Netflix「マニアック」ポップで不思議な異世界。大丈夫、きっと変われる。 配信中
↑ちなみに彼女、『ラ・ラ・ランド』『クレイジー・リッチ!』のソノヤ・ミズノさんです。
原題:Maniac ★★★★☆(ソノヤ・ミズノ効果で4.5)
エマ・ストーンとジョナ・ヒル(やせてる!)がおよそ11年ぶりに共演、先日、『007』シリーズ最新作『Bond25』の監督に決まった日系アメリカ人キャリー・ジョージ・フクナガが手がけるNetflixオリジナルミニシリーズです。
少々クセはありますが、私はSFメディカル・コメディと思って楽しみました。ブラックな笑い満載です。ところが、巡り巡ってカタルシスのある最終話には、ぽろぽろと泣けてしまって…。素敵なラストだったと思います。
「ブラックミラー」、「レギオン」や『アニー・イン・ザ・ターミナル』などがOKなら、大丈夫かと。
全10話(26分~最長47分)と、1エピソードの時間はまちまちですが、比較的短めではあるので、見やすいかと思います。
現実と似て非なる世界で怪しげな治験に臨む
舞台は、現代世界に似ているものの何かが異なる世界。特にコンピュータ回りがレトロです。スマホもありません。そのくせ、クレジットカードやプリペイドカードとはまた違った支払いの形があったり、小さなお掃除ロボが路上で犬のフンをキレイにしていたりと、どこか異なる世界のニューヨークらしき場所が舞台。
家族関係は破綻、大きな喪失を抱え、人生に何の目的もない薬物依存症のアニー(エマ・ストーン)。ニューヨークの裕福な実業家夫婦の5男で、統合失調症のオーウェン(ジョナ・ヒル)。
2人は、とある新薬の臨床試験プログラム、いわゆる治験に参加することに。ところが、ほかの被験者たちとともに製薬会社の研究施設で治験に臨んだ2人に予期せぬ事態が勃発! 新薬によって脳が見せる不思議な世界を体験する2人は、なぜか昏睡下でつながり、同じ世界を体験することに…。
あるときは、可愛い子どもたちに囲まれた80年代ルックの夫婦、またあるときは怪しげなスパイに。エマはまるで「指輪物語」のエルフにも。ジョナは三つ編みがキュートです!?
この、どんな精神の不調も治すという触れ込みの新薬の治験によって、それぞれのトラウマ、抱え続ける悲嘆、苦悩のメタファーと対峙していくことになるのですが…。
SFメディカル・コメディとして楽しむ
不可思議ワールドにぐいぐいと引き込まれていくのは、研究所のプロダクション・デザインがとてもポップである点も大きいでしょう。新薬の形状でさえ、何だかかわいらしいと思ってしまいます。
また、日本庭園があったり、カプセルホテルを模した個室だったりと、キャリー・ジョージ・フクナガ監督、日本を意識した様子も。
彼は、Netflixオリジナル映画『ビースト・オブ・ノーネーション』や、エミー賞を受賞した「TRUE DETECTIVE」ファースト・シーズンなどを手がけており、いずれの作品も独特の吸引力があってとても好きです。
そしてもちろん、主演とエグゼクティブ・プロデューサーを務めるエマ・ストーンとジョナ・ヒルは、やはりよいコンビ。エマは、こうしたちょっと飛んでしまったところのある役柄もお手のものです。リアルな哀愁を感じます。
そんな中、コメディリリーフとして笑わせてくれたのは、この治験を仕切る(といっても結果、仕切れていない)Dr.アズミ・フジタ役のソノヤ・ミズノと、Dr.ジェームズ・マントルレイ役のジャスティン・セローのコンビ。
特にソノヤさんは『クレイジー・リッチ!』では最高に明るく楽しいキャラで、クレイジーリッチな結婚式のすてきな花嫁なのに、今作では黒髪ボブにダサメガネ、まるでピクサーのエドナ・モード風。白衣から覗く手足は長く、スタイルもいいはずなのに、終始猫背で、ヘビースモーカー。
ステレオタイプ的なルックのキャラクターではありますが、Twitterを見てみると、彼女が『ラ・ラ・ランド』の黄色いドレスの、『エクス・マキナ』のアンドロイドのソノヤ・ミズノだとすぐにはわからない人も多かった様子。
ルームメイトその1でも、物言わぬアンドロイドでも、ましてやどこにいるのかもわからないその他大勢の踊り子(『美女と野獣』)でもなく、
主演のエマ・ストーンとジョナ・ヒルに次ぐ二番手の位置といっていいほどの活躍で、治験の行方を左右するキーパーソンとなります。
オスカー女優サリー・フィールドも怪演。「オザークへようこそ」「ジ・アメリカンズ」の注目女優ジュリア・ガーナーが、エマの悲嘆の要因となる妹役に。
『クレイジー・リッチ!』を見たなら、秋の夜長にぜひ!
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