水星にでも旅に出ようか

君は知ってる?いや知らない。

そんなことを言ったことは覚えているけど、そこから先の記憶は断片的。二日酔いで目が覚めた朝はいつだって後悔で溢れている。おぼろげな記憶を辿ると、女の子と2対2で飲んで、二次会に行って飲んで、そのうち2人がいなくなり、僕は残った女の子をタクシーで家まで送ったはず。

猛烈に頭が痛いし、身体が動くことを拒否している。今日の仕事が昼からでよかった。買った覚えのない水を飲んで、死ぬほど不味い煙草に火をつけた。財布も時計もある。

ありがとう、バイバイ、またね。そんな言葉で別れ際に何となくキスをして、頭を撫でてハグをした。なんでかは全然思い出せないし、その子がどんな子だったかも覚えてない。ただ、眼が合って笑ってマスクを外してあげた。スマホを見ると、知らない女の子からラインが来ていた。既読無視してもう一度ベッドに入る。割れるような頭と動かない身体、最悪の火曜日の朝。

 だらだらと準備をして仕事に向かう。iphoneからは聴き慣れた音楽。太陽の光で目がチカチカする。めくるめくミラーボール乗って、水星に旅したいと思いながら、仕事場に向かう。

案の定全く進まない仕事。兎に角水を飲み干して、酒臭い息をマスクで隠して、何とか終わった。まだ頭は痛いけど、少しだけ身体が動くようになった。ラインを返してみようと思う。新宿でも行こうか。健全なデートから始めてみるのも悪くない。


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