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地域社会の課題は楽しく変化させる:イベント「ぷらっとほうむ」で実現出来た事

(2024.06.03リライト)
こんにちは、自分はミホロという水泳に特化した会社を経営している今村といいます。

僕は29歳の時に親の会社を継ぐ形で今の会社に入って、ネット通販の時代的な追い風の中で、色々なお客さんに支えられながら順調に成長し、会社の事業は色々なメディアで取り上げていたいただきました。

その会社での成長のお礼を返すためにも、地域社会が魅力的に発展するための活動を30代の中頃から率先して始めるようになりました。

その地域活動の中でとても印象深いことのひとつに「ぷらっとほうむ」というイベントがあります。

これは地元の有志が立ち上げ、それを回を追うごとに成長していったイベントで、最終的には地元の企業が自分たちの仕事をベースに、子供たちにはたらく体験をしてもらうイベントです。

世間的にとても有名な施設として職業体験型施設のキッザニアというとても素敵な施設がありますが、それの地域密着版と考えていただけるとわかりやすいかもしれません。

そのイベントを岐阜県大野町という地方で色々な人の力によって作りあげたのです。

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ぷらっとほうむシーンの数々

このイベント会場では多くの子供達が働く体験に取り組み、
その子供たちの姿を優しく見守る親
子供たちの創造力豊かな姿に、自らの仕事の価値を振り返る地元企業の方

というように、言葉にしきれないほどの物語が、そこにはありました。

このイベントには多くの実行委員の方たちの熱い思いをベースにして、類稀なる才能、アイデアなどが組み上がってできたイベントで、地元のメディアや、地域情報誌にも多く取り上げていただきました。

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記事にもしていただき、多くのスポンサーにも応援していただきました。

振り返ってみても非常に価値のあるイベントだったことは間違いないと、今でも思います。

これまでこのイベントについてはあくまでも有志と大野町商工会青年部の活動が主体だったため個人発信では語ってこなかったのですが、関わってくれた人たちがどれだけ素晴らしいことに関わっていただいたかを伝えたいという思い、そしてこのイベントが今後の日本社会に何かのヒントになるのではという強い思いがあり、noteに綴らせていただきます。

イベント「ぷらっとほうむ」の価値

まずは、実際のイベントの様子を紹介します。

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※第5回開催時のマップ

このイベントには、先ほども書かせて頂いたように、地元の企業(商店主・事業者)が働く体験を届ける「はたらくエリア」があります。

ここでは電気屋、水道屋、工務店、お茶屋、カメラマンなど、一番多い年ではたらく体験だけで30もの出店者に集まっていただき、その会社が提供する働く体験をできました。

地元密着だからこそ、どんなアミューズメントパークでも体験できないような体験がここには詰まっています。全部は語りきれませんが、その一端をご紹介します。

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革細工職人による加工の体験
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地元コンクリート会社と工務店のJVによる電動ドリル体験
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コインランドリー運営者によるシミ落とし体験
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地元建設会社や工務店による運転体験
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プロカメラマンによる、本物の一眼レフカメラでの撮影体験

この一つ一つの働く体験全てが地元で活躍する企業、その道の正真正銘プロフェッショナルの人たちが子どもたちに向けて提供してくれた貴重な時間と技術です。上記に挙げたものはほんの一端にすぎません。

そして、地元岐阜県を中心に、遠くは京都や三重県から集まった各種お店と飲食ブース「おかいものエリア」

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各店舗には長蛇の行列ができていました。

ここにはクラフト作家さんによるお店など、実行委員が熱い思いを持って出店を呼びかけて集めてくれたお店が多く立ち並びます。

このイベントには面白い仕組みが組み込まれています。

はたらく体験を終えると、報酬(ぷらっと硬貨)がもらえ、実際に100円相当のお買い物ができるように仕組みができていました。

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このイベントで作られたチラシやチケット、通貨、缶バッジ

おかいもの店舗の皆さんにはこのイベントの趣旨に共感をしていただき、子供たちが何かを購入できるように、通常の商品とは別にぷらっと通貨だけでも買える商品(100円相当)も用意していただきました。

