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『シャザム!』抜群の親近感を持てる“中身は少年”のヒーロー 「あなたのスーパーパワーは?」 公開中

ヒーロー誕生映画として最高に楽しく、家族愛や友情の映画でもあります。大切な問題をはらむ、覚醒のトリガーとなる一件には毎回泣いてしまう。

原題:SHAZAM! ★★★★★4.8

字幕と吹替で一度ずつ鑑賞。

親近感あふれる“少年”ヒーローの誕生です! 見た目は大人ですが。

楽しいです、ヒーロー“あるある”やお仲間たちをイジりまくり、DCの映画でこんなに笑ったのは初めてです。

とはいえ、コメディ調なのかと思いきや、心理的に、あるいは物理的に親に“見捨てられた”“見放された”子どもたちの物語であり、

今回のヴィランである、マーク・ストロング演じるナゾすぎる科学者Dr.シヴァナは、その意味ではヒーローのシャザム/ビリーと対になる存在になっています。

DCはヴィランの描き方に確固とした流儀があり、丁寧。

しかも監督は『アナベル 死霊人形の誕生』『ライト/オフ』といったホラーも手がけ、アニメ畑出身であるデビッド・F・サンドバーグ監督。ヴィランズのおどろおどろしさのツボを押さえていて、ちゃんと恐ろしいし、怖いと思いますよ、子どもたち。


ザッカリー・リーヴァイはじめキャスティングが二重丸

何より、心は14歳のままヒーローになったシャザム、ザッカリー・リーヴァイが最高! ハマリ役! ある意味、覚醒した別次元の「CHUCK/チャック」みたい。

また、スーパーパワーを確認するべく、同じグループホームのフレディと空を飛んでみたり、目からビームを出してみたり(?)、いろいろ試してみるのですが、YouTubeに次々アップしちゃうのは現代っ子ですな。サンドバーグ監督も最初は短編アニメをYouTubeに投稿していたそうです。

そのフレディを演じたジャック・ディラン・グレイザーも、シャザム変身前のビリーを演じたアッシャー・エンジェルも、うまい。

『IT/イット』でも知られるジャックですが、『ビューティフル・ボーイ』ではティモシー・シャラメのローティーン時代を演じています!

そして、彼らが出会った里親同士の夫婦が営む、“ゲーム・オブ・スローンズ”のようなグループホームの子どもたちも、ハグ好きな女の子ダーラを演じたフェイス・ハーマン(「THIS IS US」のアニー役)はじめ、愛さずにはいられない子たちばかり。

あなたのスーパーパワーは?

ちらりと出てくる「私たちは里親。あなたのスーパーパワーは?」という言葉も利いてますね。

そういえば『ジャスティス・リーグ』では、エズラ・ミラーのフラッシュがバットマン(ベン・アフレック)に「あなたのスーパーパワーって何だっけ?」と尋ねるシーンもありました。

日本では、まだまだ馴染みの薄い里親制度。本作に登場する子どもたちを見れば、必ずしも幸せなマッチングばかりではないことは確かなのですが、安心して帰れる場所をつくってあげることの大切さをしみじみと感じます。

日本では血縁に固執しがちですが、私はビリーの実の母親の気持ちも分かります。決して彼女はクズなダメ親ではなくて、10代で母親になった彼女の精一杯の息子への愛情だったと思うのです。これはとても勇気がいることです。

米国では仕組みも機能していますしね。

そうはできないから、手をあげたり、放置したり、してしまうのでは…。

シャザム/ビリーのヒーロー覚醒に絡むこのシーンがあってこそ、クライマックスのサプライズがよりグッとくる仕掛けになっています。


そしてふと、私のスーパーパワーってなんだろうか、と考えてみると

保護猫2匹の親であることかな。


吹替は、ビリー役の緒方恵美さんを筆頭にさすがのメンツが素晴らしい。その上で、菅田将暉の声はザッカリー・リーヴァイの身体から発せられる声ではないんです。

幾つかの言葉の言い回しも気になりました。

俳優としてはもちろん「W」のときから見ていますし、一目置いていますけれども、終盤、少し慣れてきたかな、とは感じたところもあれど、こればっかりはミスキャストなのかも。


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