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2023-24シーズン 振り返り 個人編その3 ジョシュア・スミス


・プロスポーツ選手にはハッキリと序列がある。
チームのエース、スターティングメンバー、セカンドユニット、ロスター枠の獲得を目指す者。
より正確に言うと、プロスポーツではプレイタイムや役割などでファンに序列がハッキリと示される。
今シーズンのスミスは緊急補強でゼロからスタートして、その序列を覆した。
他の選手の怪我が要因であることは事実だが、明らかに自らの力でそのチャンスを掴んだ。

・開幕直前にチームの大黒柱であるエサトンが怪我で離脱。動揺が広がる中、クラブのリリースは衝撃的だった。
ジョシュア・スミス獲得。
正直なところ目を疑った。ビザの関係で即座に契約できる選手が他にいなかったのだろうと考えた。
富山時代のスミスは何度も見ていたが、プレイスタイルがドルフィンズとはあまりに異質だった。

・スミスはまずオフェンスリバウンドで存在感を示した。体の大きさを生かしたポジション取りでリバウンドを量産。オフェンスリバウンドでポゼッションを増やしたいコンセプトのデニスHCに大きなアピールができた。
そして、スクリーナーとしても優秀であると示した。体の幅が大きな壁を作り、ハンドラーのマークを引き剥がした。
ディフェンス面ではフットワークの弱点があったが、プレイタイムを短時間にして、ゾーンディフェンスを多用して弱点をカバーした。
そして攻守の切り替えのランは、とにかく頑張っていた。

・その頑張りの1つ。シーズンが進むにつれて、スミスの体型が少しずつ締まっていったように見えた。
おそらく減量に取り組んでいたのだろう。もしかしたら食事制限もあったのか。トレーニングに励んだのか、そんな妄想をすると、ますますスミスへの愛着が増す。

・プレイ以外でのスミスの魅力は、何と言ってもファンサービスが過剰な点。
常に会場のファンに愛想を振りまき、エンターテイナーとして振る舞う。スミスのファンは日に日に増えていった。面白い表情をしたスミスの写真がSNS上を賑わせていた。

・スミスをシーズン通して見て気づいた事がある。ゴール下でシュートを打つときなど、ディフェンスの手や体がバチバチに当たっていても、けっこうファウル
にならないケースが多い。
特に日本人選手がディフェンスに来た時にそれが起きる。スミスが頑丈過ぎて身体がぐらつかない事が原因かもしれない。
シーズン前半はかなり審判の判定にイライラしていた。
Bリーグでガタイがいい外国籍センターがよく怒っているのは、これが1つの要因ではないだろうか。
それでもスミスは後半にはかなり感情をコントロールしていた。審判に抗議してディフェンスに戻るのが遅れて4-5でファストブレイクを決められるシーンがかなり減った。
これもスミスの努力だろう。

・エサトンが復帰すると、ソアレスが手術で離脱。ついでフランクスが負傷離脱。気づけば、外国籍選手でいつもいるのはスミスだった。
デニスHCがチーム作りに苦労したとコメントしていたが、スミスもそれ以上に苦労した事は想像に難くない。

・CSのロスターをどうするのか。妄想になるが、おそらくフランクスは直前にプレイできるコンディションまで回復していた。そのタイミングがギリギリであり、なおかつスミスのオフェンスリバウンドの破壊力が、首脳陣の頭を悩ませたことだろう。
シーズン通してほぼ全試合戦い抜き、最後にCSのロスターを勝ち取った。

今シーズンの地区優勝とセミファイナル進出に大きく貢献し、最後までコートに立ったその偉大な努力には脱帽するしかない。

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