見出し画像

他人と脳をつないで仕事をする。という話

先日、元同僚の子と久しぶりに食事に行った。

彼女はリゾートウエディング企業である当社にてウエディングプランナーからスタートし、最終的には営業本部にてPMO的な役割を担い、社内にてこれ以上のキャリアを想い描くことができず、誰もが知る日系の某IT企業へ転職した。(受かったのがまずすごい!)
勤続年数は約12年。

転職するとの一報を受けて、人事の責任者として彼女に当社での未来を提示できなかったことは悔やまれたけど、彼女の当時の知識・スキル・やりたいことの掛け算を満たすためには転職が一番いいよなと思ったのも事実。

元々私は会社の枠組みで人を囲い込むことをあまり重要視していなくて、自分自身も何回か転職しているけど過去の勤務先の同僚や取引先の方とは継続的に親交があるタイプなので、一緒に仕事ができなくなるのはさみしいけど快く送り出すスタンス。

その代わり、連絡先を交換して定期的にお互いの近況をアップデートする間柄となった。

「私、MVPを受賞しましたー!」

久々に会って、開口一番の会話。
転職先にて、会員制のエンタメ系プラットフォームにおいてユーザーのロイヤリティ向上・離脱防止をミッションする職務に従事している彼女は早速大活躍していて、なんと定期表彰のタイミングでMVPを取ったそうだ。

まだ転職して1年程度しか経過していないので本当に関心したし、かつての仲間が他社で評価されていることを誇らしくも思った。

しかも、現職のITサービスとは真逆のブライダル業界でタタキ上げの彼女が一体どんなところを評価されてMVPを受賞したのか?

ロジ人材とエモ人材

「私は転職先の企業の中では貴重なエモ人材らしいです!」彼女は笑顔で理由を話してくれた。

前述の通り転職先は誰もが知る日系IT企業である。同僚は東大はおろかハーバードやスタンフォード卒の若者なんかも居て、同じチームで働いているそう。

彼らは頭の回転が異常に早く、プラットフォームのユーザーのアクティビティを数値化し、分析し、課題解決のアクションをロジカルに実行する人たち。

会話をしていても知的好奇心が非常に旺盛で、Why・How・Whatを使用した理詰め形式なので、笑顔で本質にどんどん切り込んでくるそうだ。

そんな彼らでも苦手とする分野がある。それがエモ。すなわち感情や情緒の分野である。

エンタメ系のプラットフォームにおいてユーザーの心理は数値に全て表れているかと言えば、それは否である。

ロジ人材がどんなに数値を分析したところで、ユーザーの喜怒哀楽に基づく行動心理やインサイトまでは理解が及ばないのである。

よって、ユーザーと直接対話をすることで感情・情緒を受け止め、当該プラットフォームのUIUX・コンテンツなどの改善につながるヒントを抽出するエモ人材が必要なのである。

なるほど、この子はエモ人材として採用されたのか。

IT企業においてはロジ人材の比率が高くなることは想像に難くない。

一方でブライダル企業はこれでもかってくらいエモ人材で溢れている。

結婚式そのものが非常に人生の節目となるエモーショナルなイベントであり、新郎新婦の幸せな瞬間を演出することに人生を注いている人たちだから当然なのかも知れないが、もう少し論理的に物事を捉えてくれる人が増えるといいなー・・って思うくらいエモ人材が多いのだ。

ロジ人材から見ると、エモ人材は非常に貴重な存在なのだ。

ってことで見事MVPを受賞した彼女にも悩みがあった。

結局どこまで行っても自分はエモ人材であり、前職と比較しても強みやできることが変わっておらずこのままでいいのか?と思っているとのこと。

他人と脳をつないで仕事をする時代

その悩みに対して私は回答した。

このままエモで勝負していいんですよ。

その代わり、ただ漠然と頑張るのではなく自分がエモ人材であることを良く理解し、ロジの分野では自分よりはるかに優秀な人たちと協働した実績を沢山作ることである。

一人の頭脳で何かを成し遂げようとしても限界がある。

インターネットが普及し、AIをはじめとしたテクノロジーが飛躍的に発達し、デバイスを通じて誰もがつながることが出来るこの時代。

自分にない能力・知識は他人の脳みそとつながることでいくらでも補完できるし、むしろ複数の脳を掛け合わせることでイノベーションが加速する。

しかし、脳みそにもつなげ方ってものがあり、いつでも・誰とでも容易につながることが可能な訳ではない。

他人の脳とつながれるAPIのようなインターフェイスを構築する必要がある。

脳のAPIは一朝一夕で出来るものではなくて、多様な人との直接的でハードな関わり合いを続けることでゆっくりと形成されていく。

それは人的なコネクションであったり、多様な価値観を許容できる感性であったり、プロジェクトマネジメント力であったりする。

私はこの考え方を非常に重要視していて、誰かが困っていたときに自身がハブとなり自分の知人同士をコネクトすることで解決してきた。

彼女には、自身がエモ人材であることを認識した上で脳のAPIを形成するために沢山のロジ人材に囲まれて自分の武器を磨き上げてほしいと切に願っている。

以上、他人の脳をつないで仕事をする時代という話でした。

<採用と組織づくりに関するご相談受付中>
事業戦略を実現するための・人と組織づくりをしたい方からのご相談受付中です!
ビジネスサイドの知識・スキルセットも一通り有していますので、事業相談の壁打ち役も大歓迎です!

Xをフォローしていただいた上で、DMにてご連絡ください!

よろしくお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?