゲロったな。
 陸奥湾もかなり進んだところで北の大地が見えてきて、遠くのあれは室蘭ではないかと適当なことを言いながら地図を開いてみると全然渡島半島の先っちょなことがわかり北海道のデカさを身をもって感じた。途中、名古屋から一人旅で来ていた大学生と意気投合したり、一旦中で休もうと戻って寝落ちしたりしているうちに函館市街が見えてくる。

だんだん近づく函館。右手の山が標高334mの箱館山だ。

 なるほど、箱館山が防波堤となっているから港として発展できたのか—とそんなことを考えながら船は接岸し到着する。時刻は2時前、朝から何も食べていない自分たちは腹が減っている。とりあえず予定通り腹ごなしをする。

定番の函館観光

 「北海道へようこそ」の看板をカメラに収めつつ、とりあえず向かったのはフェリーターミナルからも程近いラッキーピエロ港北大前店。

 函館に来たなら食わねばと思っていただけにここでタスク消化を図る。入店し、人気のチャイニーズチキンバーガーと安くなっていたコーヒーシェイクを注文。空腹のところにジューシだが程よくあっさりした肉がスポンジバットでカチコミをかけてくる。友人はNo.1セットというチャイニーズチキンバーガーとポテト、それからソフトドリンクのセットを頼んでいたので、ポテトをつまませてもらう。マクドナルドのポテトとよく似た形だが、それよりも長く硬めだ。マグカップに刺さって提供されていて、ケチャップとチーズが溢れて出ている。美味しいが少し食べづらかった。シェイクについて特にいうことはない。満足してバスに乗り込み次は五稜郭へと向かう。

シェイクとチャイニーズバーガー

 バスに揺られながら向かうこと30分、五稜郭停留所で下車、そこからは歩いて向かう。遠くからでもわかる五稜郭タワーを目指しながら向かう道すがら、何気に初セイコーマートを観測。その後五稜郭、箱館奉行所を見学。想像通り、下から見る分では星形はわからない。しかし城郭が好きな自分にとっては跳ねだし石垣であったり、鋭三角形を形作る水濠などを見ることができ、とても満足である。

土塁の上から入り口を望む。なんとなく星形な気がする。

 五稜郭タワーは登るのに1000円かかり、そこまで時間的猶予はなかったのでスルー。まぁ五稜郭が星形なのはわかりきった話である。1階の売店で函館市電1日券(600円)を入手。ここからは市電で函館駅方面へ向かう。市役所前で降り一旦観光する前に宿泊場所の「ゲストハウス HAKODATE ベイ」へチェックインする。フロントのおっちゃんが手続きの間に色々話しかけてくる。こちらの身分や旅行について尋ねられ、その後は最近の函館のホテル事情だとか箱館山のロープウェーはぼったくりだとかの話を色々捲し立てられた。なんとかやり過ごし部屋に向かう。和室に2人分の布団が敷いてある部屋でトイレ・シャワーは共用である。1泊1人3150円でお財布に優しい。別に夜を明かす分にはなんの不足もない。部屋に一週間分の衣類をおいてベイエリアへ向かう。ホテルを出る際に、戻るのが遅くなることを一言伝える。

 再び市電に乗って十字街で下車し、金森赤レンガ倉庫から末広町方面にぶらぶら歩きながら、基坂を登りペリー来航記念碑や旧イギリス領事館、旧函館区公会堂を見学。旧函館区公会堂はレトロな内装とバルコニーからの景色が印象的だった。観光するうちに日は傾き始め、斜光の中ノスタルジックな街並みを歩きながらさらに元町教会、函館聖ヨハネ教会方面へ歩いていく。


金森倉庫。中はおしゃれなカフェやアクセサリーショップなどが入っている。中にはサツドラが入居している倉庫もあった。横浜の赤レンガ倉庫味を少し感じた。
函館市旧イギリス領事館。外観が良い。
ペリー来航記念碑
旧函館区公会堂。ホールや迎賓室もある。レトロで良い。
公会堂のホール横のバルコニーからは函館の市街が一望できる。
函館ハリストス正教会。横から見たらもっと大きい。
元町教会。多分あの一帯の教会で一番立派。


思いがけない登山、そして夜景

 そうしていざ箱館山に登るか、というときにどうするか悩んだ。というのも箱館山にはロープウェー、バス、徒歩の3つの手段で登ることができるがどれを使うか、ということになったのだ。時刻は午後6時ごろ、黄昏時はすぎようとしていてもうすぐ薄暮の時間である。結局ノリと勢いで歩いて向かうことにし、帰りは徒歩かバスで帰ることとした。箱館山は334m(ナンデヤハンシンカンケイナイヤロ)であるが、急いで登ったこともあり40分もかからず登頂。登り切った頃には夜の帷が降り始めており、ロープウェーの駅から少し階段を登ったところからは絶景が広がっていた。

