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昨晩のレトロニムのネタと、エスペラントの接頭辞mal-の話

昨日のM-1グランプリで、「ダイヤモンド」というコンビ(恥ずかしいことに、昨日はじめてこのコンビのことを知りました。大阪にいた頃はこの辺の芸人さん事情にはもう少し敏感でしたが、ワイも齢を重ねましたかのう)の漫才のネタは個人的にすごく面白いところをついてきたなと思いました。

残念ながら成績としては振るわなかったみたいですが、SNSを見る限りではほかの言語学関係者にもかなり刺さっていたように思います。来年はがんばってほしいコンビということで、覚えておきたいところです。

さて、レトロニムと関係があるといえるかどうかやや自信のないところではあるのですが、彼らの漫才をぼーっと聞きながら、エスペラントの接頭辞のことを考えていました(まじめか)。mal-という接頭辞がありまして、ある語の正反対の意味を与えるということだそうですね。ニューエクエスペラントでもわりと早い段階でこの接頭辞が紹介されているのですが、

sata お腹が満たされた → malsata 空腹の、おなかがすいた
ami 愛する → malami 憎む
bona よい → malbona 悪い
facila やさしい → malfacila 難しい

なんでこの意味関係で決まったのだろうな?と最初見たときにふと思った…ということを思い出しました。逆の関係、たとえば「おなかがすいた」に接頭辞をつけて「満たされた」にはしなかったのに理由があるのか?あるいは、なにか法則があるのか?とか。別の言語(ロマンス系言語とか)の語の意味からの影響があるのかどうか。

上の例を見ていると、ポジティブな意味が無標になっていて、mal-という接頭辞を付加して有標にすることでネガティブな意味にするという傾向があるのかな、と思ったのですが、

dekstra 右 → maldekstra
longa 長い → mallonga 短い
proksima 近い → malproksima 遠い

こういった例もあるみたいで、一概にポジティブとネガティブな意味の対立というわけでもないのか…というか、そもそもポジティブとネガティブの判断基準ってどうやって定めるんだろうな?誰かすでにもうこの派生関係の研究ってやってるんだろうか…やってるんだろうな多分な…そういえばアンカラ大学に昔留学したときに、言語学科の先生が語彙意味論の授業でそんな内容の話に言及していたようないなかったような…

みたいなことを考えているうちに、M-1は終わっていました。
ダイヤモンド、来年はがんばってほしいです。なお、その肝心のエスペラントの勉強はサボってしまいました。今日から本気出します。

今日はこんな感じで、手短に書き終えることにします(手を抜いたわけではない)。年の瀬ですが現実世界のほうでいろいろやるべき仕事はありまして、雑文書きに時間を割きすぎるのはよくない…よくないとは知りつつも、本家アドヴェントカレンダーの力感あふれる文章を拝読するにつけ、さすが先生たちすげーな、と感心する以外にありません…自分、マジリスペクトっす。先生たち、パネェっす。

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