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17歳の愛国心


海外留学は時代遅れなのか?


少し前に、ホリエモンが

「留学なんてしなくて良い。日本にいても
英語も知識も得られるんだから」

と言うことをYouTubeで熱弁していたのを
見たことがある。

「海外留学は時代遅れ」


と言っていた。


留学に行っても大した英語力が身につかないし、
箔をつけるために行っている、と言うことらしい。

私は、高校2年生から3年生にかけて、1年間
アメリカの地元高校生が通う、公立高校に
留学したことがある。


その経験から、私はこの時

「留学に行ってない人が言うことだ」

と思った。

(確かに、留学しても英語力が身についていない
人がいるが、それは留学の形式と本人の自覚の問題だと思っている。)

なぜか?

それは、
その国の人と長い間生活を共にし、(ホームステイ)机を共にし(学校)、1年間のその国のイベントを全て経験し、感じ、考えたことに価値があるからだ。

留学の思い出、と聞かれたら一番に浮かんで来ることがある。

高校留学での一番の思い出


ある日、授業の空き時間にカフェテリアで、
タイ人、イラン人の友達と一緒にお茶を
しながらお喋りをしていた。

その頃は、留学後半の頃だったので、随分英会話も上達していて、親戚宅で2、3年滞在している彼女達とも英語で話ができるようになっていた。

そこへ、授業が終わったばかりのアメリカ人の
白人の友達がやってきた。

「元気?」

「うん、元気だよ」

「何話してたの?」


と聞かれて、

「うん、いろんなこと。
アメリカってこんなところがちょっと気になるよね、とか、アメリカ人ってこう言う人が多いよね、とか話してたの」


と、私は何も考えず、ある程度正直に言った。

それは、留学生がアメリカと言う国に抱く、
「愚痴」のようなもので、そんなに大したことではないのだが、ついぽろっと口から出てしまった。


すると、それまで笑顔だったアメリカ人のお友達の顔色が変わった。


「へーそうなんだ。
じゃあ、なんであなた達はアメリカにきたの?」


と聞かれ、


「それは、やっぱり英語を身につけたいし、
アメリカという国を見たくて・・・」


と言うと、


「そうだよね!

アメリカは世界中から留学生が来るんだよ。
それは、アメリカがすごい国だからでしょ。

私は、アメリカは世界一素晴らしい国だと
心から思うし、誇りなんだよ。

そんなに文句言うんだったら帰れば!!!」


とすごい剣幕で言われた。


私たち3人は呆気にとられて、返事をしたかどうかも覚えていない。

 私はこのアメリカ人の友人の発言に、心から驚いたのには、もう一つ理由がある。

彼女はある意味「普通の高校生」で、
決して成績がすごく良いわけでもなかった。

その上彼女は高校3年生ですでに婚約をしていて、左手の薬指に指輪をしている、キャリアにも興味がない、普通の女の子だったからだ。


その「普通の女子高校生」が、自分の国にここまでの誇りを持ち、愛国心と言っても良いほどの強い気持ちを持っているなんて、その時まで全く知らなかったし、想像もできなかった。


でも、この「普通の女子高校生」に、ここまで愛国心を持たれているアメリカに、日本が叶うはずがない、とその時は思った。
(今は、少し考えが変わっている)


そして、考えた。

「もし逆の立場だったら、私はどうしただろう」

ショックを受けて、考えたこと


つまり、日本に留学生が来ていて、日本の悪口を
言っていたと聞いたら、私はここまで、彼女のように怒ることができるだろうか?

怒らなくても、ここまで自分の国は素晴らしいと
言い切れるだろうか?


いや、言えない。

なぜなら、自分はまだ日本のことを知らない。
歴史も、文化も、日本や、日本人の素晴らしさも
言語化できていない。

だからきっと、悪口を言われても
「そうだよねーだめだよね、日本って」


と、同調するかもしれない、と思った。


情けなかった。

何が違うんだろうと思った。

確かに、高校の全ての教室の黒板の横には、
「星条旗」が掲げられている。


日本では考えられないことだ。


そして、大統領選挙にも関心を持つ高校生も多い。


実際に、私の隣のロッカーに、医学部希望の優等生の女の子がいたが、ある時翌年に大統領選挙を控えていたからか、

「あなたは、アメリカの大統領選挙の仕組みを知っているか」

と聞いてきた。

当然、私は「NO」と答えると、そこからすごく詳しく教えてくれた。

当時の私は、まだ半分も理解できなかったが、
一生懸命に説明する彼女を見て、

「私は、日本の議院内閣制について説明できるだろうか」

と考えていた。

これも、「NO」だった。


普通の公立高校に通い、同年代の高校生がこのレベルなのだ。


私の留学の目的は、英語をネイテイブ並みに話せるようになることと、同年代のアメリカ人が何を考えているのかを知りたい、と言うことだった。

その目的はほぼ果たせたと思うが、自分と日本の若者の情けなさを知ることとなった。

もちろん、当時も優秀な高校生は日本全国たくさんいただろう。
でも、この高校は「私立」でもなく、公立の普通の高校。

その高校生がこのレベルなんだ、と知り、ショックだった。


帰国後は日本史を選択、日本史の本を数冊読んだ。

政治経済の授業も熱心に受け、政治についても学んだ。

わからないことは、父に聞いてニュースを見ながら食事中の父と娘の政治、経済会話は続いた。


あの女の子の愛国心を知らなければ、私は今ももっと日本のことを知らないかもしれない。


でも、私にも愛国心はあった。
それを実感した、アメリカ滞在中の出来事は、
明日書こう。


上野 博美


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