軸を作る:安定した情緒を育てるために:メンタライジング、マインドフルネス自己を意識する
ある時は怒りっぽく、ある時は機嫌がいい。
体調がいい時と悪い時。
心は天気のようかもしません。
さて、自分自身を形作っているものと意識する際に、
身体・脳・心の総体が、自己を形成していると捉えて考えてみると分かりやすいですね。
この中でも如何に情緒を安定させるか?ということが非常に大事になってきます。
1.安定的な情緒を育てるためのアプローチ
では、情緒とはいったいなんなのでしょうか?
情緒は一言でいえば、「気分」「気持ち」でしょうか?
ウォーリン博士は、
「情緒とは、体験したことの良し悪しを本能的に評価するプロセス」(95頁)」としています。
そして、私たちは主としてそのような評価(情緒的な評価)に基づいてどう行動するかを(意思的、あるいは無意識的に)決定します。
情緒の安定が人生を生きる上で非常に重要なことは言うまでもないですね。
この情緒を安定させるという事が生育歴、いわゆる愛着関係とも関係していきます。
確かに親子関係が良好であれば、心の安全基地が確保されており、情緒は安定する、すなわち自己肯定感が強くなる、とも考えられます。
ですが、そうした愛着関係が確保されていない人は、ダメ、つまり生涯、情緒が安定していないことになるのでしょうか?
それを補う可能性があるのがメンタライジング様式とマインドフルネス自己になります。
メンタライジング様式は、内的世界は外的現実と分離していながら同時に関係してもいるということを、私たちが認識することが出来る能力です。
その中では、①思考、感情及び空想と、②実際に私たちの身に起きていることとが、いずれも影響を与えたり受けたりすることについて認識することができます。
言い換えれば、メンタライジング様式の中では、自己と他者の世界とでは豊かで、複雑で、曖昧なものだという事を明らかにします。外的現実に関する心的表象を実際の現実の変化に応じて修正する潜在力を私たちが持っているということを明らかにしてくれる能力です。
もう一つがマインドフルネス自己です。
マインドフルな自己を得ることで、私たちの思考・感情・感覚をより同一化していくような感覚が得られてきます。言っていみれば、つまり、自分の中にある統合的なものを全て落とし込んでいき、軽くさせることが出来るというのがマインドフルネスの作用という事ができるでしょう。
メンタライジング様式とマインドフルネス自己。
この二つをどのように培ったらよいのでしょうか?
精神分析療法の文脈においては、この二つを意識してアセスメント(面接)することの重要性が強調されます。
この2つの能力は自己を高める上でも非常に重要です。
2.メンタライジング様式を意識する生活
メンタライジングはもともと精神分析療法のアプローチです。
メンタライジングを後発的に養うことはできないのでしょか?
これについては私は心理の専門家ではないので、迂闊なことは申し上げられません。ただ、メンタライジング様式における大きなポイントが、マインドセットであることは間違いないでしょう。
つまり、気持ちの持ち方になります。
マインドセットの中で、自己と他者を意識すること、にあることは大きなポイントでしょう。
こうしたことを意識するためには、まず自分がどの程度他者の立場になっているかどうか、自分の行動に対する反省機能(自分のことを自分で振り返る能力)があるか、が鍵になるでしょう。
愛着関係も、そうであるように。こうした能力は、容易に身につけることは出来ません。普段の人間関係、生活の中で、自己と他者を意識すること。自分自身を振り返ること。などを習慣的におこなっていくことがまずは近道ではないでしょうか。
この辺りのコラムは非常に分かりやすいです。
メンタライゼーションを培うためのマインドセットということについてはまた機会を改めて触れてみたいと思います。
3.マインドフルネス自己を意識する生活
では、マインドフルネス自己を意識する方法はどうでしょうか?
メンタライゼーションが、意識しながら他者と関わることを通じて培っていく能力とすれば、マインドフルネス自己は、自己の中に没入することを通じて自己を理解し、他者との繋がり、意識する方法といえるでしょう。
かくいう私は瞑想(マインドフルネス瞑想)を初めて12日目ですが、少しずつこの感覚が掴めてきました。
つまり呼吸に集中することを通じて、自分が生きていることを実感する。そして自分が多様な器官に支えられて、今ここに生きていることを意識できます。
さらに、外界からの情報が自分の空っぽになっている心に入り込んでいます。そうすると、自分と外の世界との境目がなくなっていくようなそんな感覚になっていきます。
・・といってもまだ12日目のこと。これを長い期間続けていくことでどういった変化があるのか、そのことを楽しみにしています。
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