日本三大夜景が一つ、函館の夜景。スマホで撮った写真だがかなり綺麗に写っている。
海と陸地の境界部分がはっきりとわかる。

 今まで写真では見たことがあったが、やはり現物は違う。観光地にはいわゆるがっかり名所というものが紛れ込んでいるが夜景はハズレがない。眼前に広がるのは眩い電灯に照らし出された市街と、真っ黒な海のコントラスト。徒歩で登っただけにその感動はひとしおである。しかし人が多い、風情が若干削がれるが仕方がない。ロープウエーからは絶え間なく人が吐き出されて来ており展望台付近は電灯にむらがる蝿の如くワラワラとしている。あと、やはりというか海のそばの山の山頂は寒い。しきりに強風が吹き付け、9月初旬なのに長袖の羽織物でも少し物足りないほどであった。一通り撮影をし終えると脇にそれて登山でカラカラになった喉に自販機で買ったファンタを流し込む。美味しいが正直少し寒かった。反対側は下北半島が見え大間の街がかすかに見える。登った時は夕暮れの綺麗なグラデーションが見えていたが一通り夜景を見終わった後はこちらもすっかり夜の景色となっていた。

おそらく奥にぼんやり見える陸地と光が下北半島と大間の街だろう。

 そろそろ下山しようと思いバスに向かうとすでに満員であり、次のバスは30分後である。それならばとすっかり暗くなってしまった登山道をスマホの懐中電灯だよりに徒歩で下っていった。どうせ誰も来ないからとスマホから直で音楽をかけながら降りていたら、ライトも付けずに登山してくる変な人とすれ違い肝を冷やした。

夜の函館徘徊

 そこからは晩ごはんを食べてから湯の川温泉に向かおうと思ったが、存外市電の終電が早かったので先に湯ノ川温泉にいく。

ホテル雨宮館で日帰り温泉に入り、終電で函館駅方面へ戻る。湯上がりの火照った体に9月の涼風が染み渡る。旅行するのに慣れてきたといえど、全く知らない場所で夜を迎えるこの特別感はまだ楽しむことができているようだ。途中で下車し、道端に見かけた函館ラーメンの店の「函館麺屋 四代目」へ雪崩こむ。

塩ラーメンと肉めし

 時間はすでに22時20分過ぎ、店内ははしごの二軒目といった様子のすっかり出来上がった様子のおじさんたちが歓談していた。あっさりとした塩ラーメンをすすり、一緒に頼んだ肉めしをかきこんで早々に店を後にして駅前を散歩する。

夜の函館湾。上からの景色もいいが下から見るのもなかなか乙なものである。
青函連絡船摩周丸。青森の方には八甲田丸がいる。

 青函連絡船の摩周丸がライトアップされていたのでついでに寄り、セイコーマートで明日の朝ご飯のパンとメロンソフトを買って日付が変わる頃にゲストハウスへ戻る。戻ると宿泊者か管理人のおっちゃんか見分けがつかなかったが男一匹酒に溺れて寝ていた。途中で飲みかけの酒をこぼしてそれで起きたみたいだった。時刻は既に0時過ぎ。明朝は早いのでさっさと就寝する。

今日の出費

ラッキーピエロ港北大店 チャイニーズチキンバーガー 420円+税
            コーヒーシェイク 196円+税
函館市バス 240円
箱館奉行所 見学料 250円
五稜郭タワー売店 キーホルダー 500円
         一日乗車券 600円
旧函館区公会堂 見学料 150円
雨宮館ホテル 入浴料 500円
函館麺屋四代目 塩拉麺 700円
        肉めし 300円
セイコーマート函館豊川店 よくばりこっぺぱん(練乳)110円+税
             メロンソフト 198円+税
ゲストハウスHAKODATEベイ 3150円

今日の移動記録

あくまで利用した交通手段の定刻を載せています。実際は多少の遅延がありました。

 MEX01便
青森港着 9:25
青森港発 10:00
 津軽海峡フェリー ブルールミナス号
函館港着 13:40

函館バス北大前停留所発 14:25
 函館バス16系統(日吉営業所前行)
函館バス五稜郭停留所着 14:44

五稜郭公園前発 16:06
 函館市電5系統(函館どつく前行)
市役所前着 16:23

市役所前発 16:47
 函館市電5系統(函館どつく前行)
十字街着 16:51

十字街発 20:15
 函館市電5系統(湯の川行)
湯の川温泉着 20:50

湯の川温泉発 21:44
 函館市電5系統(函館どつく前行)
松風町着 22:10

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