ブラックパンサーASIAプレミア

『ブラックパンサー』は革命的。しかし約束されていたような気もする。3/1~公開

原題:Black Panther ★★★★★

ワカンダ、フォーエバー!!

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に初登場した新ヒーローの単独映画『ブラックパンサー』をひと足先に拝見しました。

本国ではオープニング週に、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『ジェラシック・ワールド』『アベンジャーズ』に次ぐ全米歴代第5位の記録をつくってしまった『ブラックパンサー』。

そして第2週目も1億ドルを超える大ヒットで、すでに4億ドル超え。マーベル史上最高のヒット作『アベンジャーズ』を抜いてしまいそうな勢いといわれております。単独ヒーロー作品としても『アイアンマン』『スパイダーマン』(初代)を抜いてしまったそうで。

客層のおよそ4割近くがアフリカ系で、ヒスパニック系も含めると非白人系が半数以上を占めているといいます。マーベル初のアフリカ系ヒーローはすっかり観る者の心をつかんでいるようです。納得です。

たいへんに素晴らしくて、文化的かつ、画期的で革命的な“社会派”作品に仕上がっています。


マーベルファンにはもちろんのこと、「またヒーローものか」「子ども向けでしょ」とアメコミ、スーパーヒーローものは敬遠してきた方、最近ちょっと食傷気味な方にもオススメ。

これまでのマーベル作品を観ていなくても楽しめます(もちろん観ておいたほうが、より楽しめますが)。


あらすじは公式を観ていただく
として。

監督・共同脚本は、ライアン・クーグラー

オバマ大統領誕生直前の2009年元旦に、丸腰の黒人青年を警官が射殺した実際の事件を映画化した『フルートベール駅で』(2013)

あのロッキー(シルべスター・スタローン)のライバル、アポロ・クリードの息子アドニスがチャンプになるまでを描いた『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)によって一躍注目を集めた気鋭です。


いずれの作品でも主演を務め、『フルートベール駅で』では「若きデンゼル・ワシントンのよう」とも称賛されたマイケル・B・ジョーダンが、今回の『ブラックパンサー』ではヴィラン(悪役)を演じていますが

この2作を観ておくと、ああ、『ブラックパンサー』もまた紛れもないライアン・クーグラー作品だ。まるで三部作だという思いを強くします。


舞台となる架空の国ワカンダは、アフリカにあり、これまで一度も欧米列国の植民地になったことのない国。

表向きは雄大な自然に囲まれた農業大国なのですが、実はワカンダの地中深くには貴重な鉱石ヴィブラニウムが眠っています。そのパワーはヘタをすれば世界が滅びてしまうほど、すこぶる強力なもの。

そして、その存在を国外に知らせるわけにはいかないと、ワカンダの国王が代々ブラックパンサーとなってヴィブラニウムと民を守り、各国にスパイを放ちながら世界情勢を探っていました。

主人公のティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は前国王の突然の死によって、急きょその国王とブラックパンサーを継ぐことになるのですが、

先に触れたヴィランのキルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)によって、新たな決断を迫られ、王として、ヒーローとして葛藤することになります。


『ライオンキング』のように、自らのルーツやアイデンティティ、父性についての物語であると同時に、

最近では『デトロイト』などで描かれてきた、アフリカ系アメリカンやそのほかの分断され、虐げられているあらゆる人々に対する鮮烈な手法でのメッセージが、本作にはあります。

ヒーロー映画でそれをやってのけたのです。


また、ティ・チャラの幼なじみで元婚約者、スパイとして活動しているナキア役にはオスカー女優のルピタ・ニョンゴ、ティ・チャラの母親役にはベテランのアンジェラ・バセットなど、女性キャラがブラックパンサーを取り囲むのですが、

私のオススメは、親衛隊ドーラ・ミラージュの隊長を演じたオコエ! 最強です! オコエ、フォーエバー!

今、IMAXの『グレイテスト・ショーマン』がかかっている劇場などでは『ブラックパンサー』の予告編が見られるかと思いますが、オコエの活躍シーンをぜひチェックしてみてください。


そして、国王の妹で、ヴィブラニウムからブラックパンサーのスーツやハイテクな武器を作りだしてしまう天才科学者シュリ! 

ももクロの百田さんが吹き替えをしていますが、ぴったりかもしれないと思っています(私が観たのは字幕版なので)。天真爛漫でキュート、頭も切れる。演じているのは、今後、本作ほか、リーアム・ニーソン主演の『トレイン・ミッション』、スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』にも出演しているレティーシャ・ライト。

彼女は今年注目の新鋭です。


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