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2023-24シーズン 振り返り 個人編その4 坂本聖芽


・2023-24シーズンはその前のシーズン程、彼を見る時間が長くなかった。
正直に言うと、ベンチにいる彼に注目する程好きなわけではない私は、プレイタイムに比例して彼を見る機会が減った。
そんな坂本君を思い浮かべてみると、表情は必ず笑顔しか浮かんでこない。

・前年は怪我人が多発した事で、坂本に出番が回ってきて、それもかなりの試合をスターターとしてPGを任される事になった。
そのチャンスを掴んでステップアップした坂本は、CSでもスタメンを務めて、ブレイクと言ってもいいシーズンを過ごした。
だからこそ、齋藤、伊藤との3人のPG争いは、今シーズンの注目ポイントの1つだった。
さらに成長した坂本が、先輩2人に追いつくのではないか。

・しかし、期待通りにはいかなかった。いいプレイは随所で見せるし、ディフェンスのアピールは十分に出来ていたが、
課題はオフェンスにある。
アウトサイドシュートが得意ではない彼に対しては、ディフェンスがかなり離れて守るようになっていた。
これは伊藤も同じなのだが、これによって、得意のドライブの威力が半減した。明らかにディフェンスのいいチームに対して攻めきれないケースが増えた。

・この課題を克服できないままシーズンは進み、プレイタイムはどんどん少なくなっていった。
チームにとって新たな記録を作る素晴らしいシーズンに、個人としては、ただただ悔しい気持ちしかなかったに違いない。
伊藤がチームを去る決断をしたように、坂本もまた重い荷物を背負うようなシーズンだった。
フランチャイズプレイヤーとして未来のスター候補には、挫折とも言える。

・しかし、彼の表情を見ると、悔しさややるせなさ、不満や暗さがどこにもない。
これは、改めて考えると凄い事なのではないかと思うようになった。
負の感情を感じていないはずがない。競争の世界で生きているアスリートだから尚更だ。
それでも常に明るさ全開の表情で、ベンチで声を出す。コートに立った時は、全力で走る。
ベテラン選手であれば、そんな感情の処理の仕方はすでに習得済みであろう。
しかしまだ若い彼が、すでにそれを実践していて、ポジティブな姿勢を貫いている。

・それが意味するところはただ一つ。悔しさは全て練習にぶつけているという事だろう。すでにオフシーズンに入り、ワークアウトをしているが、並々ならぬ想いで取り組んでいるに違いない。
外に出さない負の感情は、全て練習の燃料に変換しているはず。

・来シーズンは勝負の年になる。PG争いは熾烈で、SGはさらに充実して、プレイメイクができるハンドラーが増えた。
ポジションを勝ち取るために、闘志を心の内にたぎらせて戦う彼が、どんな笑顔を見せるのか、プレイと同様に注目したい。

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