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8月25日(水)イベントレポート【後編】

みなさん、こんにちは!
私たち一般社団法人うごく街は、8月25日(水)『オンライン関係人口創出プロジェクト/山梨県編 〜これからの働き方、暮らし方〜』と題したイベントを、Work Design LabInnovation space DEJIMAと共催でオンライン開催しました。

前編で山梨が今、二拠点居住先として熱い、ということについてレポートしてきましたが、後編では「これからの働き方、暮らし方 〜山梨と考えるポストコロナ時代の二拠点居住とモビリティの未来〜」と題してこれからの私たちの生き方についてパネルディスカッションで深堀をしていく様子をレポートしていきます。

パネルディスカッションに登壇したのは、前編に続き、山梨県二拠点居住推進センター 相川和茂さん(写真:右下)、伊藤忠インタラクティブ 三輪宗久さん(左下)、一般社団法人うごく街 今井武さん(右上)、そしてファシリテーターWord Design Lab 石川貴志さん(左上)が務めてくださいました。

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石川:今日のテーマは「働き方、暮らし方」、そして現場は「山梨」ということで、これらを組み合わせながらパネルディスカッションにて議論を深めていきたいと思います。その前に、パネラーがそれぞれどんなことをしているのか簡単に自己紹介をしていきましょう。

私は、一般社団法人Work Design Labの代表をしています。今日は「暮らし方」もテーマに入っていますので家族の紹介をすると、私自身、家族を連れて地域に良くお邪魔しています。共働きの妻と子ども3人と、5人暮らしを都内でしています。

働き方に関しては、「複業」という形で、首都圏で働きながら会社の外の活動をしています。具体的には、社団法人の代表をやりながら会社員の肩書きも持ち、その他にも株式会社の代表や役員を行っているという形ですね。

Work Design Labは現在、140名メンバーが所属する複業ワーカーで構成される団体で、北は稚内から南は那覇まで100ほどのプロジェクトを手掛けています。「イキイキと働く大人で溢れる社会、そんな大人を見て子どもが未来に夢を描く社会を創りたい」というビジョンを掲げて、2013年から活動しています。

私も、地域にプロジェクトができると頻繁に行くようになるので、二拠点居住やワーケーションの実験をしているのですが、地域に私ばっかり行っていると、家族からすると「パパ、いないじゃん」となってしまいます。ですので、2015年位から出張を家族旅行に変えて行けないかと考え、出張先に子どもを連れていきながら地方にお邪魔しています。

これから働き方・暮らし方、コロナの中で大きく変わり、二拠点居住も視野に入れている方が今日ご参加みなさんの中でも増えているのではないかと思います。後半、この辺りをディスカッション深めていきましょう。

今井:今日はたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございます!簡単に自己紹介をさせていただくと、私はHondaでカーナビゲーションの開発・普及に従事し、コネクティッドの分野を指揮してきました。Hondaを退職後、2020年に一般社団法人うごく街を設立したのですが、メンバーは皆、パラレルワークで「これからの生き方はどうあると面白いか」という議論を続ける中で、いろんなメンバーが加わって、二拠点居住したいよね、という流れで出来上がった一般社団法人です。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ヨーロッパのクラインガルテンやロシアのダーチャのような、週末には自然に囲まれて暮らすあり方が、日本でも流行るのではないか、それには南アルプスが良い、とこの後登場する三輪さんに話の中で教えてもらってからのご縁になります。ここをベースにして新しい暮らし方をしていこう、と始まったのがうごく街です。

三輪:伊藤忠インタラクティブの三輪と申します。越境というところでは、今回主催のInnovation space DEJIMAのメンバーとしても活動していて、地方自治体とプロジェクトをさせていただいています。伊藤忠インタラクティブとしては事業創出やサービス開発、ブランディングをやっていますが、うごく街のメンバーとしても活動しています。

私の父方の祖母が南アルプスの出身で、学生の頃から休眠農地や古民家といった休眠資産をどうしようかということが身近だったんですが、10年程前から今日の話でいうと、二地域居住をしていたと言えると思います。週末に南アルプスに行って、畑や田んぼをやりながら、周りの遊びの得意な仲間たちと共に、子供たちの林間学校を誘致したり農業イベント、キャンプイベントを続けてきました。そんな中、世の中の動きとしても、働き方・暮らし方が変わっている中で、うごく街としてもご一緒するようになりました。

