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初めて北海道に行った話。2日目

9/8 北海道縦断、長すぎる鉄路


朝からの大移動

眠たい目を擦りながら布団を出る。時刻はまだ5時半前。前日に登山したこともあり疲れが出るかなと予想はしていたが、温泉が良かったのか、存外疲れは残っていない。友人を起こしつつ身支度をし、すぐにホテルを出る。そこまで時間に余裕はないのでそそくさと駅へ向かう。そして駅にて、特急の指定席券を発行しホームへ向かう。今日の一番列車、というか旅の一番列車は、函館6時2分発札幌行き北斗1号である。この列車で今日の最初の目的地、小樽を目指す。北海道の特急と成田エクスプレスってなんか先頭車両似てるよね。どうせ自由席は空いてるだろうけれど長時間移動なので指定席を取って座る。車内は3〜4組ほどの旅行者のみだった。自分は多分寝るだろうから友人に窓際を譲って自分は通路側に座る。まぁ結果的には寝なかったのだが。

朝の函館駅。
6時2分発北斗1号、かっこいい。


 函館を発って列車はまずは北上する。新幹線駅の新函館北斗ではそこそこの人が乗り込んできた。まだ朝早いこともあり大沼公園駅付近は幽玄な雰囲気がしていた。まぁ大沼とは逆の進行右側に座っていたのでしっかりとは見れてはいないが。そこそこ鉄オタの友人から砂原支線の話を聞きながら車内の時間を過ごす。

大沼公園駅付近。一瞬だけ進行右側からも見ることができる。

 列車は日本一の秘境駅になったばかりにシーズンには秘境とはもはや言い難い状態だと噂の小幌駅を通過したのだろうが、特急はそんな観光しか需要のない駅には止まらない。というか特急が止まったら秘境駅でもない。見た気がするし見てないと言われたら見てないかもしれない。今思うとそれぐらいである。まぁ多分はっきりは見れていないのであろう。正直自分は噴火湾沿いに列車と国道が走る景色の方が覚えている。ちなみに噴火湾とかいうカルデラみたいな名前をしているが、別にそんなことはない。毒舌、馬鹿舌、悪舌と三枚舌を持つことであまりにも有名な紳士の国の船乗りが周辺に火山が多かったから "volcano bay"と名付けたからとかなんとか。まぁ歴史的に見たらあの国は舌だけでなく手も出てるけど。あと印象に残っているのは初見で読めなかった「白老」と駅の近くにあったウポポイの看板ぐらいである。
 ちなみに函館と札幌を結ぶ特急はもちろん函館本線をずっと通るのだと思われがちだが、実際のところは長万部以降で特急を室蘭本線にNTRれている。まぁさらに千歳線にNTRれているわけだが。長万部以降函館本線は通称山線と呼ばれるルートを通っていて、ニセコや倶知安、余市、小樽がこれに属する。まぁ線形はゴミだし、平地を走りながら洞爺、登別、室蘭、苫小牧といった名所や都市の需要を拾う室蘭本線にそれはもう完敗している。というわけで特急は長万部以降室蘭本線を経由する。更には山線(長万部〜小樽)は北海道新幹線の並行在来線に認定されており廃止が決まっている。

