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感動を与える生き方は、実はシンプル。



雨の羽田空港から、帰省のために飛行機を
利用した。
普段と違い、バスラウンジからバスで
飛行機まで行くフライトだった。

バスが、飛行機が駐機している場所に止まった。
私を含む乗客は、なんとか雨に濡れないよう少しづつ
前の乗客を見ながらステップを上がる。

待っている時に、ふと右手を見るとGASと言われる、
グランドハンドリング担当の男性が立っていた。


ヘルメットをかぶり、レインジャケットにパンツ。


当然傘は差していない。


強く降りしきる雨を気にすることなく、手を前に組み、
乗客に挨拶をしながら、乗り込むのを見守っている。
雨の時は、いつもそうなのかもしれない。

ただ、元客室乗務員だった私でも、忘れかけていた。
飛行機は、機長や客室乗務員だけで
運航できているわけではないことを。

こうして、決して目立たないけど、この仕事が好きだから、
どこかにやりがいを感じているから、
またイヤイヤであっても、
やるべき仕事を黙々とやっている人たちの存在を。

グランドハンドリング
搭載業者
整備士
グランドスタッフ
営業
デイスパッチャー
清掃業者

お客さんからは見えないところで、
それぞれのプロ達が
一生懸命仕事をして、初めて飛行機が飛んでいることを。

雨に濡れながら、それを気にすることなく、
じっと立っているグランドハンドリングの
男性の姿をみて、グッと胸に迫るものがあった。

私には、一生懸命な人を見ると感動するクセがある。

ガソリンスタンドで、真夏の炎天下、
「いらっしゃいませ!」

と元気な声で挨拶し、キビキビテキパキと、

暑さもものともせず、働くお兄さんに、

感動し涙ぐんだこと。


うどん屋さんで働く、中国人留学生の
流暢な日本語と、日本人以上に丁寧な対応に、
「すごいなー」と思って名札を見て初めて、

中国の人だと分かった瞬間、
そこまでの努力と学ぶ姿勢に、思わずグッと来て、

「頑張ってください」

と声をかけたことが、蘇ってきた。


私は、人が感動するくらい一生懸命働いている
だろうか。

私は、人に感動を与えるほど一生懸命に
生きているだろうか。


もちろん、人に感動を与えるために生きている
訳ではないが、実際に今、この目の前の人に
感動している。

私の方が客ではあったが、
「ありがとうございます。
本当にお疲れ様です。」


と言う気持ちを込めて、お辞儀をして機内に乗り込んだ。


上野 博美


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