眠れぬ夜はココアを淹れて
眠れない夜、私はココアを淹れる。
子どもの頃からのおまじない。
普段入れない牛乳を少しだけ入れて作ったミルクココアは、暖かく優しくお腹に染み渡り、眠気を連れて来てくれる。
おまじないが効きますように、と思いながらココアパウダーを練る時間はほんの少し楽しい。
できるだけ甘く、優しい味にしたいから砂糖も入れちゃう。
はちみつはいつか入れてみたいな。
ほんのり寒いキッチンで飲むココアは美味しい。
真夜中、家族を起こさない様にそっと起き出してマグカップを準備する。
一人だけ起きていて、柔らかなライトに見守られてココアを作っていると、なんだかホッとする。
ポツポツ降る雨音やしんしんと降り積もる雪、そんなのを窓の外に見ながら過ごす眠れぬ夜。
早く眠りたいのがいちばんの本音だけど、この何でも無い時間が意外と心地良い。
ああ、でもあんまり布団を留守にすると愛猫が待ちくたびれてしまう。
彼に寂しい思いをさせてはいけない。
そう思いながら残りのココアを飲み干した。
さて、眠れるだろうか。
いやきっと、眠れる気がするよ。
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