快速エアポート@南千歳駅

 南千歳に到着し、快速エアポートに乗り換える。どうせ札幌まで特急に乗っても到着は変わらないし、札幌から乗ると座れなさそうだからここで乗り換えることとしていた。空自の基地が近く爆音を聞きながらホームで待っていると列車が入線してきた。しかし予想に反し到着した列車はかなりの人で、立ちとなってしまった。それもそのはず、時刻は9時半過ぎ、正常な旅行者が新千歳に降り立ち、観光のため道内にばら撒かれ始める時間である。混み合う車内からぼんやり車窓を眺めながら電車は札幌へ向かう。エスコンフィールドを通り過ぎ、JR北海道の希少な稼ぎ頭(黒字とは言っていない)である電化された千歳線を北上する。ドル箱の千歳線も赤字なのは流石にJR北海道まずいのでは。列車の車窓は次第に住宅地が目立ち始め、新札幌に着く頃にはタワマンなども目につく。札幌副都心とかいうそうだが、都心は東京だけでいいし実際そう。東京に出てくるまでは度々大阪近辺で乗ってきたが比にならない。東京メトロ銀座線車内で圧死を覚悟することもある。札幌駅で乗客は大きく入れ替わり、そこでやっと着席できた。そのまま揺られること30分ほど、11時前に小樽駅へ到着した。

小樽駅に到着。なんとなくレトロな雰囲気

小樽…思っていたよりも…

 とりあえず朝っぱらから活動しててお腹がへっていたためごはん屋に駆け込む。目星をつけていたのはなると、小樽名物の海鮮丼と若鳥の半身揚げが楽しめる店だ。開店前に到着したが平日にも関わらず8人ほどが既に並んでいた。開店して座席に通される。座敷もある広い店だが、どうやら2階席もあるらしい。席でメニューを見て入り口横のレジで会計して番号札をもらい席で待つスタイル。入口の動線と交錯しておりレジは混み合っていた。入店から30分ほど待って提供。ひと目見た印象は「とにかくデカイ。」海鮮丼には脂がのって大振りなネタが丼からはみ出さんばかりに乗せられている。やはりというかさすが北海道、魚が美味しい。しかしそれ以上に目を引くのが何と言っても鶏である。こんなのを見るのはクリスマス前のスーパーぐらいだと思っていたがまさかこんなところで出会うとは。皮はパリパリで、もも肉の柔らかくジューシーな食感とは良い対比になっている。自分は胸肉を後に食べるとパサつきそうだな、と思い胸肉から先に食べたが個人的には正解だった気がする。じっくりと味わい店を後にする。

毎日どれぐらい丸鶏を揚げているのかが食事中気になっていた。

 そこからまずは名所の運河の方へ向かう。長い坂道をくだり、運河沿いへつく。あぁこれか。写真で知っていたものと同じものが眼前に現れる。緩やかにカーブを描き、岸際まで詰まった倉庫群。快晴なこともあり、確かに映えはあるが、なんというかそれだけな印象だった。運河沿いを歩き、途中で橋を渡り倉庫の入り口側の道に入る。有名な観光地ではあるものの、歩行者天国ではなく普通に2車線の道路沿いに倉庫は立っている。倉庫の中はまちまちで、オシャンなお店やギャラリー、ビール工房から、びっくりドンキー、コインパーキングなど。様々に倉庫が利用されていて、個人的にはむしろこっちの方が好きだった。大学の授業のレポートに使えそうだ。

よく見るあれ。天気が異様にいい。
入り口から店内を覗いたら結構中もレトロで雰囲気もgood
個人的にこれはかなりお気に入り。
他学部履修している都市建築史概論のレポートに使う予定。

 一通り運河沿いを見て回ると、小樽のかつての金融街へ向かい、往時の面影を残す石レンガの建物群をみる。そこから商店街、堺町本通りの方へ向かっていく。古い建物を残しながらも、オルゴール屋であったりお土産物屋、有名な洋菓子屋など数多くの店が並ぶ。色々な店に入りながら、ガラス細工やシマエナガグッズなど色々見てまわる。ここで買うと文字通りお荷物になるので買わないのだが。一通り見て回った後、駅に戻る最中にソフトを買う。この日は快晴、汗ばむような暑さではないが冷たいものが食べたかった。友人は夕張メロン、自分は十勝の小豆ソフトを買って各々食べていた。

旧安田銀行小樽支店。入り口横の円柱が印象的。
小樽オルゴール堂。店内はオルゴールが所狭しと陳列されている。
画面中央の時計は祖母の家にミニチュアがあった。
十勝あずきソフト。ほんのり甘くて美味しい。

