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21と22の補足~「押す」か「引く」か、それが問題だ。

「手を動かす」前に私たちが考えなくてはいけないデザインの大切なこと

『SNS×DESIGN 22 の法則 未来を創る 私のブランドポートフォリオ』のあとがき部分に解説している「21.押すデザイン」「22.引くデザイン」については、『簡単だけど、すごく良くなる77のルール デザイン力の基本』(日本実業出版社)でも解説していますが、2008年に発刊された『視覚マーケティングのススメ』が初出で、いわゆる「プル型」vs「プッシュ型」マーケティングのデザイン版のことを指しています。

デザイン力の基本』から引用します。


視覚における「押す」と「引く」を意識する

ターゲットをつかんでいこうとするような勢いをデザインに盛り込む場合(プッシュ型)と、控えめな表現がかえって心を揺さぶり、自分から少しずつ近づいていきたくなるような惹きつけるデザイン(プル型)が効果的な場合があります。
そのどちらかが正しいということではなく、ケースごとにどちらがいいかを戦略的に意識して使用することが大切です。これらも、「なんとなく〇〇○」と感じるデザイン手法の1つです。

簡単だけど、すごく良くなる77のルール デザイン力の基本』より


『SNS×DESIGN 22 の法則 未来を創る 私のブランドポートフォリオ』では

引くデザイン…「未来への投資」として、「仕掛けておく」デザイン
押すデザイン…一瞬で全ての人の心を掴む。「パ〜ン!」と、大きな打ち上げ花火をあげる

『SNS×DESIGN 22 の法則 未来を創る 私のブランドポートフォリオ』より

として、いずれも「適材適所」が有効であるとしています。


フォーカスと光のコントラストが印象的。怖くはないけれども「強さ」を感じる @dan__burton
遠景から女性のシルエットは優しいイメージ。パンチというよりも美しい夕焼けにタッチ!@acharki95

説明としては以上なのですが、SNS運用での効果やメリットということで、ここでは少し掘り下げたいと思います。


「なんとなく〇〇な感じ」がある人は、印象に残りやすい

「世界観」や「印象」というものは、もともとその人が持っているものです。広告ディレクター、スタイリスト、話し方の先生などは、その「もともとその人が持っているもの」をわかりやすく、あるいは象徴的に表現できるように具体的なアドバイスができる人といえます。

例えば、もしも、あなたが会社の経営者で、専属のアートディレクターとスタイリストとカメラマンとSNSプランナーを抱えていれば、「押すか、引くか」などは考える必要もありません。

実際に、イギリスの王室の「ロイヤルフォトグラファー」の記事や、アメリカ合衆国が公表しているサイト「The White Housewww.flickr.com/)では、それぞれ表現に確固たる意志が感じられます。

いずれも専属カメラマンの紹介などがメディアでもされていますね!

例えば、ホワイトハウスの公式では、カメラはソニーのデジタル一眼カメラ α9 II ILCE-9M2 を使用しています。

https://www.flickr.com/photos/whitehouse/(CCライセンス)

サイトに表示されたCC(クリエイティブ・コモンズ)ライセンスに従い、「写真の主題」について解説してみましょう。

垂直線と遠近法構図で強さを表現し、「被写体」にフォーカスしている。日本では、「単焦点+ボケ写真」(全ピンでない=全部ピントが来ていない写真)政治写真ほとんど見られない。


『SNS×DESIGN 22 の法則 未来を創る 私のブランドポートフォリオ』の「光と影の法則」でも書いた通りのまさに「強い光と影」によって「強い存在感」が、遠近法の構図のセンターをまっすぐに歩く姿に「強い意志」が表現されています。

典型的な「押す」イメージです。


@shutterstock.com

一方で、イギリス王室の公開されている公式写真の多くは、「ロイヤルファミリーの表情」に視線が集まるような、その柔らかい一瞬の表情をよく捉えているものが目立ちます。

光の回った柔らかい影(きっとこの日は曇り)と優しい笑顔に視線が集まる構図

「世界が愛した」エリザベス女王のこちらの写真。発色良くかつ派手すぎないローズピンクの衣装に上品さが、柔らかい影(きっとこの日は曇り)と背景には構造線が入っていますが、これらは少し丸みを帯びた背中の曲線を引き立たせ、女王の優しい表情に釘付けになります。
高貴なロイヤルファミリーであるけれども、この優しい表情に「親しみ」を感じてしまわずにはいられません。

典型的な「(引き)惹きつけられる」写真です。


肝心なのは「一貫性」

先日、読者の方がX(元Twitter)で嬉しい感想をあげてくださいました。

企業の広報担当者などであれば、ここは「クリティカル」なポイントになるかなと思います。また、国内外で多少傾向は異なり、

日本国内…その業界らしさ(のトーンを重要視する傾向)
グローバル企業…自社のアイデンティティ(ブランドイメージを重視)

する傾向が感じられます。(※当社調べ)

もちろん、個人ブランディングの場合は、「戦略」というと堅苦しいけれど、意識をしているかどうかだけでも随分変わってくるのかな、と思います。

また、もしかしたら、ご本人は意識していないかもだけれど、「上手いなぁ」と思う方やインフルエンサーの方も、心を奪われる投稿をされている方は「らしさ」が際立っていますね。

「汝(なんじ)己を知れ」


『SNS×DESIGN 22 の法則 未来を創る 私のブランドポートフォリオ』では、フォトディレクションの話を中心に解説されていますが、実際には、タイポグラフィーやカラー(配色)でも同じことが言えます。

2008年に出版している『視覚マーケティングのススメ』、Kindle版(Unlimited)にもこんなサンプルを紹介していました。余白の取り方、フォントサイズ、書体、、、

どのように見せたいか、感じたいか、が念頭にあれば、私たちはそれを表現し伝えることができます。


『視覚マーケティングのススメ』より


まずはSNS、そして身近なところで言うと、アイコン(プロフィール写真)のトリミングなどから始めてみると良いでしょうか。
サンプルは、左から「押し気味」「控えめに押し気味」「引き気味」のトリミングになります。

『SNS×DESIGN 22 の法則 未来を創る 私のブランドポートフォリオ』

ぜひ、皆さんも色々と試してみてください。
そして、よくできたら、ぜひ、シェアもお願いします!


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