石川:ありがとうございます。では冒頭プレゼンテーションをいただいた山梨県の相川さん、うごく街の今井さん、伊藤忠インタラクティブの三輪さん、私進行という形でこの後進めさせていただきますが、はじめにうごく街が南アルプスを現場に、実際始めたこと、これから始められようとしていること、ご紹介いただけますか。

今井:はい、ありがとうございます。まず、南アルプス市をご存知の方、または行ったことある方、どれくらいいらっしゃいますか? 僕は元々南アルプス天然水くらいしか知らなかったのですが、三輪さんに誘われて南アルプスを訪れて大好きになりました。

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日本で10箇所しかないユネスコパークの一つに認定されていて、私たちのフィールドとなる棚田は、富士山と甲府盆地をのぞむ、NHKの小さな旅でも紹介された石積みの綺麗な場所です。でもこんなに綺麗な棚田ですが、高齢化が進んでいて後継者不足が深刻です。歴史文化豊かな棚田を残していくことが大事だと思っています。

それから、どんなアクテビティを考えていくかというと、『豊かな自然とモビリティで、持続可能な新しい働き方や暮らしが実現』できるこんな街を作っていきたいと考えています。

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場所は、甲府盆地の西側に位置していて、南アルプスエコパークのすぐ下の地域、星空や自然がとても美しい場所です。北伊奈ヶ湖やエコパークでネイチャーアクティビティも色々できる場所です。それから、石積みの棚田で本格的な農業体験をしていただけます。土地もよく、いい野菜や果物が採れる場所です。

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この大自然の中でのワーケーションをやっていきます。もう一つはモビリティ文脈ですが、この地に最適なモビリティというのは軽トラックなんですね。軽トラをベースに、荷台のサイズが決まっているので、昼間は田畑用に使ったりキッチンカーとして活用したら、夜はソケットを変えて、ナイトクルーズやバーになったり、と昼間だけでなく夜も楽しめるアクティビティをモビリティで創出していきます。大学とのワークショップも企画しています。

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そして最後に、三輪さんの由緒ある古民家をうごく街の拠点としながら、地域の文化的拠点にしていきたいという思いがあるので、会員メンバーと共に古民家の再生も手掛けていきたいと考えています。まとめると、大自然の中で休眠資産を価値化して、持続可能で『新しい働き方や暮らし』の実現を目指していきます。メンバーが持つ様々な専門性とネットワークで、地域の人たちと一緒になって様々なアイディアで「関係人口」を増やしつつ、新サービスを創造していく「プロセスエンターテイメント」事業を目指していこう、としています。

石川:ありがとうございます。山梨を現場にプロセスをエンタメしていくというところを深堀していきたいのですが、2つありまして、棚田を既に借りてアクティビティを始めていこうという話でしたが、地域に入って棚田を借りるって大変なことだと思います。どういう風に棚田を借りたんですか?

三輪:私が10年くらい活動する中で、地域の方々とネットワークが人伝で広がっていって、地元の方から空いている田んぼがあるよ、と紹介してもらったのがきっかけです。上市之瀬(石積み)の棚田を見て、一緒にやりたい、という流れになりましたが、いきなり行って借りられるものでもないので、一度、上市之瀬に住んでいる農家の方に借りていただきました。実際にこの方は、田んぼ・畑の面倒も見てくださっているんですが、地元の方々と一緒にやるという形をとって借りています。田畑はすごく手入れが大変で、東京の人がそこをやってくるのであれば、使ってくれていい、というのが地元の方の考えで、不動産屋に賃貸物件として出ている、ということでは全然ないんですね。地元の方とのつながりの中で、「この棚田が今、担い手がおらず空いてしまっている」というようなことを教えていただいているんです。

今井:この棚田を守りたい、という気持ちが農家の方々にあるんですよね。その農家の方々に、本音で飛び込んでいって、「この人たちなら借してあげげよう、でもメンテナンスはやっていってね」という人間関係が作れることが大事ですね。

石川:地元の方と現場を一緒につくっていく、というやり方で取り組んでいらっしゃるのですね。もう1つ。暮らし方・働き方を自分で作っていくことに関心ある方が周りで増えてきている印象なんですが、うごく街の10名程のメンバーもパラレルワーカーとして関わられてらっしゃいますが、それぞれ、どういうモチベーションを持っているんでしょうか?