 道の通りのどこを見ても寿司屋がある「寿司屋通り」を通りながら駅に向かう。駅前のドンキ併設のスーパーで三ツ矢サイダーを買って船見坂を登る。名前の通り、小樽と海が一望できる良い眺望の坂だ。—もちろん、それだけ急な坂であるのだが。神戸大の友人曰く、大学前の坂より急だったとのこと。冬季には坂が凍って滑る人が続出しそうだなぁと、坂道ほどでもないがやや斜に構える感想を持った。

15%….15°……..4:√6-√2:√6+√2の三角形だ!!!!(文系数学脳)
結構な坂。

 小樽への自分の率直な感想としては、全国区の観光地としては少し中身が足りないかな、という感じがした。観光地といっても見ること重視なのか、買い物重視なのかなどによって印象は変わってくるが、見ること重視の観光では物足りなさを感じた。個人的には前日に行った函館の方が何倍も良かった。なんとなく新千歳・札幌からのアクセスの良さが人気に繋がっているような気がする。

札幌にてBreak Time

 予定よりも少し早かったが小樽は一通り観光して回ったので、快速エアポートで札幌に戻る。そして駅近で有名な北海道大学を見て回ることとする。駅から徒歩3分ぐらいで正門に着く。近すぎる。高校の恩師が新幹線駅から最も近い国立大学は岡山大学とか言っていたが、その記録も北海道新幹線の延伸で大幅に塗り替えられるだろう。北海道新幹線は工事が遅延しているのでもう10年くらいは岡大の2億円のゴミとともに数少ないアイデンティティは延命されるだろう。よく考えたら弊学はほとんど不忍池を渡ったら敷地なので実は現在一番近い気がする。
 北海道大学はすごかった。敷地内に人口の川が流れているし、お昼寝やピクニックにちょうどいい感じの芝生と林もある。クラーク先生もいる。(なお、北大のクラーク像は胸像で、観光パンフとかで見るのは羊ヶ丘展望台の方である。)しばらく散歩してポプラ並木とか北大総合博物館とかを見て回ったが個人的に一番羨ましかったのは北大構内のセイコーマートだった。めっちゃ綺麗だしHotShefあるしでとても羨ましい。弊学にも進出してほしいものだ。

人工の川が流れている。
クラーク先生。
おしゃれすぎるセイコーマート

夕方からも大移動

 札幌駅に戻り、本日最後の移動をする前に駅弁を買うことにしたが、札幌駅に来た時にはあった駅弁は売り切れていた。仕方がないので駅併設の大丸百貨店の地下で弁当を買うことにした。そこまで時間に余裕がないので手早く購入し、駅に戻り指定席を発券。ホームに急いで向かう。途中のキオスクで酒だけ買う。この旅最初のアルコールだ。18時30分札幌発ライラック35号に乗車。ここから旭川まで向かい、乗り換えて最北端、稚内まで向かう。1日一往復だけ札幌と稚内を直接結ぶ特急宗谷が走っているが時間が合わないので乗り換えが必要となる。ちなみに特急宗谷は日本一の距離を走る気動車特急だそう。自分はお腹が減ったのでライラックの車内で弁当を食べる。大丸ではちらし寿司のお弁当を買っていた。昼に海鮮を食べたばっかりだが、海鮮なんか何回でも食べられる。

