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あんときのデジカメ 讃岐の春の夕景 with PENTAX Optio WPi

(はじめに)最近仕事が忙しいのですが、低成長の斜陽時代をモーレツに生きるって一体何だろうと考えています。下り坂をそろそろと下るのは寂しくしんどいかも知れませんが、春の夕景はそっと背中を押してくれるものですね。讃岐の夕景を古いペンタックスの防水デジカメで撮影してみました。


下り坂をそろそろと下る

 「最近、仕事が忙しく」などと言っても、中年男性がそういうフレーズを枕詞として語りはじめてしまえば、どこにでも転がっている話ですよね。そして、その続きもほとんど予想されてしまうのが、悲しいかな、20世紀後半から続く日本社会の現在ではないかと考えています。

 しかし、軽佻浮薄を範とする僕自身がそうなってしまっていることには驚きをかくせません。ただ、「最近、仕事が忙しく」というのは、ある意味では、生業(なりわい)が賑々しく、それはそれでよいということですが、ここがちょっと微妙なところというのも真実ではないかと考えています。

 大胆に、言ってしまえば、人口減少社会においては、もはや経済成長が望めない以上、20世紀的な意味での「モーレツ社員」やリゲイン(三共製薬)「24時間戦えますか?」的な働き方のあり方が有意味とは考えにくいという話です。


 もちろん、責任はありますので、「最近、仕事が忙しく」そのことに精励しなければならないのは事実です。しかし、同時にどこかで、「売上をあげよう!」と猛烈に仕事をしている自分自身に対する省察を遂行してもしまいます。

 こういう躊躇しながら生きる流儀というのは、ビジネスの世界では、やはり敬遠されがちですが、それでも、僕はそういう批判精神というものもどこかで、あるいは組織においては一人ぐらいは必要なのではないかと考えています。

 そして、斜陽していく日本社会において、どのように後退戦をしていくのか、やはりどこかで考えておく必要があると思うのですけどねえ。

 いかがでしょうか?

 下り坂を下っていくことには、寂しさがつきまとう。いまだ成長型の社会を望んでいる人は、この寂しさと向き合うことを避けようとしている人々である。一方で、
 「成長は終わった、成熟型の社会、持続可能な社会を創ろう」
 という方たちもまた、この「寂しさ」をないものとして素通りしているように私には思える。それでは、問題は何も解決しない。

(出典)平田オリザ『下り坂をそろそろと下る』講談社現代新書、2016年、20頁。


夕暮れの寂しさに歯を食いしばりながら

 子規が見た、あるいは秋山兄弟の見た坂の上の雲も、他の味わいがきっとある。夕暮れの寂しさに歯を食いしばりながら、「明日は晴れか」と小さく呟き、今日もこの坂を下りていこう。
(出典)平田オリザ、前掲書、238頁。

 さて、斜陽時代をどのように生きていくのか、あるいはどのように根本的に考えていけばよいのか、その思考実験として最良の一冊が劇作家平田オリザさんの『下り坂をそろそろと下る』だと僕は考えています。

 面白いのはそのモチーフとしてイケイケドンドンの時代の象徴として司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』が取り上げられていることです。

 近代化と戦後復興、そして高度経済成長という波を「二つながら見事に登り切ったわたしたち日本人が、では、その急坂を、どうやってそろりそろりと下っていけばいいのかを、旅の日記のように記しながら考えていければと思っている」(平田オリザ)。

 たしかに急な坂を下るのは寂しくしんどいのかも知れませんが、引き受けざるを得ない事柄であり、その光景は、青空に高く浮かぶ「坂の上の雲」ではなく、夕暮れ時なのかも知れません。

 ということで、讃岐の夕景を少し、古いデジタルカメラで記録してみました。秋の夕日もいいのですが、徐々に冬景色に助走していくそれには寂しさがつきまとうのに対し、春の夕日というものは、どちらかといえば、徐々に暖かくなっていくように、温かみのある印象を抱いてしまいます



スナップ撮影でも活躍できるアウトドアカメラ

 今回、讃岐の春の夕日を撮影するのに使用したのは、ペンタックスの防水デジタルカメラ Optio WPi になります。2005年の発売ですから足掛け15年前のカメラとなり、動作確認ジャンク扱いというシロモノで手に入れたものですから僕がしようしているそれは、ちょっと筐体がボロボロです。

 ただし光学系など動作には全く問題がありませんで、今回使用してみたのですが、Optioはレスポンスがよい点が非常に使いやすく、いくつも集めてしまう理由になっているのではないかと考えています。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、636万画素1/2.5型CCDで、レンズは、屈曲光学系の光学3倍ズームレンズとなります。センサーはoptioらしい、まあ「まちがいのない」絵作りで、屈曲光学レンズは撮影時に飛び出さないタイプですから、アウトドアの時だけでなくストリートショットでも非常に便利です。

 レンズは、35mmフィルムカメラ換算で38~114mmの3倍ズームで、開放F値がF3.3~4と明るく非常にこちらも便利です。おそらく水中撮影時への対応として明るいレンズを搭載しているものと思われますが、この明るさが屋内での接写などで大活躍できるのが「意外」といえば意外でした。

 もちろん、この時代のカメラですから、手ブレ補正はありません。筐体の小ささとあいまってブレやすいのですが、そこは使用者の腕の見せ所というところでしょうか。100枚程度簡単に撮影してみましたが、中古バッテリーの持ちの悪さを差し引けば、スナップショットに最適な「コンパクトデジタルカメラ」ではないかという印象です。

 ということで以下作例です。拙い写真ですが、讃岐の夕景をご笑覧下さればと思います。

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今回の撮影行でお世話になったのは「吉野家」さんです。全国どこにでもあるのですが、5年ぶりぐらいに「牛丼」をちょうだいしました。これ、たまに食べると美味しいですね。

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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO160、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は2816×2112で保存。撮影は2020年3月12日。撮影場所は香川県善通寺市、丸亀市。




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氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。