バックオフィスの仕組み作りにベンチャー企業はどう向き合うのか? 実例をご紹介
ベンチャー企業において、バックオフィスの仕組み作りは後回しにされてしまいがちです。またバックオフィス経験者は、ベンチャー企業に就職せず大企業に応募する傾向にあります。そのため、ベンチャー企業では経験者がバックオフィスを担当するのではなく営業やディレクターが兼任または専門外として、担当する場合があります。
その結果、バックオフィスを整えず後回しにされたまま企業が成長し、メンバー数や取引額などが増えても、なんとなくそのままの状態で継続してしまっている企業が多くあります。しかし、ベンチャー企業においても、バックオフィスの仕組み作りは重要です。
本記事では、ベンチャー企業におけるバックオフィスとの向き合い方を、実際にバックオフィス仕組み作りが不十分だった際に発生した事例を交えて紹介していきます。
ベンチャーバックオフィスの構築事例(経理)
2012年に某企業(ここではA社とする)で発生した、不正会計事例について紹介します。
概要としては、A社元社員Bが、元同僚の外部者Cなどと共謀し、実際は業務を行なっていない業者にあたかも業務を行ってもらったかのように発注を行なっていました。BとCなどは、この架空請求に対する会社からの支払いを分け合い、複数回に渡り多額の金銭を騙し取った問題です。
この事例では、国税局が行った税務調査により不正が発覚しました。
社内で不正が発見できなかった主な理由として、A社のバックオフィスが十全に機能しておらず、架空請求を社内で発見することができる仕組みが整っていなかったことが挙げられます。(出典:【資料】「企業不祥事、企業不正事例 10事案」)
このような事態の発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合も早期発見が行えるよう、バックオフィスの仕組み作りは重要であると言えるでしょう。今回は、急成長中の某企業の弊社支援事例をご紹介させて頂きます。
事象①:社内で不正が発生したため、再発防止できる仕組みを整える必要性があった
不正会計や横領が発生した場合、悪いのはそれを行った社員・従業員です。
しかし、社員・従業員の不正会計や横領が発生しにくく、かつ発生した際に早期発見することが可能なチェックシステムを用意しておくことが大切です。
人間誰しも、魔が差して不正会計や横領に手を染めてしまう可能性はあります。そのため、経営者の責任として、不正会計や横領の発生を抑制できるシステムを整えることが、未然に防ぐための重要な要素なのです。
不正会計や横領の発生を抑制できる社内システムとしては、バックオフィスの整備が挙げられます。バックオフィスが正しく機能していることにより、自社のお金の流れを詳細に認識することができるのです。バックオフィスの体制が十全に整えられている企業では、自社のお金の流れが明確化されているため、早期発覚する可能性が高く、不正会計や横領は起こりにくくなります。
例えば、以下のような環境では不正経理や横領が発生するリスクは高くなります。
現金の取り扱いが発生した場合でも、現金出納帳などの帳簿作成を実施していないため、現在の詳細な現金残高の把握ができない。
定期的な銀行の預金残高や債券債務の残高確認を実施していない。
通帳と印鑑の管理者が単独の人間である。
会計伝票に領収書や請求書などを添付していない場合も決裁が可能である。
これらを踏まえて、不正や横領の発生を抑制するための解決策について、社内システムの面から具体的な方策を解説していきます。
解決策1:現預金はもちろん債権債務の残高確認をする
銀行の預金残高や債券債務の残高確認の定期的な実施が挙げられます。
残高の定期的な確認とともに、現金の取り扱いをたとえ役員であっても例外なく単独で行うことのできないシステムの整備が必要です。
通帳残高に関して、会計責任者を含んだ複数人による毎月末の通帳残高と帳簿残高の照らし合わせの実施により、不正会計や横領の抑制を図ります。
解決策2:損益計算書の科目に取引先を紐づけて不透明な仕訳から、より内容を把握できるようにする
決裁の際の会計伝票に、領収書や請求書、納品書などが添付されていない状態でも手続きが可能だと、損益計算書の科目に取引先が紐づかないため、支出内訳が不透明となります。
損益計算書は、会社の「支出の内訳」「売上額」「利益」を読み取ることができる大切な決算書類です。
ここに記載される内訳が不透明な状態でも決裁可能では、架空請求が起こりやすくなります。
そのため、決済の際は、領収書や請求書、納品書などが添付されている会計伝票の提出を必須とし、損益計算書で内容把握をできるような仕組みの整備を実施しました。
解決策3:給与を含む経費の増減分析を作成する
先述した内容にも言えますが、経理において、不正会計や横領を未然に防止する、発生した場合に早期発見するためには、会社のお金の流れを明確化しておくことが最も確実な方法です。
会社のお金の流れを明確化する上で、有効な手法が経費の増減分析を作成することです。こちらを作成する際は、会社全体のお金の流れを追う必要があるため、社員や従業員への給与も含めた全体の分析を実施することが大切です。
給与を含む経費の増減に関する分析を実施し、明確化することにより会社全体のお金の流れを把握することで、不正会計や横領の抑制を図ります。
解決策まとめ
解決策2と3で実施される内容は、通常、税務ではなく管理会計で実施される業務に近い内容です。そのため、税理士がこの範囲に対応していないことが多く、経理関係を税理士頼りになってしまっていると、不正な処理に気づきにくいです。
解決策1〜3を実施して、代表者様への報告を行うことにより、不正会計や横領を行うことのできない、または発生した場合でも早期発見が可能となる仕組みの構築を実施しました。
ufuを利用したお客様の声
正直な話、売上は順調に上がっていたためバックオフィスを特に意識しておらず、事業において問題を感じていませんでした。
しかし、社員が業務委託費として知人へ発注し、架空の経費計上を行なっていたことが発覚しました。
取引先などの詳細データを把握していなかったため、この不正に気付くのに時間を要しました。
このことがきっかけとなり、その他の明細などの情報を詳細にチェックする必要性を感じました。
しかし、問題を感じていなかったバックオフィスの体制は、根本的な業務を行う上での仕組みづくりが全く出来ていなかったことがわかり、一からそのサポートを行えるサービスを探していました。
なぜ弊社に依頼していただいたのか?
