男女間の賃金格差は広がっている、縮まっている?:正社員の賃金データを見てみる
非正規であったり、派遣であったり、雇用面での弱い立場にある人が今窮地に立たされています。
また非正規で働く高齢者の問題も深刻です。
こうした問題も取り上げたいところなのですが、男女の賃金格差について取り上げようと思います。
男女での賃金格差の問題です。
正社員女性の給料は、正社員男性の75%程度であることや、G7の中で男女の賃金格差が日本は最も高い(日本、24.5%、アメリカ18.2%、カナダ18.2%、イギリス16.5%、ドイツ15.5%、フランス9.9%、イタリア5.6%)ということがこうしたサイトでも明らかにされています(調査自体は、公的機関が行ったものを引用されています)。
では、今、賃金格差ってどうなっているのかな?ということが気になったので、こちらに示しておきます。
<平成 30 年賃金構造基本統計調査の概況 >
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/dl/13.pdf
よりみてみましょう。今回は、正社員の男女の賃金格差を見ていきます。
このように、男女の格差は確実に縮まってきていることが分かります。平成11年64.6→平成30年73.3ですから急激に縮まってきてます(それまで大きすぎたとも言えますけど)。
規模別でみたらどうかなと思い、こちらも調べてみました。
図表1 企業規模ごとの賃金推移:男女別
(出所)厚生労働省による各年度の賃金構造基本統計調査の概況より作成
(注)調査自体は毎年度行われている。紙幅の都合で隔年のデータを示してます。
*常用労働者 1,000人 以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」に区分されています。
男女差で大きな差があることは企業規模に限らず変わらないことが分かります。ですが、注目したいのはその差がどうなっているのか?という点です。
このようにグラフにしても全ての規模において確実に縮まってきていることが分かります。
大企業の方が女性の待遇が良いと思われがちですが、実は給与格差の面では大企業の方が男女差が大きい結果となっています。
これも縮まる傾向にあります。
ただ、これは注意してみる必要があると思います。女性で大企業で働いている人の場合は、正社員であっても柔軟な働き方を認めてもらっているケースも多いと考えられます。その分だけ給与格差は大きくなりがちです。そうした手当てが少ないともみられる中小企業と比べて大きくなるのは必然かもしれません。また大企業においては役職や手当ても細かく定められているでしょう。子育ての事情もあり、出世することを避ける女性がまだまだ多いため、こうした差が生じているのかもしれません。
その大企業においても男女格差が縮まっているのは興味深いです。
この背景には、働き方改革により女性がより長い時間働けるようになった、もしくは待遇改善がみられた、出世する女性が増えた、などなどの要因があるかもしれません。
これらの点についてはもう少し詳しく見てみる必要がありそうです。
まとめますと、この20年で男女の格差(ただし正社員)の賃金格差は縮まっている、ということですね。
こした事例は、ファクトフルネスの視点で物事を見る大切さを教えてくれますね。
ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。
が…問題は格差は縮まっても、出生率が伸びないことですね。
賃金は一つの対価の形です。賃金が上昇してきたということは、女性がそれだけ活躍する場が増えてきている、といえるでしょう。
一方で少子化が加速する、ということは子供を産み育てる上で何かが足りない、ということを示しています。
これは専業主婦・パート・非正規のデータも加えて分析する必要がありますね。もちろん、男性のデータも分析することが不可欠です。
とはいえ、男女の賃金格差が縮まってきているということは喜ばしいことです。急に格差を縮めることは出来ません。ゆっくり確実にこの格差が縮まっていくことが望ましいですね。
一方で、少子化対策は別建てで考えなければならない課題、ですね。
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