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秋に夏の曲を聴く




秋に夏の曲を聴く。

雨の日に晴れの曲を聴く。

夜11時過ぎにカップラーメンを食べる。

通らなくてもいい高架橋をわざわざ遠回りして登って降りる。

決められたシステムに基づいたサークルの中で、ばれない程度に輪を乱そうとする。

秋に聴く夏の曲って、何かと一味違う。ほら、夜に食べるカップラーメンって、昼に食べるより美味いだろ?(※個人差あり)
禁断の美味しさ。(などと供述しており…)
もちろん夏に夏の曲を聴くのがベストなのだが、味変みたいなもの。

秋に聴くことによって、夏が終わったことを実感する。今年の夏ももう戻らないことを噛み締める。記憶を吟味する。来年の夏のことを思う。別に夏を好きなわけではないが(暑いので…)。

此度の夏も、熱を上げる群衆を横目に、試合に参加することなく敗れる。
来年は花火でも見に行こうかな。

私が好きな秋は、何かと「はやい」。

木々の葉が黄色、赤に染まり始めたかと思えば、次の週には三分の一ほど枯れ落ち、風なり箒によって一箇所に集められたり、自由にあちこちに散乱したりしている。更に次の週には、木によってはもう落ちきっている。見上げると、枝が血管のように空に蔓延る。

高校のとき、生物の授業で知ったのだが、日照時間と葉一枚一枚に与える栄養分の割合が合わないらしい。つくづく計算され尽くした世界で生きていると思う。生き物それぞれの(細胞の)寿命のサイクルもそれなりに謎だし。やはり規則には従うのが最も聡明な判断なのかな。なんて。

毎日同じ時間に退勤していると、日に日に暗くなるのが早くなっていることを感じる。夕方の時間も「はやい」。少しでも目を離すといなくなる。そしていなくなれば2度と会えないことを、少し寂しく思う。

誰も待ってくれやしないんだから。

I travel all the towns
From a star
Idol’s falling down
Into the past

Orange Ocean  「夏日漱石」

(とりあえず曲名が秀悦すぎ。電車に揺られながら聴くとベストマッチ)
(全体的に退廃的な雰囲気を醸し出しながら、どこか現代的な洒落た気品を感じる。そう、西陽西下、古代ローマの美女と砂漠に囲まれ誰もいなくなってしまった高層ビル街をドライブする感覚)(?)

天上天下繋ぐ花火哉
万代と刹那の出会ひ
忘るまじ忘るまじ忘るまじ
我らの夏を

椎名林檎&浮雲 「長く短い祭」

(歌詞がすごい。椎名林檎の歌詞は噛めば噛むほど味が出る。しかしその真意をついぞ知ることなく、彼女はくるりと後ろを向き、纏った羽織が宙を舞い、いい香りが残るだけ。すみません。)
(椎名林檎の「一寸女盛りを如何しやう」の破壊力よ。椎名林檎に言われたらそれは確かに如何しやうもないわってなるわ)

水に映る花を 花を見ていた
水に霞む月を 月を見ていたから

n-buna  「夜明けと蛍」

(言葉自体も美しいが、n-bunaは何よりその言葉がメロディに乗ったそのときが一番美しく感じる。)
(n-bunaの夏の曲は聴けば夏に浸れる。夏の夢を見る。敗者の私でも見れる幻想がある。優しさがある。今年はこの曲を一番リピしたのでこれにしたが、他もおすすめ。)


2023.10.30 星期一

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