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『よくわかる日本語学』読んでます

タイトルの書籍はわりと早く手にしたかったので、私費で購入したという話を以前ここでも書きましたが、その後「ゲットしたぜへへへ~」という内容のことをとあるSNSに書きましたら、同い年なのにもはやすさまじい風格のある畏友まつーらとしおさんが、「レビューをお前も書けください」とすさまじい無茶ぶりをしてきたのでこの記事を書いてみようとしているわけですが…

いや、レビューなんて恐れ多いっす。恐れ多いどころか、私の身に余る話で…とてもではないですが内容の紹介をできるような学識は持ち合わせてないので、勉強させていただいております以外の感想がないというのが正直なところではあるのですが。

とはいえ、そんな自分にも普段やっていることと関連する項目はあるだろうというのはそれはその通りでして、大枠では第3章「形態論」、第4章「語彙論」、第5章「統語論・文の意味論」あたりは真っ先に読みたくなるところではあります。実際長崎大の授業でもそのあたりの内容を担当しているということはありますのでね…(そうたい…自分、秋に授業ばせんばとやった…)

さらに具体的に自分が真っ先に読んだところだと、第3章「動詞の活用」、第5章1「統語論概説」、同11「取り立て」、同17「ムード・モダリティ」、同18「終助詞と文末イントネーション」、同19「疑問文」あたりになります。ちょうどトルコ語やアゼルバイジャン語の同じあたりが自分の長年の研究課題ということもありましたので。で、ちょうど第5章1「統語論概説」を再度めくって読み返していましたら、脚注1で界隈ではよく知られている中村明裕さんの「頭が赤い魚を食べる猫」のことが紹介されていて、おおすごい!中村さんよかったですね(って、以前何度かお目にかかったことがある程度しか交流はないのですが)と思ったのでありました。

そう。統語論って面白い分野なんですよね…!

同書では学校教育の国語の授業で習う「文節」という用語にも言及していて、かつ文節だけを用いた統語構造だけでは説明が難しい現象もあるということが紹介されていて、そちら(つまり、国語教育方面とでもいうべきでしょうか)に関心がある読者にも配慮しているのだろうなという感想を持ちました。

また第5章の17-19は項目こそ別々に立てられていますが、吉村個人としてはこの3項目「ムード・モダリティ」「終助詞と文末イントネーション」、「疑問文」というのはまさに連続体となっているというか、自分の関心ごとドンピシャの領域なので、トピックとして要点がまとめられているのは大変ありがたいです。なんせ自分の向こう3年の研究課題、こちらですからね…

とりわけ日本語の疑問の助詞といわれる「か」というのはトルコ語やアゼルバイジャン語のmi, mü, mı, muと対照してみるとどうか、ということをアンカラにいる間自分のトピックにしていましたので、日本語についてのこのあたりのことを簡潔に説明してくださっていることがありがたいというのでなければいったい何でありましょうか!

と、無理やり疑問文の形にしてみました。最後の文は反語解釈の疑問文ということになるのだろうと思いますが、こういった話し手から聞き手に対する「質問」の機能をもっているとは言いにくい周辺的な疑問文のことについても同書該当セクションで言及があります。ん~、俺得すぎる…

そんなわけでいわゆる「文法」の話がお好きな方は、なんといっても同書の第3章から第5章までをまずお読みになるとよいのかなあと思います。最初から順に読むというのもよい(し、日本語学を専攻するのなら全内容必須の知識なの)でしょうが、自分のような関心領域ピンポイントのテーマから先に読むという人たちもきっと一定数いらっしゃるでしょう。

で、面白いトピックだなと思ったら、注釈部分などで紹介されている基本文献にあたって、さらに理解を深めていくという手順を踏むということになるかと思います。いずれにしましてもスコープが広い日本語学の入門書として、自分の授業ではぜひ受講者に勧めたい一冊ということを再度書いておこうと思います。

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