「子育てをしながら仕事を続けているお母さんへ」
「昨日のエッセイの感想」
昨日書いた「娘」というエッセイに、知り合いの「お母さん」からご感想を
いただいた。
その方とは、専門学校で同じ時期に教えていたことがあり、ちょうど出産直後、復帰され、「育児と仕事の両立」に悩んでいらした時、相談を受けたことがある。
私はその方の気持ちが痛いほどわかった。
子供が熱を出した時、
子供が病気のとき、身を引き裂かれるように感じたことが何度もある。
そばにいてあげたいのに、仕事でそばにいられない。
私の母や妹たちに頼むしかない。
「私の分身があったら」と、何度思っただろう。
今でも、分身ロボットを開発できるのであれば、即刻開発して欲しいと思うお母さんは世界中に数え切れないくらいいるだろう。
そして、もう一つは自分にとって大きな仕事のチャンスが目の前にあるのに、
子供の手が離れていないから、それを掴むことができないジレンマだ。
最近も、エアラインスクールの卒業生から相談を受けた。
大きなチャンスを、子供を見てくれる人が身近にいないため、見送らないといけないことについての相談だ。
私が決めていた事
でも、私はどちらも経験し、どちらのお母さんの気持ちもよくわかるが、私は心に決めていた。
「優先順位」をつけていた。
仕事と子供、どちらを優先するのか、についてだ。
私は「子供を優先する」と決めていた。
必要ならば、例えば子供が大きな病にかかってしまって、私が仕事をやめないといけない時は、即刻やめると決めていた。
学校行事は優先した。事実一度だけいけなかったことがあったが、それ以外は授業参観、運動会、文化祭など全て参加した。
仕事より子育てを優先した。
その理由はたった一つ。
「後もどりができないのが子育てだから」だ。
子育てはその瞬間しかない。
子供の成長は止まらないし、子育てのやり直しはできない。
「女性だけそんな思いをするのはひどい」と思う人もいるかもしれない。
それならば、夫婦で話し合って、どちらかが子供を優先すればいい。
それはおばあちゃんやおじいちゃんでもいい。
正解はひとつではないが、私の場合は「子供を優先する」と決めていた。
「仕事は後から取り返せるから」だ。
事実、娘が大学進学で家を出ると、私は「仕事のアクセルを全開」にした。
アクセルベタ踏み状態だ。それは今も続いている。
まるで独身時代に戻ったかのように、仕事ができる。
それが嘘のようで嬉しく、毎日仕事に全力を注いでいる。
そう、やがてそんな日が来る。
そしてそんな日が来た時に思い切って仕事に打ち込めることが、嬉しくて嬉しくて
仕方がない。
それだけのエネルギーを注げば、仕事は追いつける。
独身の人が10年でやることを、子育てしながら20年でやってもいい。
体力と気力さえあれば、幾つになっても取り返せる。
子供はやがて巣立っていく。
その時に仕事がある事は、本当に支えになった。
だからこそ、「細く長く続けてください」と私は悩むお母さんたちにアドバイスする。
もちろん、主夫がいらっしゃる人はお母さんは全力で仕事を続けることができるので、私のアドバイスは全ての人に当てはまるわけではない。
そして、子育てより仕事を優先する、という考えももちろん正解だと思う。
ただ、子供は育つ。
娘の言葉で驚いた事
娘が中学生の頃、友人関係で悩み相談を受け心配した私は「必要だったら、あなたのそばにいるためにお母さんはいつでも仕事を辞めるから」といったところ、
「いや、お母さんが仕事を辞めたら今以上に私のこと世話を焼くんでしょ。いや、いいからお母さんは仕事して」
と言われ、びっくりしたことがある。
「お母さんうちにいて」
と言ってくれることを期待していたが、娘はいつの間にか成長し、働く母を見てそんな大人の発言をするようになったのだ
(単に、私から色々と言われるのが嫌だったのだろうが)
そう、子供はずっと子供のままではない。
やがて、「親なんていらない」というようになる。
だからこそ、子供が親を必要としている間は、子供を優先しようと思ってきた。
それで私は悔いはない。
もちろん、子育てにおいても、仕事においても、もっとできた事はいっぱいあるだろう。
親としても不完全だっただろう。
だけど、自分ができる精一杯の事はやったと思っている。
完全に自己満足だが。
そして今仕事に全精力を注いでいる。そうすればいくらだって取り返す事はできるのだ。
仕事と子育ての両立で悩むお母さんへ伝えたい事
少なくとも、仕事と子育ての両立で悩むほど、あなたがお子さんを愛している事は、必ずお子さんに伝わるはず。
何があなたにとって一番大事なのか。
それを考えて優先順位を決めていれば、それが正しいのだと思う。
すべての働くお母さん、本当に本当にあなたは偉いです。
悩んで両立した経験は、必ずその後役立ちます。
たとえどんな優先順位をつけても、大丈夫。
命がけで出産し、命がけで子育てし、自分の命よりも大事な、かけがえのないお子さんを育てているだけで、素晴らしい事なのですから。
(お父さん、ひがまないでね(笑))
上野 博美
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