教師のバトン#3

 教師のバトン。うん、いろいろ意見がでてきてとても面白い。兎に角、イメージだけが先行してて、中身が知られていない職業なんだな。しかし、マイナス面ばっかり取り上げられているのはあんまり良くない気がする。

 そこで今回は、僕の主観で教師の面白いところ、楽しいところとかをつらつらと書いていこうと思います。

 やることがたくさんあるのできついという声がたくさんあるのですが、逆に多くのスキルが身に付きます。とりあえず思いついたもの挙げますね。

 文書作成 

 保護者向け、生徒向け、業者向け、書き分けは大事。正しい日本語、文章の作り方が身に付きます。日本語って型から入ることが多く、日常生活でも特に冠婚葬祭などで役に立ちます。個人的には、日本語って面白いなーって思える機会に出会えると思います。

 PCスキル 

 ワード、エクセル、パワポが中心。本当に使い方がどんどん上達します。読みやすいレイアウト、効率を上げる表計算と数式、効果的なプレゼンテーション資料。最近ではICT教育も積極的に行われるようになってきました。タブレットなど機器を効率的に用いることが出来るようになります。

 教材との出会い

 僕は特に国語科なので、同じ文章を何年かに一度取り扱うのですが、その時によって捉え方が変わります。自分の年齢ともリンクしている。

 例えば、宮本輝さんの「本を積んだ小舟」を高校2年生で扱うのですが、初めて教えたときに私は25歳でした。その時は、作中に出てくるファーブルが31歳だった頃のことを「大人だな」と思っていたんです。つい先日、同じく31歳になってからこの教材を扱いました。すると、ファーブルの気持ちをもっと身近に感じることが出来たんです。100年以上前であっても、30歳を過ぎるってのは何かを決断することが増えるんだなと。

 たくさんの気付きを経て、自分の考えも変わることを教材を通じて知ることが出来る。

 伝える力

 教える=誰かに何かを伝える。学校では教材ですが、日常生活でも誰かに何かを伝えて伝えられて生きています。毎日その機会を「授業」という形で経験することができる。どうすれば伝わるのか、一人の先生と多くの生徒という空間では、伝える技術が格段に上がっていく。もちろん、ある種特殊な状況なのですが、大勢の前でまずはどうすれば概要がちゃんと伝わるのか。基本は全員に伝えたい内容があるわけです。これを大多数が理解することでボトムアップをする。その後に、個別の対応。更なる理解を目指す子には発展的な問いを、定着していない子にはより丁寧に噛み砕いて。見知らぬ他者との出会いの中で、主観を客観的に伝える。このような機会を毎日得ることが出来る。

 誰かに寄り添う経験

 担任は1~3年、部活動は約2年半という期間で、特定の人間のことを考えて、その人の為に全力を尽くす。その人の人生に関わるかもしれないと考えると、責任は軽くない。しかし、その経験は自分自身にも大きく還元されていきます。

 琉球愛歌にある「自分を捨てて誰かの為に何かが出来る」。

 MONGOL800の曲。この歌詞を思い出します。そうするとどうなるか。他者の喜びを自分の事のように感じることが出来る。もちろん、時には悲しみも迷いもあります。決してプラスだけじゃない。だからこそ、がんばれる。「自分を捨てて」とありますが、こうなりすぎるのはもちろんよくない。自分は大切です。でも、誰かの為に何かが出来るようになりたい。そういう人はきっと誰かからも頼りにされるから。

 責任者としての経験

 行事等が中心ですが、一般企業ではプロジェクトみたいなものですね。責任を負って企画運営をすることが大なり小なりあります。その時にどうすれば上手くいくのか考え、他の先生たちと協力して頑張る。会社みたいに、成果や売り上げに関わることがないのですが、逆にそれも良いところかなって。慣習化して部分が多いのは教育界の問題かもしれませんが、僕は逆にそれをもっといい形にアップデートして、皆に示していくのが好きです。

「当たり前は当たり前じゃない」。慣習化の文化が多いからこそ、改革の可能性がある。そうやって、成功したり失敗したり。とても良い経験になってます。自分自身もアップデートされていくのが分かる。それは同僚の声であり、生徒の声であり、保護者の声であり、まだ学校の事を知らない人たちの声である。

 一般企業だとターゲットがかなり絞られると思うんですよね。僕らもある程度そうなんですが、その幅が広い。どこを重視するか。最終的な目的に照らし合わせて考える。めっちゃ頭使います。けど、間違いなくいい仕事。

 そして、その後の掛けられる言葉に凹んだり喜んだり。最近は出来ませんが、終わった後に仲間と、もしくは一人で飲むビールは最高です。

 あれ?良いところたくさんあるじゃん。そうです。教師は良い仕事。間違いない。

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