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素晴らしいサービスの裏側


先日都内の5つ星ホテルに行った。
食事のためだったが、待ち時間にフロント前でスタッフの人たちを見ていた。

元客室乗務員であり、サービス接遇研修をする立場でもあるので、どうしてもサービスをする人たちを見てしまうし、気になってしまう。

私だったらどうするか
お客様は今何を求めているのか
スタッフの動きは適切なのか

などをつい見てしまう。

このホテルだけではなく、今やどこのホテルも人手不足感がある。
以前まだ、自粛モードだった頃に、有名なコンシェルジュの方とお食事をした際に、
「アメリカではすでに人手不足になっているから、日本も絶対にそうなる」という話をしていたのだが、その通りになっている。

フロントではチェックアウトのお客様、問い合わせのお客様で列ができているし、
お客様には外国人、それも英語圏ではない方々も多くいたため、一人のお客様への接客時間が長くなっていた。

「大変だな」

と思いながら見ていたが、あるお客様は重そうなボストンバッグをずっと手に抱え、スタッフの人たちが気づいてくれるのを待っているようだった。
しかし、そのすぐそばを通り過ぎるスタッフたちは、一向に気づかずこの中年の女性客の方は自分から言うのが申し訳ないと思っている様子で、ひたすら待っているのが気になっていた。

それでも私にはできることは、何もないので残念な気持ちでふと天井を見上げると、このフロント部分は本当に天井が高く、吹き抜けになっている。
スペースも十分にとってあり、狭苦しい感じは一切ない。

スペースに余裕があることで、高級感は増すし、お客様の満足度も上がる。
しかし、スタッフの心に余裕がない。
それゆえに、サービスは高級とは言えない、慌ただしさを感じた。

素晴らしいサービスには、必ず「余裕」がある。

スペースの余裕
スタッフの人員の余裕
スタッフの心の余裕

だ。

それが自粛時に退職した人が多かったであろうホテル業界は、その人たちは戻ってこないだろう。
人は常時募集をしても、翌日すぐにフロントに立てるわけではない。研修期間が必要だ。
語学力もある程度必要なため、誰でもいいと言うわけでもない。

良い人材を確保し続けるためには、「資金の余裕」「経営者の余裕」がなければ難しく、
素晴らしいサービスを維持していくのは、本当に大変なことだな、と実感した。

航空業界では客室乗務員は、日系の場合あまり退職者はいなかったようだが、予約センター、地上職員は退職者が多かったようだ。
そのため、今後は人材不足を補うシステムが整っている会社は良いが、そうでない会社は人材確保が大変だろうと思う。

素晴らしいサービスの裏側はいつも困難が伴っている。
ただ、これは全ての仕事についても言えるのだろう。
高品質を保ち続けると言うことは、それだけ苦労がある。
だからこそ、「付加価値」をつけることができるのだと思う。

当分、ホテル宿泊代は高騰し続けるのは必須だ。


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