「はたらく」から「おかいもの」そして「たべる」

このイベントを紹介する際に使う言葉に「1日限りの小さな町」と、デザイナーさんが表現してもらいましたが、まさにそんな1日を表現した小さな町のようなイベントです。

このイベントでは、多くの人たちにとても貴重な体験と時間をお届けできたと思っていますが、その中でも1.子供たち、2.地元企業、3.地元住人の三つの視点で見ても優れたイベントだったと感じています。

その3つの視点を一つずつ説明していきます。

1.子供たちにとっての価値

先述したように、日本には子どもたちが働く体験を楽しむというとても魅力的な施設であるキッザニアがあります。

そこと同じように子供たちは今まで遠くから見ることしかできなかった大人たちの仕事を目の前で体験し、その世界の中に入り込みます。

大人たちが実際に使っている道具を自分たちも使うから、子供たちは真剣に目の前の仕事に取り組みます。
(※全てその道のプロが隣に付き添い、安全に最大限の配慮をしています)

「怪我をするかもしれない。」

子供たち自身もその目の前の道具や状況を見て、すごく難しいことをしようとしているということが伝わるから、真剣になる。

今自分ができることよりも背伸びしてやっと届くような体験に向き合った時、真剣になる。

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大きな音を出す電動ドリルの振動を手元に感じて体験する

その、真剣になるという思いや覚悟が、普段の日常の中から得られることよりも圧倒的に大きく成長させます。

それぞれの仕事(はたらく)を成し遂げた後の子供たちの目は自身に溢れています。

子供たちは大人たちのかっこよさを普段触れられないほど身近な場所で感じ、色々感じることも多いということを全身で体験します。

「おれ、将来〇〇になる」と、働く体験ブースから帰ってきた子供たちから何度も聞き、その言葉を聞く度に、心を熱くさせられました。

子供の頃の体験は大人になるまで一時的に忘れてしまうかもしれませんが、大人になった時に

「あれ、子供の頃こういうことを体験して楽しかったかも」

と思い起こす瞬間が出たり

「あなた、これをやっている時すごく楽しそうで、熱中していたよ」

と、言われて、自分の中の体験した記憶に出会うきっかけがあるかもしれません。

ゼルダの伝説という有名なゲームを作った宮本茂さんは、子どもの頃にランタンを片手に洞窟を探検したり、山頂で湖に遭遇した体験など、幼少期に自然の中で体験したことや培われた感性が後のゲーム作りに影響を与えていたと言われています。

この大人になった時に、この思いを思い起こすという記憶は、近年よく言われる「好きを仕事にする」と散々言われている背景で気づかれているのではないでしょうか。

最近では原体験という言葉で広がっていますので、色々な人の原体験に触れてみるのも良いのではないでしょうか。

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※子供たち自身が手書きで書いたアンケートの集計結果

2.企業出店者にとっての価値

このイベントには安全性を確保するためにも、とても多くの大人たちが手伝い、参加してくれています。

出店して頂いた皆さんは、朝から晩までとても忙しい1日を過ごすことにもなります。

出店者もボランティアで協力をしていただいているのは確かですが、それにも見合うだけの価値を企業の方に感じて貰えたのではないかと思います。

出店して頂いた方からいろいろな話を聞いたのですが、

子供たちの真剣な様子に、自分の仕事の意義の大切さを改めて感じた方

子供たちに自分の技術を教えていたら、子供たちの柔軟な発想と感性に驚かされ、自分の事業で思わぬヒントを得た方

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一眼レフを構え、地元の消防団と消防車を撮影する子どもたち

(子供たちに)「成長してもらうために学んでもらう。」
(来てくれた人に)「楽しんでもらう。」

事業をする上で何よりも大切なことを純粋に考え、築き上げたことによる、働く体験というサービスの基本設計

「子供たちに何を体験してもらおう?」

と考え直す時に思い起こす、皆さん自身の事業や、サービスが持っている価値を見返すことになります。

そして何より、子供たちからの本気の、満面の笑みでの「ありがとう。」

実際に出店し、子供たちと生で接したからこその価値です。

そしてもう一つ、出店してくれた企業にとって次の3.地元の人にとっての価値とつながる価値があります。

3.地元の人にとっての価値

私たちは普段、町中で見かける企業の看板を見て、どんなことを想像するのでしょうか?

