ゴッズオウンカントリー

『ゴッズ・オウン・カントリー』出会えて、よかった… 公開中

“神の恵みの地”の牧場で働く、自分本位でしか交われなかった青年が
愛に出会い、殻をぶち破る…つまり最高であります。

原題:God's Own Country ★★★★★

サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭で絶賛!

自分がどう生きるのか、自分自身で決める前に、環境的な要因からその道を決められてしまった青年ジョニーが主人公。

ヨークシャー地方の広大な牧場をほぼ一人で管理しています。老いた祖母、脳梗塞(?)の父がいる彼はゲイ

同級生はたいてい大学進学のために村を出ております。でも、彼にはここしかないのです。

その鬱屈した気持ち、どこにもぶつけられない怒りや諦めをかかえながらの孤独な労働の日々を、酒と行きずりのセックスで紛らわしています。

そんな中でルーマニアからの季節労働者ゲオルゲ(アレック・セカレアヌ)が羊の出産シーズンの手伝いにやってきます。


美しいけれど寂しい…“神の恵みの地”は
まるで彼の青白い背中そのもの

自分本位でしか交われなかったジョニーが出会ったゲオルゲは、年上の優しさと、牧場での経験も豊かな、落ち着いた男性でした。
ジョニーは始めこそ「ジプシー」と呼び、突き放しますが、彼の優しさにときめきを隠せません。

個人的なことをいえば、私はいわば、ああした場所から逃げてきて今の生活を送っているので、ずーっとあの場にいる鬱屈は理解できなくはありません(上っ面だけかもしれませんが)。

そんな日々において、本当の愛に出会えてよかった。

これはもしかして、何度か見るたびに余計沁みていくタイプの映画であろうと思います。『君の名前で僕を呼んで』よりも、好きかも。

監督のフランシス・リー自身も、ヨークシャー出身でこうした農場で育ってきたのだそうです。

主演のジョシュ・オコナーには英国私デミー賞をあげたいところ。『ライオット・クラブ』とはまるで別人ですね。『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』にも出演していたんですね。

彼の祖母役は『ハリー・ポッター』シリーズのマダム・ポンフリーや、『ブリジット・ジョーンズの日記』のブリジットのママ役で知られるジェマ・ジョーンズ

父親役は『ハリー・ポッターと賢者の石』のクィレル先生役だったイアン・ハート。最近もどこかで見たぞ、と思ったら、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーの『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』でした。

象徴的なツバ吐き、羊や牛の出産…
リアルな交わり、荒涼とした地…
命が生まれる中で愛が生まれていく様は大変忘れがたいものでした。


しっかし、確かに日本では無名キャストとはいえ、1年もタイムラグがあっての本格上陸。「のむコレ」がなかったら配信・DVDスルーでしょうね。スターチャンネルあたりでやっていたのかも。

見る目ないな(ボソッ)

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