私自身が営業出身ということもあり、お金関係は税理士の先生と経理未経験の社員に、日々の業務の片手間で任せていました。
今回の出来事を機に、専任として経理担当者の採用が急務と考え、税理士やベテランの経理マンなどの幅広い方と面接を行いました。しかし、「ベンチャー企業の経理という特殊な環境に対応できるスキルを有していて、バックオフィスのシステムをゼロから組み立てることができる人材」がなかなか見つからず、最初の採用の壁にぶちあたりました。
面接させていただいた方々はどなたも、深いところまで経理知識を持っているように感じましたが、ゼロからバックオフィスのシステムを組み立てられるとなると、別の知識も必要になると感じました
そんな中、ufuさんサービスを紹介で知る機会があり、アウトソーシングによって外部の専門家の協力を得ながらシステムを組み立てていく方が、コストも抑えられ、確実性も高いと感じ、お願いするに至りました。
実際にお願いさせていただいた感想としては、ufuさんのリーダーシップに終始助けていただきました。
解決策として初めに提案いただいた部分の構築のみだけでなく、そこから派生して生じる業務についても積極的な提案をいただくことができました。
例えば、入金確認や請求書の送付等の経理業務において、現行のフローでは、代表の私を介して手続きをおこなっていたため、その分時間を要していました。しかし、事業部と連携を取ることによって解決可能なフローの構築を提案していただくことで、その問題点の解消を図ることができたのです。
そのほかにも、会社の現状を常にヒアリングしてくれるため、突発的に発生する問題にも臨機応変に対応策を検討してくださったことは心強いと感じました。
弊社注釈:お話を聞くと、こちらは氷山の一角に過ぎず、その他にも様々な問題点があることが分かりました。そのため、最初のご相談内容以外の気づいてらっしゃらなかった部分も含めた問題の全体像を、レポートとしてまとめさせていただきました。
負担を減らすために外部委託を行ったはずが、逆にクライアントの負担が増えてしまうといったことも時には起こり得ます。しかし、弊社サービスについては、ディレクターを中心として、主体性を持って行いますので、その点を満足に感じて頂けてよかったと思っています
ベンチャー特化型バックオフィス支援サービス「Escort Runner」
合同会社ufuでは、ベンチャー企業に特化したバックオフィス・トータル支援サービス「Escort Runner」を提供しています。
「Escort Runner」では、企業の課題や予算に合わせながら、実務経験者による経理や労務のサポートを受けることができます。
「Escort Runner」が行うサポートは以下のような内容です。
オペレーション業務の運用代行
経理・労務人材の採用や既存人員へのオンボーディング支援
知識のみではなく、実務経験のある専門家になんでも相談
専門知識や経験を要する業務全般に対応(システム導入やフローの構築・効率化、社内、士業の問い合わせ対応、スポット業務など)
「Escort Runner」の特徴について紹介します。
一本化された支援サポート窓口
「Escort Runner」では、各分野それぞれに精通した専属のディレクター(マネジメント経験・実務経験5年以上)と、専用のアシスタントチームを組織して支援を行うため、一本化された窓口でコミュニケーションを取ることができます。
また、専属のディレクターが要望のヒヤリングを定期的に行い、お客様が真にサポートを希望していることを明確化し共有し合うことで、支援内容の適宜調整を行います。
専属のディレクターがヒヤリングによって確認した要望を、ディレクターからアシスタントチームに伝達し、要望に即した形でのサービス提供を実行します。お客様と実際にサービスを提供するアシスタントチームの間に専属のディレクターが入ります。そのため、お客様の要望を含めた諸々のコミュニケーションは専属ディレクターのみと行うこととなるため、窓口が複数あることによりコミュニケーションの齟齬などの問題発生を低下させることができます。
会社の優先度の高い課題や予算に応じて都度依頼ができる
貴社のバックオフィス体制の現状を専門人材が調査します。その調査結果から業務の洗い出しを行い、専門家によって企業フェーズにあった、業務の最適化をサポートします。。またその際は、業務の優先度(事業インパクト)や難易度(設計・効率化)を考慮した提案を実施します。
専門人材が実施した調査をまとめたレポートの納品をします。バックオフィス業務における、現在の運用方法や調査結果と初期設計にかかる想定時間や設計後の業務量といった内容が記載されています。
実際に「Escort Runner」の利用を行わなかったとしても、今後の体制構築のための資料として役立てていただくことも可能なレポート内容です。
バックオフィス関連の人件費を最適化することができる
バックオフィス業務は、年度毎のルーティンとして行われる業務と、月毎のルーティンで行われる業務の2つの軸で構成されています。自社のバックオフィス人材として社員採用する場合は、給与額を業務量に応じて変更することはできません。「Escort Runner」では、業務量に応じて人件費を変動させることができます。
「Escort Runner」のサポート内容や特徴について解説しました。
特に、専門人材による貴社の既存のバックオフィス体制の現状や業務内容に関する調査とその結果レポートに関しては、支援内容の提案実施前に無料で行えるサポートです。
現在必要としている業務の洗い出しや、その業務に要する時間の可視化、業務内容の優先度設定など、無料とは思えないほど充実した提案を受けることができます。
Escort Runnerの詳細や問い合わせ希望の方は、こちらを参照ください。