道の途中で見る重機で働いている姿を見て何を考えますでしょうか?

情報に溢れた現代において余程の機会がない限り、深く考えることがなく、地元企業と地元の住人という繋がりは希薄になっています。

僕は子供の頃、学校の近くに何かの工場があり、そこでバチバチと派手に火花を立てて溶接をする大人の姿を遠くから眺めていたのを覚えています。

ですが、現代でそういうことをしていれば、大人から「危ない」と言われるか、そもそも眺められる場所で溶接ができないようになっていると思います。

僕は子どもの頃、働く大人を眺める機会があり、それをみて色々と感じながら大きくなってきたけれど、今はそれが少なくなっている。

安全を確保するという目的のもと、時代の変化の中で地元の大人たちの働く姿を見ずに育ち、すごく近所の人たちとの接点も少なくなる。

一昔前であれば、地元小さなコミュニティの中でもお祭りがあちこちで開催され、そこを基点に多くの人がつながっていました。

今はそのお祭りの運営が大変ということで、地元の小さなコミュニティを形成していたお祭りは姿を消しつつあります。

インターネットで質問をし、インターネットでコミュニティができ、インターネットで答えを見つけ、解決をして行く。

それは決して悪いことではありません。私も個人でしているのはネットでの仕事です。

コミュニティに関わり続けることの難しさも、わかります。

でも、ふと気づくと、隣にいる人がどんな人なのかいうこともわからなくなるぐらいに繋がりがなくなっている。

ですが、このイベントがあることで、

「あそこで工事しているのは、この間クレーン運転体験を届けてくれた会社だよ。かっこいいね」

「この間の体験で作った〇〇、プロが作るとすごく立派なのができるね!」

そんな親と子どもの会話が生まれ、そこに看板でしか知らなかった地元の人同士のつながりができると思うのです。

また、その思い出が何度も思い起こすこともなるのではないでしょうか。

私は良いイベントとは、”点”ではないと思っていますが、そうかといってその前後を過ぎるような”線”でもありません。

私が考える良いイベントとは、色々な思いが繋がる”結合点”だと考えています。

様々な人、企業、団体、思いがこのイベント1日のために動き、時にコラボをして行く。

このぷらっとほうむというイベントは、これからの社会にとって大事なヒントの一つだと感じています。

このイベントは多くの人に喜んでいただき、同時に応援をしていただきました。

このイベントの魅力についてお伝えした時に同時に伝えたいのは、このイベントに関わって頂いた非常に多くの方々のことです。

教育委員会や学校からは後援をもらって何人ものボランティアを集めていただき、近隣住人の人には事前も当日も何度も何度も助けてもらいました。

仕事終わりで疲れているにもかかわらず、何度も会議に足を運んでくれて、何十時間というだけでは及ばないほどの時間を費やしてアイデアを出し、周りに呼びかけ、実現に向けて力強く動いてくれた実行委員

これ以上ないほどのサポートをもらったのも確かですが、続けることの難しさと直面し、課題が出てきたのも確かです。

この経験から継続的な地域貢献とは何かという事をこの数年、すごく考えています。

地域社会をしなやかに繋げていく。

今後このあたりの思いがまとまれば発信していこうと思います。

もし気になった方がいたら、フォローまたは保存をしておいていただけたら幸いです。そして、このイベントが継続可能な形でどこかの地域で開催されることも同時に願っておきます。

------今後下記の項目を(多分)追記していきます。-----

◆成り立ち
・0→1の難しさ(初代実行委員長の奮闘)
・1→Xへの模索(グランドデザイン、呼びかけ、集まる)

◆このイベントの現状
・第4回目、5回目以降の状況
・多くの人の応援
・自分の責任と反省

◆地域貢献のあり方
・継続的可能な地域とは何か
・ルール、社会の形をもう一度俯瞰してみる


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