今井:この質問は五十嵐さんに答えてもらうのがいいかもしれないですね。

五十嵐(総合モデレーター):Innovation space DEJIMAとしてもうごく街に関わらせてもらっていますが、DEJIMAの出島を作りたいというか、都市部のオープンイノベーションのムーブメントを地域に広げていきたいなと考えていたんですね。というのは、新規事業開発のエコシステムに携わっている中で、地域課題は課題解像度が高く、もっと触れるチャンスを作っていかないといけないと感じていたんです。

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また個人的な視点でも、地域コミュニティに触れると本質的に人間に戻れるというか、人間としての基礎的パフォーマンスが上がるって感じるんですよね。

石川:なるほど、人間としての基礎的パフォーマンスが上がる、というのはとても分かります。そして、たまたまきっかけがあって、南アルプスからこんな事例が始まろうとしているんですが、相川さんに伺いたいのは、こうした事例が生まれたことを山梨県としてどう見られていらっしゃいますか?

相川:最初、うごく街から問合せをもらった時、なんだろう?という感じでした。山梨の中でも南アルプスは最初に思い浮かぶ場所ではないのですが、話を伺う中で、上市之瀬の棚田をフィールドにされるというなかなか珍しいところに目をつけられて面白いと感じました。また、モビリティとして、周辺の場所では軽トラは地元の足なんですが、高齢化も進んでいるので、使える軽トラが増えていく。そんな中で、ソケットをつくって軽トラでアクティビティを生み出していく、という発想も新しいと感じました。大学と一緒に若い力を取り入れるのもいいですね。今後、県の農政部などにもつないでいきたいな、と思っているところです。

石川:私もいろんな地域に入って思うのが、行政の方がつないでくださると事業を前に進める上でいい事例づくりにつながるという実感があります。Work Design Labとしても、うごく街と今後ご一緒できるといいなと感じています。

パネルの時間が30分と短いので、あっという間に終わってしまうのですが、最後にこれから「働く」や「暮らす」、がこんな風に変化していくだろう、またはこんな風になっていくといいな、という展望を今井さん・三輪さんに伺っていいでしょうか。

今井:やっぱり、楽しく、豊かに、自分らしく生きたいですよね。自然に興味がある人、社会課題の解決に興味がある人、それぞれだと思いますが、私も震災時の取り組みをやってきたりと、世の中のためにどう自分を活かせるか、自分のためにどう行動するか、そういう思いを持っているので、非常に自分らしいテーマだなと感じています。あと、移住はやはりハードルが高いですが、・・・我々は「携住」という言葉で呼んでいるんですが、そういう意味では地の利も大事だなと感じています。

三輪:観光や遊びで地域や地方に行く、と言っていたものから、「暮らし方・働き方」といったように日常にこれらが近づいている、とひしひし感じています。プロセスエンターテイメントと言っているのも、目的地で、というより、行く前の準備や、向かっている最中からどんどん楽しくなっている、というのがポイントかなと思っています。ありがとうございました。

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パネルディスカッションの後は、ブレイクアウトルームに分かれて参加者・パネラーを交えてディスカッションを行い、うごく街コミュニティのメンバーが繋がり合い、相川さんのお話しやパネルの感想、山梨でチャレンジしたいことなどを語り合い、各グループ時間が足りない程の盛り上がりでした。

最後に、予定時刻を大幅に超えての質応答が続き、大盛況にて終わった『オンライン関係人口創出プロジェクト/山梨県編 〜これからの働き方、暮らし方〜』イベント。是非次回以降のイベントでは、オンラインではなくリアルで、コミュニティの皆様、また新しく出会える皆様とお会いできますよう、うごく街一同願っています。

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