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【映画感想】「ラーゲリより愛をこめて」|シベリアを舞台にした希望を掴む物語 

映画の上映終了が刻一刻と迫っていたので、2023年の1月も終わりに近づいた頃に鑑賞しに行きました。
結果として、とても良作でした。
以下、簡単なあらすじと感想です。


あらすじ

戦後にウラジオストクに家族で滞在していた山本は、ソ連からの空襲をきっかけに家族と離れ離れになり、シベリア抑留となる。
ロシア語を話すことができた山本は通訳をしつつも日本へ帰国すること(ダモイ)を訴え続けるが、一向に聞き入れてもらえない。
日本にいる妻と子供のことを想いつつ、シベリアでの壮絶な生活を送る山本は一縷の望みを胸に毎日を生きていく。

前半は北国の収容所(ラーゲリ)での過酷な生活が描かれており、中盤には帰国の喜びも束の間、再び収容所送りにされてより過酷な労働を強制される
という展開が続く。野球や俳句など、日常の小さな喜びをみつけるシーンはあるが、基本的に物語の半分ほどはこの過酷な生活を中心に描かれている。終盤にかけては山本が病魔に襲われたことで、仲間が団結していく場面や、遺書を残すシーンなどがあり、涙なしには見れない感動的な物語が訪れる。

感想

泣けるという噂を事前に聞いていたので、視聴前は「誰が泣くものか」と思って見に行ったのですが、結果的には中盤以降に思いっきり泣かされました。
シベリア抑留については親類がその経験者だったという話を聞いていたこともあり、映像以上に実話としてのリアリティがありました。
「通訳ができたから生き延びれた」という話を聞いていたので、その点についても主人公の山本とも重なったところがあると思います。

結構泣かされるシーンがいくつかあったのですが、自分の場合、最初に涙が出たのはあまり何ということもない場面でした。
シベリアの空が見えるシーンがあるのですが、時々切り替わる妻がいる日本の空と比べて、寒々しくて陰鬱としたような印象を持っていました。
この寒空の下で必死に生きていた人たちがたった100年も経っていない間に本当に存在していて、その空は日本と続いており、そして現在の僕たちもその空の下にいる、という事実が難とも言えない気持ちになって涙が出ました。どんな状況下でも真上には空があるなんて当たり前なのに、涙がほろりと出てしまったのは不思議です。

鑑賞中、映画館の座席の周りを見回すと、おじさんやおばさんたちが鼻をすすってむせび泣く声が聞こえてきたので、僕が涙もろいのではなく、恐らくは誰しもが涙なしでは見られないような感動できる物語だったのは間違いないでしょう。
また、自分も山本と同じでロシア文学に興味があったので、この令和の時代に映像化された北国の世界を見れたというだけでも満足がいく作品でした。
もし、少しでも興味が沸いた方はぜひ視聴をお勧めします。


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