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もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって

 クリープハイプのトリビュートアルバムが好きすぎて最近ずっと聴いている。いつまで聴いているのか自分でも分からないけど、とりあえずまだしばらく続きそうな気がする。

 クリープハイプは、好きになってからずっと外せないバンド。大学4年の頃、教育実習で行った学校の担当の先生が、幼馴染がやってるんだよって言って聴かせてくれたのが「左耳」だった。その幼馴染が誰だったのかはちゃんと覚えていないけど、なんか特徴的な声をしてるなって思ったのは覚えている。

 その後はしばらく聴いていなかったけど、何年か経ってからバンド界隈(ロキノン?)で名前を聞くようになった。「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」を好きな生徒がいて、絶対に聴いた方がいいよって言われてじゃあって聴いてみた。始まりの「愛の標識」。それが始まり。思えばあれから今に至るまで、ずっと聞こえているような気がする。

 そんな歌詞がしっくりするほど、一度クリープハイプを聴いたら「クリープハイプ」っていうジャンルが僕の中に住み着いていた。ほんとに自然に。それは悪い意味じゃなくて、ある種の歪みとかノイズみたいなものだと思っている。他にこんな風に感じるバンドはいない。

 僕たちが日々抱えているモヤモヤしたもの、本音と建て前、汚さと美しさ、そして性をそんなもんだよって肯定してくれる。近しいものとして峯田さんを思い出すこともあったけど、感じる激情がより身近なものになったのは僕が歳を取ったからなのかな。若さゆえの○○というよりも、生きていく上での××って考える年齢になってきたのかもしれない。

 そんなクリープハイプのトリビュートアルバムが出て、他のアーティストの人たちがクリープハイプの歌を歌うのを聴いて、尊敬とか音楽に対する思いってのを感じた。仕事は違うけど、他者からの影響を受けて僕たちは日々頑張っている。11組の温かさもプライドも愛情も全部好きだ。そしてそれは 全部音楽のため。愛されなくても当たり前。くそです。そう僕たちも皆。

 汚いものは汚い。僕たちがそんな風に言えたらどんなにいいんだろうか。言えない社会の窓を覗きながら今日も仕事に行く。

 生まれ変わったらこんな声になれたらどんなにいいんだろうか。このアルバムを作る試みが尾崎さんの情念に溢れていて僕らはそれが大好きだ。カバーした方々のことも大好きだし、その方々もクリープハイプが大好きなんだろう。

 意図せずかもしれないけど、この音楽で僕らは繋がっている。そんな音。

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