列車の中で酒を飲むのは最高。

朝からの移動の疲れがあり、時間はすでに19時を回っていて窓から見える景色も真っ暗。室蘭本線との合流駅である小岩沢駅を過ぎたあたりでいつの間にか自分は寝ていた。旭川駅の手前で目が覚め、そのまま綺麗に整備されている旭川駅に到着する。10分ぐらいの乗り換え時間の間にライラック35号からサロベツ3号に乗り換え、そのまま旭川駅を出発する。
 ここからは非電化区間なので乗り心地も変わる。友人が牛肉弁当を食べるのを横目で見ているとまたお腹が減ってくる。車窓は相変わらず真っ暗だし、名寄を超えると日本有数の人口過疎地帯。人家の明かりすら望めそうにない。また寝ていた。気がつくと、終着稚内の一駅手前、南稚内の手前あたりであった。ずっと起きていた友人によると、途中野生動物による急停車があったようで5分ほど遅れが起きているようだった。この時気づいたが、JR北海道では終点ではなく、終着と案内するようだ。そのまま列車は惰性のように走り続け、日が変わる寸前に稚内駅へ到着する。

北の最果て、稚内の夜

 列車から降り、ホームにある北海道やその他地点からの距離表を順番に見ていく。駅から出ると端っこのレールと、日付・時刻・気温などを表示するモニュメントがあった。鉄オタでない自分にも鉄路の端に来たのだ、という強烈な実感と感動が襲ってくる。旅の計画を立てているときに、稚内に行くことは実は迷っていた。旭川からのタイムロスが大きいし、ダイヤ通りに列車が動く保証もなかったからだ。しかし稚内についただけではあるが、「来て良かった」と思わせる何かが稚内にはあった。2万7000km以上ある日本の鉄路の最北端であり、これ以上北へ伸びることもないだろう。知らない人から見たらただの片田舎の駅だろうが、そのような知識があれば見方が変わってくる。これを文化というのかもしれない。

稚内駅のホームには多くの看板が並ぶ。実は昔より稚内駅は南に移ってきている。
今日の旅の初めはここから。大体東京〜青森が710kmぐらいで同じくらいである。
北海道広すぎだろ。
まだ枕崎は行ったことがないので機会があれば訪れたい。
綺麗な稚内駅。映画館も併設している。
ちなみに鬼滅の刃無限列車編(1日12本上映)は稚内駅の列車本数(1日7本)より多かった模様。
駅前の掲示。ちょうど0時00分を示している。

 すっかり閑散とした街を歩き、今宵の宿泊場所、ゲストハウス モシリパへ向かう。ゲストハウスは稚内から北へ徒歩3分ぐらい。無人チェックインが導入されていて、夜遅くのチェックインになる自分たちにとって都合が良かった。ただ、部屋の関係でセミダブルしかなかったので一つのベッドに2人で寝ることになった。部屋はダイアル式の鍵がかかっていて暗証番号を入力することで入室できる。2人ともすっかり腹が減ったのでgoogleで開いている店を調べ、繰り出してみたが閉まっていて戦果もなくホテルに戻った。仕方ないのでシャワーを浴びさっさと寝る準備をする。シャワーをしている間、換気のため窓を開けて、ドアが閉まらないように椅子をストッパーにしていた。しかし突風で椅子が動きドアが閉まって2人とも締め出されてしまった。友人が一回見ただけの番号を覚えていたので難なきを得たが、あわや床で寝るところであった。ベッドは狭いことには狭かったが、普通に熟睡することができた。

今日の出費

若鶏時代なると 若鶏・海鮮丼セット 1,890円
柳月 あずきバニラソフト 380円
長崎屋小樽店 三ツ矢サイダールビーレモネード 73円
セイコーマート北海道大学 玄米茶 85円(クーポン適用)
大丸札幌店 弁当 1,380円
KIOSK札幌ラッチ中店 チューハイ 199円

今日の移動記録

602 函館駅発
 北斗1号(函館行)
918 南千歳駅着
933 南千歳駅発
 快速エアポート95号(小樽行)
1047 小樽駅着

1533 小樽駅発
 快速エアポート162号(新千歳空港行)
1608 札幌着

1830 札幌発
 ライラック35号(旭川行)
1955 旭川着
2006 旭川発
 サロベツ3号(稚内行)
2347 稚内着


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